死刑制度の問題(死刑廃止及び関連する刑罰制度改革実現本部)
活動の概要
日弁連は、2002年11月22日に「死刑制度問題に関する提言」を発表し、また、2004年10月8日に第47回人権擁護大会で「
死刑執行停止法の制定、死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」を採択しました。 さらに、2011年10月7日の第54回人権擁護大会では、「
罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択しています。
この提言・決議の内容を実現するため、前身である「日弁連死刑執行停止法制定等提言・決議実現委員会」の活動を引き継ぎ、「死刑廃止検討委員会」を設置し、上記「提言」と「決議」の実行のため、以下のような活動を行いました。そして、2016年10月7日の第59回人権擁護大会では、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択しています。
この宣言を受け、これまでの死刑廃止検討委員会の活動を引き継ぎ、宣言の実現に向けて、2017年6月に「死刑廃止及び関連する刑罰制度改革実現本部」が設置されました。
(1)死刑執行停止法の制定に向けた取り組み
日弁連は、2002年の「死刑制度問題に関する提言」で、死刑執行停止法の制定を提唱し、「死刑執行停止法要綱(骨子)案」をまとめました。そして、その具体化として、「
死刑制度調査会の設置及び死刑執行の停止に関する法律案(通称「日弁連死刑執行停止法案」)」を策定しました。この法律案については、全国で公聴会を実施して意見を集約し、2008年3月の理事会で承認しています。
(2)死刑制度についての問題提起・情報発信-各種シンポジウムの開催
1. 人権と死刑に関する国際リーダーシップ会議(2005年12月6日・7日 弁護士会館クレオ)
2005年12月、欧州委員会(EC)、アメリカ法曹協会(ABA)と共催で、「人権と死刑に関する国際リーダーシップ会議」を開催しました。19か国から延べ300人の専門家が参加し、議論を交わしました。
2. 死刑廃止を考える日(2014年11月15日 青山学院大学)
このシンポジウムは、日弁連が「死刑」について市民とともに考えることを目的に、2008年から「死刑を考える日」と称し毎年開催して死刑に関する情報を提供してきました。そして、2011年の 高松市で採択した人権擁護大会宣言後の2012年から「死刑廃止を考える日」と改称して市民に情報を提供してきました。2014年に開催したこのシンポジウムでは、同年3月、静岡地方裁判所が袴田事件について、再審を開始し、死刑および拘置の執行を停止する画期的な決定をしたことを受け、「誤判・えん罪と死刑制度」をメインテーマにシンポジウムとして開催しました。また、同年3月に開催したシンポジウム「死刑を廃止したEUからのメッセージ」に続き、駐日英国大使館からジュリア・ロングボトム駐日英国公使をお招きして、スピーチをしていただきました。詳細は、「死刑廃止を考える」No.30 (PDFファイル;1.0MB)をご覧ください。
3. 死刑廃止を考える日(2015年11月16日 弁護士会館クレオ)
笹倉香奈甲南大学法学部教授からアメリカ合衆国の死刑廃止への変化についての基調講演、「名張毒ぶどう酒事件」の弁護団の一人である小林修委員長代行兼副委員長から同事件の特別報告、そして、元法務大臣・元衆議院議員の杉浦正健弁護士、平岡秀夫弁護士をお招きして、パネルディスカッション「法務大臣経験者と考える日本の死刑制度」が実施されました。詳細は、「死刑廃止を考える」No.32 (PDFファイル;2.5MB)をご覧ください。
4. 死刑廃止の実現を考える日(2016年12月19日 弁護士会館1701会議室)
2016年10月福井市で開催された第59回人権擁護大会において「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」が採択されたことを受けて、これまでのシンポジウム「死刑廃止を考える日」を「死刑廃止の実現を考える日」と改称して開催されました。この日のシンポジウムでは、同宣言の概要と目的についての報告、駐日欧州連合代表部のフランチェスコ・フィニ公使の講演、国会議員、新聞社の論説委員を招いてパネルディスカッションが行われました。詳細は、「死刑廃止を考える」No.33 (PDFファイル;2.1MB)をご覧ください。
