再審法改正に向けた取組(再審法改正実現本部)
再審とは
再審とは、誤判により有罪の確定判決を受けたえん罪被害者を救済することを目的とする制度です。えん罪被害者を救済する最終手段とも言えます。
個人の尊重を最高の価値として掲げる日本国憲法の下では、無実の人が処罰されることは絶対に許されず、えん罪被害者は速やかに救済されなければなりません。
現行の再審制度が抱える制度的・構造的な問題点
再審については刑事訴訟法に定めがありますが、再審の規定は、条文の中でわずか19条にとどまります。
再審請求審における具体的審理の在り方は裁判所の裁量に委ねられており、証拠開示の基準や手続は明確ではありません。そのため、いわゆる「再審格差」が生じています。また、再審開始決定がなされても検察官が不服申立てを行う事例が相次いでおり、えん罪被害者の速やかな救済が妨げられています。
このような現行の再審制度が抱える制度的・構造的な課題により、えん罪被害者の救済は遅々として進んでいません。名張事件・
袴田事件・大崎事件などえん罪性の強い事件が長期にわたり救済されず、再審は「開かずの扉」とも言われています。
諸外国における再審法制の改革状況―世界はえん罪とどう向き合ってきたか― 【2023年2月発行】(PDFファイル;931KB)
日弁連の取組
日弁連は、1959年の徳島事件以来、再審支援に取り組み、これまでに34件の再審事件を支援し、そのうち18件について再審無罪判決が確定しています。
日弁連は、これまでも再審制度の運用改善・法改正の必要性を指摘してきましたが、2019年10月の人権擁護大会で、①再審請求手続における全面的な証拠開示の制度化の実現、②再審開始決定に対する検察官による不服申立ての禁止を含む再審法の速やかな改正を求める決議を採択しました。そして、この実現に向けて、2022年6月に「再審法改正実現本部」を設置しました。
日弁連は、今後も再審法改正に向けた各種取組を進めてまいります。
再審法改正を、今すぐに。 【2023年3月発行】 (PDFファイル;1.7MB)
1959年 再審支援の取組開始
1962年 第13回定期総会「再審制度改正に関する決議」
刑事訴訟法第4編(再審)中改正要綱
1963年 第6回人権擁護大会「再審制度の正しい運用を要望する件(決意)」
1967年 第10回人権擁護大会「再審制度の運用に関する件(第一決議)」
1973年 第16回人権擁護大会「刑事訴訟法の一部(再審)改正に関する決議」
1976年 第19回人権擁護大会「刑事訴訟法の一部(再審)改正に関する宣言」
1977年 刑事再審に関する刑事訴訟法(第4編再審)ならびに刑事訴訟規則中一部改正意見
1978年 第29回定期総会「刑事再審法の改正に関する決議」
1979年 第22回人権擁護大会「刑事訴訟法の運用の改善と再審法改正等の実現に関する宣言」
1984年 第27回人権擁護大会「誤判の根絶を期する宣言」
1991年 刑事再審に関する刑事訴訟法等改正意見書
2019年 再審における証拠開示の法制化を求める意見書
第62回人権擁護大会「えん罪被害者を一刻も早く救済するために再審法の速やかな改正を求める決議」
2023年 刑事再審に関する刑事訴訟法等改正意見書