日台複数籍者の日本国籍離脱の取扱いの変更について

日本国籍と台湾籍(中華民国政府から見て同国籍を有すると解される者の国籍をいう。)を持つ当事者(日台複数籍者)の日本国籍の離脱(国籍法13条1項)について、法務省の取扱いが変わりました。


これまで、日台複数籍者が、日本国籍を離脱して台湾籍のみを保有する状態になろうとしても、法務省は認めていませんでした。

この取扱いについては、1972年の日中国交正常化以降、中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府として承認していることを前提として、国籍法13条1項で定める日本国籍の離脱の届出については、「外国国籍を有することについて、当該外国政府の権限のある者が発行した証明書の提出を求めているところ、台湾当局発行の証明書はこれに当たらない」、そのため、日本国籍を離脱するといわゆる無国籍状態に置かれることが理由であると説明されていました。

ところが、2021年9月24日に、日弁連がarrow日台複数籍者の国籍選択に関する人権救済申立事件について勧告を行い、これについて措置後照会を行ったところ、その回答の中で、上記取扱いを変更したとの回答がありました。


法務省は、日台複数籍者の日本国籍離脱の取扱いの変更内容について、法務省ウェブサイトの「国籍Q&A 」や、令和4年8月8日付け法務省民一第1688号民事局民事第一課長回答により周知しているとのことです(なお、法務省ウェブサイトの「blank国籍Q&A」では、取扱いを変更したことやその時期の記載はありません。)。


この取扱いの変更により、今後は日台複数籍者が台湾籍のみを保有することを望む場合には、台湾籍を有することを証明する複数の書類の提出等一定の条件をみたせば、日本国籍を離脱することが可能となります。詳細は「arrow日台複数籍者の国籍選択に関する人権救済申立事件(勧告) 」をご覧ください。