※それ以前の活動の詳細は、委員会ニュース「死刑廃止を考える」をご覧ください。
5. 死刑廃止の実現を考える日 (2017年11月20日 弁護士会館1701会議室)
この日のシンポジウムでは、 第1部は基調報告、 フランチェスコ・フィニ駐日欧州連合代表部公使およびアーリン・リーメスタ駐日ノルウェー王国大使からのゲストスピーチ、 袴田事件再審事件弁護団事務局長の小川秀世弁護士から特別報告をいただき、 第2部においては、 漆原良夫前衆議院議員、 杉浦正健元法務大臣、 平岡秀夫元法務大臣をスピーカーとしてお招きして「日本における死刑廃止に向けての政治家の役割」と題したトークセッションを行いました。詳細は、「死刑廃止をめざして」No.2 (PDFファイル;3.0MB) をご覧ください。
6. シンポジウム「死刑制度の廃止を求めて~憲法と国連の活動の観点から~」(2018年3月5日・龍谷大学響都ホール校友会館)
死刑制度の廃止に向けた活動を全社会的な活動とするため、幅広く市民の方に向けてアピールする機会としてシンポジウムを開催しました。当日は木村草太首都大学東京教授から「憲法と死刑」と題した基調講演、大阪弁護士会作成の「絞首刑を考える」上映、菊田幸一明治大学名誉教授から「国連の理念」と題した基調報告、木村草太首都大学東京教授,森達也氏 (映画監督、作家、ジャーナリスト)、梶田真章氏(法然院貫主)をスピーカーとしたトークセッション「思考の転換(パラダイムシフト)」が行われました。詳細は、「死刑廃止をめざして」No.3をご覧ください。
7. 死刑廃止の実現を考える日(2018年10月23日・同2階クレオBC)
シンポジウムでは、ポール・マデン駐日英国大使、フランチェスコ・フィニ駐日欧州連合代表部公使/副代表からゲストスピーチをいただき、委員による基調報告の後、萱野稔人津田塾大学教授から「死刑廃止を哲学する」と題した基調講演をいただきました。その後、萱野教授、伊藤智永毎日新聞編集委員兼論説委員、実現本部委員をスピーカーとしたトークセッションを行いました。漆原良夫前国会議員、参加国会議員からもスピーチをいただきました。詳細は、「死刑廃止をめざして」No.4をご覧ください。
8. シンポジウム「死刑、いま命にどう向き合うか~京都コングレス2020に向けて~」(2019年3月2日・龍谷大学響都ホール校友会館)
午前の部は「三度目の殺人」の映画上映を行いました。午後は、実現本部委員による基調報告、ジャーナリストの安田純平氏と堀川惠子氏による対談「対テロ戦争における命」、ドイツ人ジャーナリストのヘルムート・オルトナー氏からの講演「国家が人を殺すとき、死刑を廃止する理由」、安田氏、堀川氏、龍谷大学教授の浜井浩一氏をパネリストとしたパネルディスカッション「死刑、いま命にどう向き合うか」が続きました。参加国会議員、前田万葉カトリック教会枢機卿、アリスター・カーマイケル英国国会議員からのゲストスピーチもいただきました。
9. 院内学習会「死刑制度は国益にかなうのか―外交関係における死刑の影響を考える―」(2019年6月4日・衆議院第一議員会館国際会議室)
オーストラリアから、弁護士のジュリアン・マクマーン氏をお招きして「オーストラリアからみた死刑」をテーマに報告いただき、実現本部委員から、「死刑制度は国益にかなうのか」と題した基調報告を行いました。参加いただいた国会議員からも挨拶をいただきました。
10. G7 Bars Meetingにおける「死刑反対に関する宣言」への署名(2019年7月11日・フランス全国法曹評議会)
2019年、フランス全国法曹評議会(Conseil National Des Barreaux)がG7(先進7か国首脳会議)諸国の弁護士会を召集して開催したG7 Bars Meetingにおいて、「死刑反対に関する宣言」(Declaration of the Bar Associations and Law Societies of the G7 countries against the Death Penalty (PDFファイル;1.14MB))が取りまとめられ、日弁連もこれに署名しました。
