人権擁護委員会が扱う人権分野

1 再審請求の支援

1 再審請求を支援している事件

日弁連では、えん罪で有罪の確定判決を受けた方からの支援要請を受け、慎重な審査を経たうえで、再審請求の支援をしています。人権擁護委員会内に事件委員会を設置し、再審無罪判決の獲得へ向けた活動をしています。



2 再審事件に関する記録


2 捜査機関等により侵害される人権

日弁連は、警察が、他の行政機関の保有する個人情報を利用したり、市民生活に入り込んで情報を得たり、市民の行動を相互監視することを促すような活動を行うなどして権限と活動の拡大を行うことについて、人権保障の観点から適切に規制するよう活動します。

また、警察組織と警察活動に対する民主的コントロールを通じて市民の人権を保障するため、公安委員会制度の抜本的改革、警察予算の透明化、組織運営等の情報開示、議会による監督等の施策の実現を図ります。

そして、直接的にも、警察等捜査機関による人権侵害に対し、厳しく警告等を行っています。

近年では次のような事例があります。


3 刑事被拘禁者の人権

刑事施設(刑務所・拘置所)において、適時・適切な医療が受けられることを確保するための刑事施設医療制度改革及び厚生労働省移管を進めるべきです。

死刑確定者に対する処遇状況に関するアンケート結果報告

【概要】

arrow_blue_1.gif人権擁護委員会が実施した全国の死刑確定者に対する処遇全般に関するアンケート調査


【実施期間】

<第1回> 2006年1月~同年2月実施
<第2回> 2009年12月~2010年2月実施
<第3回> 2020年12月~2021年2月実施


※2020年度実施アンケート結果報告書の取りまとめに当たり、利用した回答集計データ(年代、性別、その他死刑確定者の処遇環境に関する各回答事項)については、個人が特定できる情報を匿名化の上、死刑確定者の処遇環境に関する学術研究等のため、日本弁護士連合会と以下の外部団体との間で共同利用いたします(管理責任者は日本弁護士連合会です。住所及び代表者氏名はarrow_blue_1.gifこちらをご覧ください。)。
・オーストラリアモナッシュ大学法学部
・特定非営利活動法人CrimeInfo


刑務所における昼夜間単独室処遇のアンケート調査結果

2010年5月18日から同年9月15日まで日弁連で実施した、刑務所における昼夜間単独室処遇のアンケート調査結果について報告します。


4 医療に関わる人権問題

従来からの医療、患者の権利、薬害などの問題から、脳死臓器移植などの人間の生や死にかかわる根源的な問題、また生殖医療のような最先端かつ尊厳ある人間の始期にかかわる問題まで、広い分野の調査及び研究を行っています。


患者主体の医療を目指し、安全で質の高い医療の実現を!


1 患者の権利法の制定を!

安全で質の高い医療を受ける権利、インフォームド・コンセントを中心とした患者の自己決定権などの患者の権利、並びにこの権利を保障するための国及び地方公共団体の責務などについて定めた「患者の権利法」を制定すべきです。


2 医療事故調査委員会の設置と医療事故無過失補償制度の創設を!

医療事故が生じた医療機関内において、当該事故について自律的かつ公正で客観的な調査を行う機関が設置されるよう促すための施策がとられるべきです。 また、国は、医師などの医療従事者のほか患者の立場を代表する者や法律家などで構成される公正で中立的な第三者調査機関を設置すべきです。

さらに、調査によって事故の経過や原因が早期に明らかになることを生かして、より迅速に医療事故の被害が救済されるべきであり、そのために国の制度として、無過失補償制度の創設が必要です。


3 脳死・臓器移植における人権保障を!

臓器移植法の改正法が成立しましたが、今後も、移植を待つ患者の人権保障とともに、ドナーとなる人々の人権も十分に保障されるようにしなければなりません。


4 医薬品被害の防止と被害者救済のための制度の整備を!

調査・勧告権限を有し、薬害被害者や市民が委員として参加する第三者監視機関の創設や、医薬品副作用被害救済制度の拡充を行うべきです。


5 生殖医療法の制定を!

