入国者収容所等視察委員会の改革に関する意見書

icon_pdf.gif意見書全文 (PDFファイル;338KB)

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2020年8月20日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日弁連は、2020年8月20日付けで「入国者収容所等視察委員会の改革に関する意見書」を取りまとめ、同月25日付けで、法務大臣 、出入国在留管理庁長官 、東日本地区入国者収容所等視察委員会 、西日本地区入国者収容所等視察委員会 、衆議院議長 、参議院議長宛てに提出しました。


本意見書の趣旨

当連合会は、出入国管理及び難民認定法61条の7の2に基づき設立された入国者収容所等視察委員会(以下「視察委員会」という。)の視察機能を強化するため、視察委員会、国、法務大臣及び出入国在留管理庁長官に対し、以下の改善・改革を行うことを求める。


1 独立性の確保


(1) 視察委員会は、独自に視察基準を策定し、視察委員会の視察指針を明確にすること。


(2) 法務大臣及び出入国在留管理庁長官は、視察委員会運用要領を廃止し、視察委員会の運営及び委員の活動やその在り方については、視察委員会が独自に決定することを保障すること。


(3) 国は、視察委員会を法務省や出入国在留管理庁から独立した組織とし、その活動は事務も含めて同省や同庁以外の者が担うことを徹底するなど、独立性が組織的に担保されるような法改正を行うこと。


2 視察対象事項・範囲の拡張


(1) 視察委員会は、「入国者収容所等の適正な運営」に密接に関連する仮放免を 含む収容からの解放にかかる手続の運用、収容施設間の移収の運用に対しても視察を行うこと。


(2) 国は、前項の視察委員会の視察対象事項及び範囲が明確にされるよう法改正を行うこと。


3 視察委員会の視察活動の充実化


(1) 視察委員会は、施設において憂慮すべき事態が生じた場合には、速やかに臨時の視察・調査を行い、必要に応じて、施設外の関係者等からの事情聴取、情報交換等を行うこと。


(2) 法務大臣及び出入国在留管理庁長官は、視察委員会の視察活動が充実化されるために視察委員会を増設し(特に被収容者の多い施設については、より高い頻度での視察を行うことができるよう、当該施設のみを担当する視察委員会を設置すること)、かつ、各視察委員会が指定する独自の活動補助者を使用すること並びに資料の管理及び当該活動補助者の業務のために必要な物理的スペースを確保するなどして必要な支援を行い、視察委員会の活動に干渉しないこと。


(3) 法務大臣及び出入国在留管理庁長官は、視察委員会の要求に応じて、収容施設にかかる十分な情報を提供し、また、視察委員会による夜間視察を含め、任意の時期、任意の時間において、視察委員会が求める収容施設の任意の部分を視察することができるよう、各収容施設管理責任者をして最大限の対応をさせること。


(4) 国は、視察委員会の活動強化のために、委員の負担、実際の活動内容に応じた十分な報酬を確保できるような予算措置を講じ、法務大臣は、視察委員会が視察目的に従った十分な活動を行えるような予算配分を講じること。


(5) 国は、視察委員会の意見に従い、収容施設の設備及び運用の改善が実行できるよう必要な予算措置を講じること。


4 視察委員会の活動に関する情報公開及び広報


(1) 視察委員会は、被収容者に対し視察委員会の活動や視察成果を知るための具体的措置を採り、かつ、対外的に視察委員会の活動内容に関する情報を積極的に公表すること。


(2) 法務大臣もしくは出入国在留管理庁長官は、視察委員の選考基準・過程の透明化、委員氏名の公表など、視察委員による公正な視察活動を制度上担保する方策を採ること。




(※本文はPDFファイルをご覧ください)