外国法事務弁護士制度・国際法律業務

活動の概要

当委員会は、外国弁護士が、日本において、一定の要件の下で原資格法に関する法律事務の提供ができることとした、外国弁護士による法律事務の取扱に関する特別措置法(「外弁法」)が施行された1987年に、外国法事務弁護士に関する委員会として設置されました。


その後、1997年、外国弁護士および国際法律業務委員会(略称「外弁委員会」)へと名称変更がなされました。


当委員会の活動は、①外国法事務弁護士(「外弁」)の資格承認等についての意見案の作成、②外国法事務弁護士が外国において所属する事業体の組織形態に関する調査と意見の形成、③弁護士および外弁を取り巻く諸条件を整備するための調査・研究に大別されます。


具体的には、

  • (1) 外弁法に基づく資格承認・特定外国法の指定の申請に関する法務大臣からの求意見に対して、日弁連が法務省に提出する意見を当委員会において毎月検討しており、2018年4月から2019年3月までの1年間において、62件の資格承認・特定外国法の指定の申請に対応しています。
  • (2) 2011年以降、イギリスにおいて、非弁護士によって所有・経営される法律事務所の形態(ABS)が認められたことから、そのような形態の事務所に所属する外国弁護士が日本において外弁として登録する場合の影響・方策等につき当委員会にて検討を進め、2014年3月19日付けで、「海外のABS所属の外国弁護士の外国法事務弁護士としての登録申請に関する基本的な方針」を策定し、同方針に基づき、非弁護士が所有・経営に携わる法律事務の提供を目的とする一定範囲への外国の事務所等への帰属を禁止する旨の外国法事務弁護士職務基本規程の改訂案を取りまとめました。その後、2018年4月から、「外国法事務弁護士が外国において所属する事業体の組織形態に関する事項」が当委員会の所管事項に加わりました。
  • (3) 当委員会は、日弁連および法務省が設置した「外国法事務弁護士制度に係る検討会」にて検討された、職務経験要件基準の緩和および混合法人制度の設立を可能とすることを関係機関に要望する旨の報告書を作成するに際して、バックアップを行いました。
  • (4) 2005年2月に作成された「外国特別会員のための規則案内(改訂版)」に基づき、当委員会は、外国法事務弁護士等の名称等に関する留意事項を記載した「外国法事務弁護士事務所等の名称等に関する留意事項」を取りまとめました。
  • (5) 当委員会は、諸外国の外弁制度等を把握すべく、2008年以降、九州大学ヤングリーダーズプログラム(「YLP」)に参加しているアジアを中心とした留学生(法曹資格者等)に対して、各国の外弁制度と弁護士制度に対するアンケート調査を実施しています。
  • (6) 2018年には、外弁制度施行30年を記念して、会誌「自由と正義」に外弁法特集を執筆し、外弁を交えた座談会を行う共に、外弁の活動に関する記事、ABSの関する規程等の改正に関する記事等を掲載しました。
  • (7) 外弁法や外弁に関する諸規程等に関する説明会と外弁との懇親会を2017年に行い、2020年にも行う予定です。

arrow_blue_1.gif外国法事務弁護士の方へ - Information for Registered foreign lawyer

 

最近の取り組みについて

第1部会:名称・表示等検討部会

当第1部会では、「外国特別会員のための規則案内(改訂版)」および「外国法事務弁護士事務所等の名称等に関する留意事項」で触れられなかった、外国法事務弁護士として登録していないが、外国法事務弁護士事務所または法律事務所に雇用されている外国弁護士の資格の表示問題、外国法共同事業を行っていないが、法律事務所のパートナーとなっている外国法事務弁護士の肩書の表示問題、法律事務所のアウトバウンドIPのパートナーとなっている外国弁護士の肩書の表示問題などの名称・表示等について引き続き検討しています。


第2部会:資格承認部会

(1)第三国における職務経験に関する検討グループ

当第2部会第三国における職務経験に関する検討グループでは、外弁資格承認に必要となる3年間の職務経験につき、原資格国以外の第三国における職務経験に基づく申請案件が近年増加しており、その職務形態も多様化していることから、過去の事例を整理すると共に、第三国職務経験を算入することができるための要件や立証資料につき検討・整理する、等の活動を行っています。


(2)労務提供等に関する検討グループ

当第2部会労務提供等に関する検討グループでは、1)法改正により労務提供期間が2年まで算入可能となることを念頭に、労務提供の期間、態様(法律事務所から企業へ出向している場合等を含む)を過去の事例に即して検討、整理すると共にその立証書類を検討する、2)法改正に伴いA、B法人が外弁を雇用する場合も含め、弁護士、弁護士法人等が外弁を雇用する場合に求めるべき財産的基礎、損害賠償能力の証明書類について過去の事例を整理し検討を加える、等の活動を行っています。


第3部会:ABS部会

当第3部会では、非弁護士が所有経営に関わる法律事務所形態であるAlternative Business Structure (ABS)を認める法域が増加している現状に鑑み、ABS形態をとる外国事業体に所属する外国弁護士資格者の外弁登録を規制する日弁連会規を適正に運用するため、ABSにかかる各国法域規制の現状把握、外弁登録手続で用いられる所属事業体事業形態申告書様式の改善、当委員会におけるABS該当性審査先例の整理などの活動を行っています。


第4部会:外弁との交流プロジェクトおよび広報部会


2017年12月説明会
当第4部会では、外弁法の改正、さらには、海外で活動する弁護士の支援や各国外弁制度の調査等に関する広報活動(日弁連ホームページ、会誌「自由と正義」、日弁連新聞への情報発信)に加えて、外弁法改正につき、外弁に対するセミナーの開催を行っています。

さらに、弁護士と外弁との交流を目的として、弁護士会館において、懇親会を企画しています。

要望書など

2005年9月1日および2009年1月27日に外弁事務所、渉外法律事務所等に対して、外弁の適正な登録を要請するための要請書(「いわゆる外弁法改正による外国法事務弁護士の共同事業の届出および共同経営者(パートナー)の外国法事務弁護士登録について(要望)」、「法律事務に従事する外国弁護士資格者(アソシエイト等)の外国法事務弁護士名簿への登録について(要請)」を発信しました。


要望書はこちらを参照