弁護士任官の推進(弁護士任官等推進センター)
弁護士任官とは
1 弁護士任官とは
弁護士経験を積んだ人が裁判官または検察官になることを「弁護士任官」と呼んでいます。
裁判官への任官には、常勤任官と非常勤任官があります。
「弁護士になった後裁判官になる道があることを知っていますか(2022年改訂版)」 (PDFファイル;449KB)
2 常勤任官とは
常勤で勤務する裁判官になることを常勤任官といいます。現在の日本の裁判官は、司法試験合格後、司法研修所で司法修習という一定の研修を受けた後、直ちに「判事補」という身分で裁判官に任官し、そしてそのほとんどが10年後にそのまま「判事」になっていきます。これに対し、弁護士経験のある者から裁判官を任用することを常勤任官(狭義では弁護士任官といえばこの常勤任官を指します。)といいます。幅広い社会経験を持つ弁護士が裁判官になることによって、司法がより身近で頼りがいのあるものとなっていくことを期待しています。
2020年10月1日現在65名の弁護士任官者が全国で活躍しています。
弁護士任官Q&A(常 勤) (PDFファイル;954KB)
3 非常勤任官とは
常勤任官に対して、非常勤裁判官になることを非常勤任官といいます。「非常勤裁判官」とは、弁護士としての身分をもったまま、週1日裁判所に登庁して、民事調停又は家事調停に関し、裁判官と同等の権限をもって調停手続を主宰する者のことです。正式には、民事調停官(民事調停法第23条の2)、家事調停官(家事事件手続法第250条)といいますが、これら2つをあわせて「非常勤裁判官」という通称で呼んでいます。非常勤裁判官に対し、上記2のフルタイム勤務の裁判官を「常勤裁判官」と呼んでいます。
弁護士任官Q&A(非常勤) (PDFファイル;590KB)
4 検事任官とは
2001年6月の司法制度改革審議会意見書で、「弁護士から検察官に任官する例は皆無に近いなど、人材の相互交流は極めて低調である。」(100頁)と指摘されたことを受け、日弁連と法務省が協議した結果、法務省において、「弁護士からの検事採用選考要領」 (PDFファイル;118KB)が制定されました。この選考要領に基づいて弁護士から検察官に任官することも、「弁護士任官」の一形態であり、日弁連としては、より良い検察を実現するために、会員のみなさまに対して推奨しています。
検事任官の手続の流れ
弁護士からの検事任官は、現状では、日弁連内で特別な審査を行っておらず、申込書類を法務省大臣官房人事課に、直接又は日弁連を経由して、提出していただいています。関心をお持ちの方は、日弁連法制部法制第一課までお問い合わせください。
弁護士任官等推進センターの活動
日弁連では、2002年10月に弁護士任官を推進する「弁護士任官等推進センター」を設置し、常勤任官・非常勤任官を推進するための地道な活動をしています。また、2005年から開始された弁護士職務経験制度(判事補および検事が、一定期間(原則2年)その身分を離れ、弁護士となってその職務を経験する制度)を支援する活動もしています。
主な活動内容
- ①全国各地で弁護士任官推進のための集会や懇談会を開催し、また、弁護士任官およびこれを支える体制についてのパンフレットを作成する等の広報活動を行っています。
- ②市民にとってより親しみやすく頼りがいのある弁護士が任官できるように、任官希望者を募集し、支援しています。
- ③弁護士任官した弁護士が、裁判所の中で、市民感覚を鋭く持ち続けながら実力を発揮できるように、激励をしたり、弁護士任官者相互の交流を図る機会を設けています。
- ④弁護士任官推進のための各種の仕組みづくりをしています。
- ⑤多様な弁護士の中から、市民にとって必要な人材が裁判官に採用されるように、定期的に最高裁判所と話し合いをしています。
- ⑥弁護士職務経験制度を支援するため、受入事務所を募ったり、弁護士職務経験者相互の交流を図る機会を設けています。