不妊治療や再生医療など、人の誕生や受精卵・胚に関する先端医療・医科学研究がどの範囲で許されるかについては、法律で定める必要があります。


6 「新型コロナウイルス・ワクチン予防接種に係る人権・差別問題ホットライン」の実施

2021年5月14日、15日に「新型コロナウイルス・ワクチン予防接種に係る人権・差別問題ホットライン」を実施しました。

icon_pdf.gif実施結果概要 (PDFファイル;309KB)



7 「第2回新型コロナウイルス・ワクチン予防接種に係る人権・差別問題ホットライン」の実施

2021年10月1日、2日に「第2回新型コロナウイルス・ワクチン予防接種に係る人権・差別問題ホットライン」を実施しました。

icon_pdf.gif実施結果概要 (PDFファイル;210KB)



5 表現の自由・思想良心の自由など精神的自由に関わる人権問題

民主主義の死命を制するとも言われる表現の自由・報道の自由などを守り、思想良心の自由の保障が徹底される社会を実現できるよう活動しています。


1 マスメディアが権力監視という責務を十分に果たせるようにするため、報道の自由や取材の自由については、公権力による介入を強く警戒すべきです。また、自由で民主的な社会を築くために必要不可欠な表現の自由を最大限保障し、表現活動を抑制・萎縮させようとする動きには断固反対します。


2 絶対不可侵の領域である個人の内心の自由に対する公権力による介入を許さず、思想・良心の自由を最大限尊重するべきです。  


3 市民の選挙運動や政治的表現の自由を確保するため、公職選挙法を早急に改正し、選挙運動における個別訪問禁止などの制約を撤廃すべきです。また、勤務時間外を含め、公務員のビラ配付など政治的な表現活動を広範に制限している国家公務員法・地方公務員法の規定を改正すべきです。


6 外国人の人権

差別、入国管理や退去強制に関する問題、日本へ逃れてきた難民に関する問題、国籍を巡る問題など、外国人が直面するさまざまな人権問題に取り組んでいます。


2023年・2024年の出入国管理および難民認定法改正の動きを受けて

2023年改正法には、収容期間の上限の設定や司法審査の見送り、収容に代わる監理措置制度の創設、難民申請者に対する送還停止の効力の一部解除、送還に応じなかった者に対する退去命令制度(刑事罰を含む。)の創設など多くの問題点があります。また、2024年改正法には、新たな永住資格取消し制度の導入という問題点があります。


そのため日弁連だけでなく、多くの弁護士会および弁護士会連合会が、これらの改正法に対し、反対の立場から会長声明や意見書を公表しています。今後も、憲法上、国際法上求められる人権の保障や適正手続の要請にかなうあるべき入管法を早急に実現するための取り組みを進めます。


多民族多文化共生社会創造のために


1 国籍選択制度の廃止と、複数国籍を容認するよう国籍留保制度等の改正を!

国際化の進展する中にあっては、異なる国籍の両親のもとに生まれた子どもなどにいずれかの国籍の選択を求める国籍選択制度は廃止すべきです。また、国籍留保制度、自ら他の国籍を取得した場合の国籍喪失制度についても、複数国籍保持を容認する方向で検討すべきです。

意見書など
国籍法に関するパンフレット


2 定住外国人の地方参政権付与を!

住民自治の理念に基づき、定住者、永住者、特別永住者などの定住外国人には地方参政権を与えるべきです。


3 外国人の在留管理が強化されている入管法の再改正や収容問題の改善を!

永住者などの在留カード常時携帯義務を撤廃し、外国人住民票の対象を仮放免対象者にも拡大するなどの出入国管理及び難民認定法、住民基本台帳法の改正を行うべきです。また、入管収容施設における医療問題や収容制度の改善を行うべきです。


4 外国人技能実習生制度の抜本的見直しを!

労働諸法令の潜脱方法として悪用されることの多い外国人技能実習制度の廃止を含めた検討を行うとともに、いわゆる単純労働者等の受け入れの是非や新たな制度を検討するにあたっては、入国した外国人やその家族の労働基本権などの人権を実質的に補償し、多民族多文化の共生する社会を構築するという観点から制度設計を行うべきです。


5 外国人人権基本法の制定を!

外国人・民族的少数者を多民族多文化共生社会の一員とするべく、差別禁止法制を含めた教育・公的参画・労働法制・社会保障などの整備を定める法律が必要です。


6 難民認定制度における独立した審査機関の設置と、難民申請者の生活保障制度の創設を!

