大村入国管理センターにおける長期収容に関する人権救済申立事件(勧告)

出入国在留管理庁、大村入国管理センター宛て勧告

2019年11月25日

 

 

申立人らは、大村入国管理センターに収容又は過去に収容されていた者であり、現在収容中の申立人らについては、放免、仮放免又は本国への送還がなされることもなく、収容期限を示されないまま収容期間が6か月を超え、多くは数年間にも及ぶほど長期間にわたり収容されていた。また、既に本国に送還された者及び仮放免を受けた者についても同様に、長期間の収容を余儀なくされていた。


このような申立人らに対する長期収容は、送還のための身体拘束であるという収容目的に違反しているだけでなく、身体拘束は必要最小限の範囲に留めるべきであるという比例原則にも反している。


よって、本件収容は憲法13条、31条、34条及び自由権規約9条等で保障された申立人らの身体の自由を不当に侵害するものであるとして、出入国在留管理庁長官・大村入国管理センター所長に対し、今後、本件のような人権侵害行為を繰り返さないこと及び本件のような人権侵害行為である収容を直ちに止めることを勧告した事例。



措置後照会に対する回答

<大村入国管理センター回答・2020年6月25日(木)>


・勧告の1及び2について


仮放免を許可して収容を解くか否かは、個別の事案毎に、被収容者を巡る諸般の事情を総合的に考慮して適切に判断しているところ、令和2年6月1日現在、申立人の大半は、仮放免等により入管収容施設に収容されていない状態となっている。


なお、入管の仮放免の運用については、(収容・送還に関する専門部会)の提言を受けて、出入国在留管理庁において、必要な検討がなされた場合には、その検討結果を受けて適切に行って参りたい。


・勧告3について


仮放免の審査に当たっては、被収容者に関する様々な事情を総合的に考慮しており、また、その過程で、申請書類の翻訳や追加資料の提出などに時間を要する場合があるため、結論に至るまでに一定の時間を要するが、可能な限り迅速な処理に努めている。


・勧告4について


仮放免の許可・不許可は、個別の事案毎に、被収容者を巡る諸般の事情を総合的に考慮して判断しており、その理由を個別具体的に示すことは困難であることから、仮放免を不許可とした場合は、申請人に対して、申請の理由等を総合的に判断した結果、これを認めるに足りる理由がない旨を書面で通知している。


なお、今後の仮放免の運用については、収容送還部会の提言を受けて出入国在留管理庁において必要な検討がなされた場合には、検討結果を受けて適切に行って参りたい。