11. 「死刑廃止の実現を考える日」(2019年11月25日・弁護士会館)
「2020年までの死刑制度の廃止を目指して」をテーマに,イギリスからソール・レ・フロインド氏(Death Penalty Project共同創設者兼共同執行役員)、フランスからリシャール・セディヨ氏(フランス全国弁護士会評議会国際委員会副委員長)を特別報告者としてお迎えして議論を行いました。朝日新聞の井田香奈子国際報道部次長からは「『死刑のある社会』を報道するということ」と題して特別報告をいただきました。
また、死刑制度廃止に伴う代替刑の議論の必要性について、日弁連がまとめた「死刑制度の廃止並びにこれに伴う代替刑の導入及び減刑手続制度の創設に関する基本方針」を紹介しながら問題提起を行いました。
12.京都コングレスサイドイベント「死刑廃止に向けて―国際社会における死刑廃止へ向けた取組とアジア・太平洋地域における現状、そしてその課題」(2021年3月10日・オンライン開催)
第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)におけるサイドイベントにおいて死刑廃止に向けた議論を行いました。
オーストラリアからジュリアン・マクマーン氏がオンラインにて参加し、同国政府が2018年に発表した「死刑廃止のための戦略」について報告がありました。
13. 国際シンポジウム「刑事司法の未来を展望する―刑事司法制度は死刑制度や弁護士への攻撃とともに共存できるのか」(2021年3月13日・オンライン開催)
京都コングレスの開催(同年3月7日~12日)に併せて日弁連主催の標記シンポジウムを開催しました。
第2部(テーマ:「世界のあらゆる国と地域での死刑廃止を目指す-国際法における死刑制度の違法性」)では、オーストラリア国立大学のドナルド・ロスウェル教授からの基調講演や国会議員等からのメッセージ、パネルディスカッションを行いました。
現職の国会議員からは、河村建夫衆議院議員(「日本の司法制度の今後を考える議員の会」会長)、山口那津男参議院議員および福山哲郎参議院議員、関係機関からは、公益財団法人全日本仏教会の戸松義晴理事長および元衆議院議員・元法務大臣の谷垣禎一氏に参加をいただき、スピーチまたはビデオメッセージをいただきました。
シンポジウム終盤に、日弁連会長、UIA会長および駐日欧州連合特命全権大使の連名で、「世界のあらゆる国と地域での死刑廃止を目指す共同メッセージ (PDFファイル;144KB)」を発表しました。
詳細は開催報告 (PDFファイル;433KB)をご覧ください。
14. シンポジウム「刑罰制度改革の一環として死刑制度を考える」(2021年4月12日・オンライン開催)
名執雅子氏(元法務省人権擁護局長及び矯正局長)による基調講演「新自由刑と今後の展望」、笹倉香奈氏(甲南大学法学部教授)による特別講演「アメリカの死刑制度の今後」、「袴田事件弁護団からの特別報告」として、弁護団の小川秀世事務局長から報告をいただきました。
さらに、河村建夫衆議院議員(「日本の死刑制度の今後を考える議員の会」会長)、参加国会議員からスピーチをいただきました。
詳細は 開催報告 (PDFファイル;818KB)をご覧ください。
15. シンポジウム「死刑廃止へのロードマップ~米国の死刑制度の行方とわが国の死刑制度~」(2021年8月11日・オンライン開催)
2021年7月1日、米国のガーランド司法長官は連邦レベルで死刑の執行を一時的に停止するとの指示を公表しました。これは今後の連邦レベルでの死刑制度の廃止を期待させるものです。
米国の死刑制度の廃止への動きがわが国の死刑制度にどのような影響を与えるのか、司法外交を掲げるわが国は死刑制度にどう臨むべきか、死刑制度をめぐる国内世論といかに向き合うか等について、笹倉香奈氏(甲南大学法学部教授)、佐藤大介氏(共同通信編集委員兼論説委員)、矢倉克夫氏(参議院議員・「日本の死刑制度の今後を考える議員の会」幹事長)をお招きし、パネルディスカッションを行いました。
