技能実習生の労働環境に関する人権救済申立事件(勧告)

出入国在留管理庁、法務大臣、厚生労働大臣宛て勧告

2020年2月26日

 

 

本件の技能実習生は、日本に入国する前に予定していた技能実習の職種と、技能実習実施機関が外国人技能実習機構に提出した履歴書や実習計画書に記載した職種に齟齬があるため、実習実施機関を変更することを前提に、在留資格変更許可申請を行った。
 

しかし、旧法務省入国管理局が在留資格変更申請の許否の判断を速やかに行わなかったため、入国時の在留期間が満了してから、新たな「技能実習1号ロ」の在留資格を得るまで9か月余りの間、就労が許可されていない「特定活動」と「短期滞在」の在留資格で滞在を余儀なくされ、その間就労することができず、生活に困窮していた。これは、本件技能実習生の生存権を侵害するものである。
 

そこで、①本件のように、技能実習生本人の責めによらない事由により技能実習継続が困難になったとして実習先変更の申し出があった場合には、速やかに調査の上、在留資格変更の許否について判断を示すこと、その判断までの間、就労を許容する等の措置を講じること(出入国在留管理庁長官及び法務大臣宛て)、②①のような場合には、技能実習生に対して必要な情報の提供、助言その他の援助を行い、実習実施機関、管理団体その他関係者に対しては適切な監督権を行使すること(法務大臣及び厚生労働大臣宛て)、③技能実習制度を直ちに廃止すること(法務大臣及び厚生労働大臣宛て)を勧告した事例。