ADRの拡充(ADR(裁判外紛争解決機関)センター)


→ODR実証事業を実施しています!


活動の概要

日弁連は、ADR(裁判外紛争解決機関)センターを設立し、36の弁護士会が設置するADR機関の運営について情報共有を図るなど、ADRの在り方について調査研究を行うとともに、ADRを国民により身近で使いやすいものとするため、さらに検討を進めています。



ADRとは?

法的な紛争の解決というと、裁判所で決着をつけることを思い浮かべられるかもしれません。しかしながら、裁判には手続的にややこしい面があり、ある程度の時間と費用がかかることは避けられません。


そこで、裁判と並ぶ魅力的な選択肢として、より簡易・迅速に比較的低廉な費用で紛争を解決することを目的とする「裁判外の紛争解決手続」が、弁護士をはじめとする実務家の間で工夫されてきました。これをADR(Alternative Dispute Resolution)と呼んでいます。


ADR発展の経緯

ADRの対象となる事案は、交通事故、建築、個別労働紛争、不動産、離婚、相続、医療、知的財産、国際商事紛争など多岐にわたります。ADR機関としては、各地の弁護士会の仲裁センターなど数多くの機関が設立され、市民の皆様に利用されています。


このようなADRの発展を契機として、ADRの適切な利用を促進するために、ADRについて統一的に規定した「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR法)が制定され、2007年4月1日から施行されています。


ADR法の特徴

ADR法の特徴としては次のような点が挙げられます。


1 基本理念等

ADR法は、紛争当事者がその解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、国民の権利利益の適切な実現に資することを目的としています。


2 認証制度

ADR法は、ADR機関がADR手続を行うのに必要な知識・能力等を有している場合には、法務大臣の認証を受けることができる制度を採用しました。
もっとも、弁護士会によるADR手続については、認証を受けなくとも手続の公正適正が確保されることなどから、認証を受けていないところも多くあります。


3 時効の中断効

従来、ADR手続の利用をためらわせた理由の一つとして、ADR手続の利用には時効の中断効がなく、ADR手続の利用中に時効が完成してしまうおそれがあり、安心してADR手続を利用できないということが言われていました。
ADR法は、認証を受けたADR機関を利用した場合に時効中断効を認め、ADR手続の利用促進を図っています。


4 調停の前置に関する特則

民事調停法や家事調停法では、一定の事件について訴えを提起する前に調停の申立を義務づけています(調停の前置)。
これに対し、ADR法は、認証を受けたADR機関を利用した場合には、あらためて調停の手続を踏むまでもなく、直ちに訴えを提起することができるものとして、ADRの利用促進を図っています。


5 訴訟手続の中止

訴訟手続を中止することにより、訴訟手続と認証を受けたADR機関の手続との調整を図ることも可能となりました。


6 専門的知見の活用

ADR法は、第三者による専門的な知見の活用をその基本理念としています。
各地の弁護士会によるADR手続では、建築紛争における建築士や医療紛争における医師などの専門家による協力態勢を整えることにより、専門的な紛争の迅速適正な解決を図ることに努めています。
特に、医療紛争において、日弁連においても医療ADR特別部会を設け、医療紛争事案における専門的知見の活用に向けて取り組んでいます。