検察庁内の同行室における食事中の手錠の使用に関する人権救済申立事件(勧告)

神奈川県警察本部、警察庁宛て勧告

2019年10月21日

 

 

神奈川県警察本部において、被留置者を横浜地方検察庁(本庁及び支部)の同行室内において待機させる際、食事時に一律に両手錠を施したままにする運用がなされているが、具体的な必要性及び相当性が認められない場合にまで一律に食事時に両手錠を施すことは、被留置者の品位を傷つけ人格権を侵害する取扱いであり、憲法13条、自由権規約7条に違反する人権侵害に当たるため、神奈川県警察本部、警察庁に対し、以下のとおり勧告した事例。

 

神奈川県警察本部は、上記運用を、具体的な必要性及び相当性の認められる場合にのみ限定する運用に直ちに改善するよう勧告する。

警察庁は、神奈川県警察本部及びその他の都道府県警察本部に対して被留置者を検察庁の同行室内や裁判所の同行室内において待機させる際、上記運用と同様に、食事時に一律に両手錠を施したままにする運用がなされていないかを調査し、そのような運用がなされている場合には、直ちに運用の改善を行うことを指導するよう勧告する。



執行後照会に対する回答

〈神奈川県警察本部長回答・2020年8月5日〉


同行室の保安設備の状況等から、食事中の手錠の運用を変更することは困難であると考えております。


〈警察庁長官官房総務課長回答・2020年8月4日〉


警察庁では、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第213条の規定に基づき、手錠を適正に使用するよう必要な指導を行っているところです。


検察庁内の同行室内や裁判所内の同行室内において被留置者に対して食事をさせるときの各都道府県警察における手錠の取扱いについては、同行室の利用可能人員や保安設備等が庁舎ごとに異なるほか、護送態勢、糧食の内容等が都道府県警察によって異なることなどから、一律の対応は困難であると考えておりますが、いずれにしても、引き続き、同法の適正な運用について適切に対応してまいりたい。