詳細は 開催報告 (PDFファイル;703KB)をご覧ください。
(3)死刑に関する刑事司法制度の改善等に向けた取り組み
死刑は生命を奪う究極の刑罰であるため、国際人権基準(国際人権(自由権)規約、「死刑に直面する者の権利の保護の保障に関する決議」(国連経済社会理事会決議1984/50)など)は、死刑廃止が望ましいことを強く示唆しています。また、死刑を存置する国に対し、死刑廃止を目指して死刑適用犯罪を減らすとともに、死刑に直面する者に対しては、手続のあらゆる段階において、通常刑事事件における権利保障に比べて特別の保護が与えられるべきであるとしています。
ところが、日本では、制度上も運用上も、誤判の防止のための制度が欠けており、死刑に直面する者に対する権利保障が不十分です。死刑確定者の処遇や執行手続においても人道上問題のある状態にあり、国際人権基準から見て違反・違法な状態にあるといえます。
自白強要の温床との批判の高い「代用監獄」の廃止、全面的証拠開示の確立、死刑判決における裁判官全員一致制、必要的上訴制度等、誤判防止のための制度整備や、捜査・公判・刑の確定後から執行を含む、あらゆる段階における徹底した弁護権・防御権の保障、恩赦制度の整備確立、各種執行制限等の措置を通じて、こうした違反・違法な状態を解消しなければなりません。
日弁連は、日本でも国際人権基準が守られるよう、制度改善策を提言していきます。
(4)死刑に関する情報開示の実現に向けた取り組み
日本の死刑の実態は、政府による「密行主義」のもと、まったくといってよいほど明らかにされていません。死刑制度について、見直しや存廃の議論をするためには、死刑確定者の処遇の実態や死刑確定者の心身の状態、刑場の状況、執行の意思決定、執行方法、死刑制度の維持に要する費用等、死刑に関する情報が十分に開示されていなければなりません。
日弁連は、政府に対し、死刑制度全般に関する情報を広く公開すること、死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くすことを求めています。
(5)死刑に直面する者の刑事弁護のあり方についての検討
死刑事件の弁護は、被告人の命を預かる重い仕事であり、責任は重大です。その上、被告人は社会からの激しい非難にさらされるだけでなく、家族や友人から見放されていることも少なくありません。また、その弁護を引き受ける弁護士も、社会的な攻撃対象になることもあります。しかし、弁護士の使命として、重大事件の弁護にしっかりと取り組まなければなりません。
日弁連は、2004年の人権擁護大会において、「死刑に直面している者が、手続のあらゆる段階において弁護士の適切にして十分な援助を受けることができるよう、死刑に直面する者の刑事弁護実務のあり方についての検討に直ちに取り組む決意である」ことを決議しました。この決議を実行するためには、死刑事件を担当した弁護士の経験を広く共有し、分析して、今後の重大事件の弁護活動に生かしていくことが重要と考え、研修会や経験交流会を通じてあるべき弁護の姿とは何かを考え、研鑽に努めています。
(6)犯罪被害者・遺族に対する支援等の取り組み
死刑制度の問題は、しばしば犯罪被害者の被害感情と関係付けられます。犯罪被害者、とりわけ殺人等により生命を奪われた被害者遺族の被害感情は深刻です。しかし、死刑制度の存続のみで、被害者遺族の問題が解決するものではありません。
犯罪の被害に遭われた方やその家族の方々には、適切な経済的支援、精神心理的な面での配慮と支援、刑事司法手続への適切な関与や被害者の権利の確立等の被害者支援策の充実が必要です。それは、加害者への刑罰のあり方の議論とは関係なく、強力にすすめられるべき課題です。
被害者支援が不十分な状態では死刑廃止や執行停止は時期尚早であるとか、逆に、被害者支援がすすんだら死刑廃止や執行停止をしてもよいという議論は、いずれも適切ではありません。
日弁連は、犯罪被害者が長い間忘れられがちな存在であったとの認識に立ち、1999年10月22日理事会で「犯罪被害者に対する総合的支援に関する提言」を採択し、被害者支援に本格的に取り組む姿勢を明らかにし、「犯罪被害者支援委員会」を設置しました。現在、同委員会を中心に、活発な犯罪被害者支援活動を展開しています。
