外国人の出入国・在留管理を強化する新しい体制の構築に対する意見書

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2005年(平成17年)12月15日
日本弁護士連合会


本意見書について


現在、政府においては、テロや外国人犯罪の未然防止、不法滞在者の減少を目的として、外国人の出入国・在留管理を強化する新しい体制の構築が検討されています。また、これに併せて、自由民主党も、新たな入国管理施策の提言を行っています。

日弁連では、このような体制の構築に対し、プライバシー権や自己情報コントロール権、外国人に対する差別的取扱いの禁止等の観点から、2005年12月15日の理事会で意見書をとりまとめ、12月26日に内閣総理大臣・法務大臣・外務大臣・厚生労働大臣・警察庁長官などに提出しました。

意見の概要は下記のとおりです。

  1. 出入国時に指紋情報・顔情報といった生体情報の提供を義務づけることについては、採否を含めて慎重に検討すべきであり、仮に導入するとしても、指紋情報の提供の義務化は採用すべきではない。
    また、すでに入国審査を経て在留資格を取得している外国人が再入国する場合は、その対象から除外するべきである。
  2. 取得した生体情報を保管し、外国人の在留管理や犯罪捜査などに利用することについては、反対する。仮に生体情報の提供を義務づけるとしても、出入国審査における照合が完了した時点で、ただちに消去するべきである。
  3. IC在留カード(仮称)を発行して、その取得・携帯を義務化すること、勤務先・学校等に外国人の受入れに関する報告義務を課すこと、外国人の情報を集中的・一元的に管理して情報の総合管理機能を充実・強化することについては、反対する。
  4. 旅館業者による外国人宿泊客の本人確認については、その目的・要件を法律で明確に定めるべきである。ただし、旅券の写しを旅館業者に保管させたり、取得した情報の警察等への提供を義務づけることなどはすべきではない。
  5. 関係省庁の協議により認定されたテロリストの上陸拒否・退去強制を行う制度の導入にあたっては、テロリストの定義を明確かつ厳格なものとしなければならず、また、十分に適正な手続が保障されるべきである。


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