障がいのある人に対する差別をなくすために 〜障害者差別解消法を見直すべき4つのポイント〜 障害者差別解消法は、障がいのある人に対する差別をなくすためにつくられました。 けれど、障がいのある人に対する差別はまだたくさんあります。 日本弁護士連合会は障害者差別解消法の見直しを求めています。ここでは特に大事な4つのポイントを紹介します。 1 だれもが障がいを理由とする差別を受けないために ジムの前で泣いているショートヘアの女性: 「精神科病院に過去に入院していたことを理由に、スポーツクラブへの入会を断られました。これは、障がいを理由とする差別といえますか?」 今は障がいがなくても、過去に障がいがあったことを理由とする差別もはっきりと禁止すべきです 両手を前に出して拒否する姿勢の医師のイラスト: 「HIVウイルスに感染していることを理由に、病院で治療を拒否されました。症状は出ておらず普通に生活していますが、障がいを理由とする差別といえますか?」 今は障がいがなくても、将来障がいが生じるかもしれない病気などを理由とする差別もはっきりと禁止すべきです 荷物をまとめて会社から出ていく男性: 「リウマチのため、体がだるくて動けない日もあれば、よく動ける日もあります。体が動けず仕事ができない日があることを理由に、会社をクビになりました。障がいを理由とする差別といえますか?」 体調の悪いときがいつも続くわけではない人への障がいを理由とする差別もはっきりと禁止すべきです 2 障がいを理由とする あらゆる差別をなくすために 白い杖を持って一人で歩く女性: 「うちの会社では目の見えない人は働けません。」 これが差別であることは、すぐわかります。 では、次の場合はどうでしょうか。 白い杖を持ってガイドヘルパーのひじにつかまって歩く男性: 「うちの会社では自分1人で仕事に通える人しか働けません。」 目の見えないことを理由に働けないとはっきり言っているわけではありません。 けれど、ガイドヘルパーなしで仕事に通えないとき、目の見えない人は会社で働けません。 障がいをはっきりとした理由としていなくても障がいのある人だけが損をするときは障がいを理由とする差別としてはっきりと禁止すべきです 3 どこでも合理的配慮を受けるために 【行政機関等】 今の差別解消法: 合理的配慮を必ずしなければならない 具体例: 市立小学校 県立病院 市バス 【民間事業者】 今の差別解消法: できるだけ合理的配慮をするようがんばる 具体例: 私立小学校 民間の病院 民間のバス たとえば、同じ障がいがあっても、市立小学校に通う子どもは合理的配慮を受けられるのに、私立小学校に通う子どもは合理的配慮を受けられないということは、おかしな話です。 民間事業者も合理的配慮を 必ずしなければならないと決めるべきです *「合理的配慮」とは、障がいのある人の一つ一つの困りごとに合わせて工夫することです。 4 差別を受けたとき、安心して相談するために。話し合いで解決するために。 渋い顔をする大家さんに対して手話で話しかけている男性: 「耳がきこえないことを理由に、アパートを借りるのを断られました。アパートに住めるよう相談できる窓口はありますか? だれかに立会ってもらい、大家さんと話し合いをできないですか?」 差別を受けたときに相談できる窓口(センター)を、地域につくるべきです。 また、差別を受けた人が、相手と話し合いをできるしくみをつくるべきです。