(7)死刑問題に関する海外調査
大韓民国
1998年の金大中大統領(当時)就任以来、韓国では死刑執行を事実上停止しています。日弁連では、2003年および2012年に視察調査を行い、その結果を「大韓民国死刑制度調査報告書」(2003年)、「死刑制度に関する大韓民国調査報告書」(2012年)にまとめています。
アメリカ合衆国
一般に、アメリカ合衆国は死刑存置国と呼ばれますが、実際には、アムネスティ・インターナショナルによると50州中の19州では死刑が廃止され、4州は死刑モラトリアム(執行停止)を採用しています。また、2016年に死刑執行した州は5州のみとなっています。アメリカ法曹協会(ABA)が1997年に死刑執行停止決議を採択して以来、死刑存置州の弁護士会や地方政府でも死刑執行停止決議が相次いでいます。イリノイ州では2001年、州知事が死刑執行を停止し、2003年1月には、司法制度に問題があるとして死刑囚167人を一括減刑しました。
日弁連では、2004年3月に視察調査を行い、ABAの死刑執行停止に向けた取り組み、死刑確定者・終身刑受刑者の処遇、犯罪被害者と死刑に関する問題等について調査しました。その結果は、「アメリカ死刑問題調査報告書」にまとめています。また、ABAの死刑モラトリアム(執行停止)実行プロジェクトが2003年8月にまとめた報告書も、翻訳・出版しています。
EU
このほか、ヨーロッパなど、すでに死刑を廃止した国の現状などについても、2005年8月に、ドイツ・イギリスにおける調査研究を行いました。その結果は、「ドイツ・イギリス調査報告書―死刑廃止国におけるえん罪・被害者支援・代替刑―」にまとめています。
2011年には、ノルウェーにおける視察調査を行いました。その結果は、海外調査報告書 (PDFファイル;2.2MB)にまとめています。
また、2016年には、イギリス・スペインの視察調査を行い、その結果は、第59回人権擁護大会シンポジウム第3分科会海外調査報告書 (PDFファイル;8.2MB)にまとめています。
(8)世論の検証
内閣府が2014年11月に実施した世論調査によれば、「死刑もやむを得ない」という回答が80.3%ですが、そのうち、「将来も死刑を廃止しない」と答えた者の割合が57.5%、「状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよい」と答えた者の割合が40.5%となっています。
また、仮釈放のない「終身刑」が新たに導入されるならば、「死刑を廃止する方がよい」と答えた者の割合が37.7%、「死刑を廃止しない方がよい」と答えた者の割合が51.5%となっています。
この世論調査によって示されている死刑制度に関する国民の基本的な意識は、日本も将来は死刑廃止があり得ることを示すものであり、この結果は極めて重要です。
日弁連では、次の世論調査に向けて、専門家による分析・意見を踏まえて、2018年6月14日付け 「死刑制度に関する政府の世論調査に対する意見書」を取りまとめ、内閣総理大臣及び法務大臣宛てに提出しています。
その後、内閣府が2019年11月に実施した世論調査については、2020年1月17日に調査の実施と結果について公表されました。「死刑もやむを得ない」という回答が80.8%(前回80.3%)、「状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよい」との回答が39.9%(前回40.5%)となっています。
また、仮釈放のない終身刑を導入した場合の死刑廃止の是非について、「廃止しないほうがよい」が52.0%(前回51.5%)、「廃止するほうがよい」が35.1%(前回37.7%)でした。また、今回の調査の実施に当たっては、法務省に「死刑制度に関する世論調査についての検討会」が設置されました。
この世論調査によって示されている死刑制度に関する国民の基本的な意識は、日本も将来は死刑廃止があり得ることを示すものであり、この結果は極めて重要です。