出入国管理及び難民認定法を改正し、専門性を持ち、入国管理や外交政策から独立した審査官による難民審査機関を設置すること、また、難民申請者でも健康で文化的な最低限度の生活を営むための生活を保障する制度を確立することが必要です。



7 社会保障に関わる人権問題

障がい者や貧困問題など、現実の不平等が存在する中で、人としての尊厳と価値の平等を実現するために、憲法の生存権保障の理念に根ざした社会保障に広く取り組んでいます。

障がいのある人に対する虐待は、社会生活の多くの場面で発生しながらも顕在化せず、深刻な事態にあるため、虐待を防止し、被害者を救済する法制度が必要です。

障がいのある人の権利条約の早期批准と、批准に伴う国内法整備として障がいを理由とする差別を禁止する法律や条例の整備が求められています。


2020年12月現在、政府および司法府において民事裁判手続等のIT化が検討されています。民事裁判手続がIT化された場合でも、障がい者の司法アクセスが後退することのないようにするにはどのような手続上の配慮および環境整備が必要なのか、検討するため、障がい当事者等団体へアンケートを実施しました。


・民事裁判手続のIT化に関する障がい当事者等団体アンケート結果

icon_pdf.gifPDF (PDFファイル;945KB)・icon_word.gifテキストデータ (Wordファイル;113KB))

・民事裁判手続のIT化に関する障がい当事者等団体アンケート結果 分析と評価

icon_pdf.gifPDF (PDFファイル;658KB)・icon_txt.gifテキストデータ (Textファイル;45KB))

・認定NPO法人DPI日本会議所属の個人からの回答

icon_pdf.gifPDF (PDFファイル;995KB)・icon_word.gifテキストデータ (Wordファイル;115KB))

・アンケート用紙(質問事項書)

icon_pdf.gifPDF (PDFファイル;285KB)・icon_word.gifテキストデータ (Wordファイル;121KB))


2019年11月21日付けで公表したarrow_blue_1.gif障害者差別禁止法制の見直しを求める意見書の内容をより多くの人に知ってもらうために、本意見書の内容を簡潔に整理したポンチ絵を作成しました。

・【詳細版】障がいのある人に対する差別をなくすために~障害者差別解消法を見直すべき4つのポイント~

icon_pdf.gifPDF (PDFファイル;277KB) icon_txt.gifテキストファイル (Textファイル;3KB)

・【わかりやすい版】障がいのある人への差別をなくすために

icon_pdf.gifPDF (PDFファイル;200KB) icon_txt.gifテキストファイル (Textファイル;2KB)



8 その他

水俣病問題検討プロジェクトチーム

人権擁護委員会と公害対策・環境保全委員会は、共同で「水俣病問題検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、調査・検討を行っています。水俣病特別措置法の運用の問題、不知火海沿岸の住民調査、チッソの分社化の問題などについて検討を行い、被害者の方々の幅広い救済を求めて活動をしています。


手錠・腰縄問題プロジェクトチーム

人権擁護委員会では、「手錠・腰縄問題プロジェクトチーム」を立ち上げ、刑事法廷内における入退廷時に、被疑者または被告人に手錠・腰縄を使用しないことを求める活動を行っています。


参考情報

人権大会決議

2024年10月4日開催の第66回人権擁護大会にて、arrow_blue_1.gif刑事法廷内における入退廷時に被疑者・被告人に対して手錠・腰縄を使用しないことを求める決議を採択しました。


意見書

2019年10月15日に、 arrow_blue_1.gif刑事法廷内における入退廷時に被疑者又は被告人に手錠・腰縄を使用しないことを求める意見書を発出しました。


パンフレット

手錠・腰縄使用問題に関するパンフレットを発行しています。
icon_pdf.gifSTOP!!法廷内での手錠・腰縄 (PDFファイル;5897KB)


動画

手錠・腰縄使用問題に関する動画を公開しています。
icon_page.pngこの姿 見られたくない 見たくない~法廷内での手錠・腰縄姿~


ポンチ絵

刑事法廷内における手錠・腰縄使用問題に関するポンチ絵を作成しました。
icon_pdf.gif ポンチ絵「刑事法廷内での被疑者・被告人に対する手錠・腰縄の使用に反対します!」(PDFファイル;101KB)