日弁連では、世論調査の結果を踏まえ、2020年1月23日付けで、「死刑制度に関する政府世論調査結果についての会長談話」を公表しています。
(9)死刑に関する基本資料・各種ツール
死刑に関する基本資料と、当連合会や全国の弁護士会が作成した各種ツール、動画などを以下にまとめました。どなたでもご活用いただけます。
関連サイト
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「死刑制度について考える」(大阪弁護士会制作)
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「絞首刑を考える」(大阪弁護士会制作)
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パンフレット
- パンフレット「死刑制度の廃止及び関連する刑罰制度の改革に向けて」 (PDFファイル;460KB)
- パンフレット「死刑制度いる?いらない?」 (PDFファイル;4.9MB)
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図解資料
- 「死刑制度について考える」説明資料 (PDFファイル;1.37MB)
- 「死刑と国際・外交問題」説明資料 (PDFファイル;219KB)
- 「死刑制度に関する世論調査・ミラー調査について」説明資料 (PDFファイル;101KB)
- 死刑制度の実情に関する広報資料 (PDFファイル;281KB)
- 「死刑制度の廃止に伴う代替刑の制度設計に関する提言」説明資料 (PDFファイル;679KB)
- 「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」(2011年10月7日・高松宣言)
- 「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」(2016年10月7日・福井宣言)
- 「死刑制度問題に関する提言」(2002年11月22日)
- 「死刑執行停止法の制定、死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」(2004年10月8日)
- 「死刑制度調査会の設置及び死刑執行の停止に関する法律案(通称「日弁連死刑執行停止法案」)」(2008年3月13日)
- 「死刑制度の廃止に伴う代替刑の制度設計に関する提言」(2022年11月15日)
各地の弁護士会の決議
滋賀弁護士会「死刑廃止を求める決議」(2016年9月27日)
宮崎県弁護士会「死刑執行の停止及び死刑制度の廃止に向けた取り組みを求める決議」(2018年6月29日)
札幌弁護士会「死刑執行の停止及び死刑制度の廃止を求める決議」(2019年2月26日)
中国地方弁護士会連合会「死刑制度の廃止を求める決議」(2019年11月1日)
大阪弁護士会「死刑制度の廃止に関する決議」(2019年12月9日)
島根県弁護士会「死刑制度の廃止に向けた取り組みを求める決議」(2020年2月7日)
埼玉弁護士会「死刑廃止に関する総会決議」(2020年3月26日)
福岡県弁護士会「死刑制度の廃止を求める決議」(2020年9月18日)
東京弁護士会「死刑制度廃止に向け、まずは死刑執行停止を求める決議」(2020年9月24日)
広島弁護士会「死刑制度の廃止を求める決議」(2020年10月23日)
愛知県弁護士会「死刑制度の廃止を求める決議」(2020年12月15日)
仙台弁護士会「死刑制度の廃止を求める決議」(2021年2月27日)
神奈川県弁護士会「死刑執行の停止及び死刑制度の廃止に向けた取り組みを求める決議」(2021年3月2日)
第二東京弁護士会「死刑制度の廃止を求める決議」(2021年3月22日)
沖縄弁護士会「死刑制度の廃止を求める決議」(2022年3月11日)
岡山弁護士会「死刑廃止に関する岡山弁護士会総会決議」(2023年2月20日)
長崎県弁護士会「死刑制度の廃止等を求める決議」(2023年2月22日)
熊本県弁護士会「死刑執行の停止及び死刑制度の廃止に向けた取り組みを求める決議」(2023年3月2日)