日弁連高齢者・障害者権利支援センター

活動の概要

日弁連は1998年1月に、高齢者・障害者の権利の確立と自立の支援および権利侵害の予防・ 救済を目的として、高齢者・障害者の権利に関する委員会を設置し、2009年には超高齢社会において個々の高齢者が尊厳に満ちた生活を実現するための活動を全国規模で行うため高齢社会対策本部を設置しました。その後、その両者の活動を有機的に連携させるため、2015年6月に両者を統合し、日弁連高齢者・障害者権利支援センターを設置しました。


センターは各弁護士会から選出された150名の委員で構成され、高齢者及び障害者の権利の確立および自立の支援を図るため、高齢者および障害者の権利の擁護に関する活動、高齢者および障害者に対する法的支援に関する活動、高齢者および障害者にかかる各種制度およびその運用の改善に関する活動等を行っています。


具体的には高齢者の権利に関する施策部会(第1部会)、障害者の権利に関する施策部会(第2部会)、成年後見制度・意思決定支援部会(第3部会)、福祉分野の法的サービス展開部会(第4部会)ひまわりあんしん事業推進部会(第5部会)を設置して活動しています。


①「高齢者・障がい者権利擁護の集い」の開催


2001年11月に開催された第44回人権擁護大会第2分科会シンポジウム「契約型福祉社会と権利擁護のあり方を考える」を契機に、高齢者・障害者の権利擁護に向けた取組として、各地の弁護士会に設置されている高齢者・障害者支援センターの活性化を図るとともに弁護士会と行政、社会福祉協議会、各福祉専門職・機関、当事者組織などとの連携・ネットワークの構築を目的として、毎年各地で権利擁護の集いを開催しています。


これまでの開催地、テーマは以下のとおりです。


第1回 大阪 2003年1月17日 福祉と司法の連携・ネットワークの確立を
第2回 仙台 2004年1月23日 徹底討論 異業種連携・公益通報
第3回 名古屋 2005年1月28日 行政・医療との連携の試みと今後のネットワークの可能性を探る
第4回 福岡 2005年9月16日 地域で安心してふつうに暮らす(高齢者・障害者への虐待・権利侵害を予防するしくみ)
第5回 横浜 2007年3月2日 地域で安心して暮らすためのヒント~権利侵害ゼロを目指して~
第6回 札幌 2007年9月14日 生まれ育った地域で生きる。~高齢者・障害者を支援する地域ネットワークの拡充をめざして
第7回 岡山 2008年11月21日 高齢者・障がい者の未来に向けてのセーフティネット-虐待と親なき後を例にして-
第8回 高松 2010年1月29日 明日へと安心つなぐ地域力~成年後見のさらなる活用をめざして~
第9回 京都 2011年3月11日 地域で安心して暮らすには~充実したネットワークを目指して~
第10回 金沢 2012年11月22日 安心して地域に住み続けたい~石川県の各地域の実情と専門職の関わり~
第11回 熊本 2013年11月22日 終末期の現状と課題~誰があなたの最後を決めるのですか~
第12回 甲府 2014年11月21日 高齢者・障がい者の権利擁護支援における各関係機関の連携~虐待対応等法的支援を中心として~
第13回 鶴岡 2015年9月11日 精神障がいのある人を取り巻く連携の輪
第14回 広島 2016年11月4日 地域包括ケアシステムと権利擁護
第15回 多摩 2018年2月2日 実践!本人主体の権利擁護―意思決定支援を踏まえて―
第16回 函館 2018年11月23日 北海道における弁護士と社会福祉士・精神保健福祉士の連携~罪に問われた障害者・高齢者に対する支援と虐待問題について~
第17回 佐賀 2019年11月22日 人生の最終段階における意思をどのように支援し反映するか―最期を決めるのは、誰?―



② 成年後見制度・意思決定支援についての取組


2015年10月に開催された第58回人権擁護大会において採択された「総合的な意思決定支援に関する制度整備を求める宣言」を受け、意思決定支援を第一義的なものとする法制度の検討と成年後見制度の抜本的な見直しの検討を進めています。


また、成年後見制度の運用の改善も喫緊の課題であり、実務上の諸課題に対する検討を進めるほか、2016年6月に成立した「成年後見制度の利用の促進に関する法律」を受けて閣議決定された「成年後見制度利用促進基本計画」についての対応を進めています。


2019年5月から、最高裁判所、厚生労働省及び専門職団体(日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートおよび公益社団法人日本社会福祉士会)をメンバーとする意思決定支援ワーキング・グループが設置され、指針の策定に向け、検討を進めてきました。同ワーキング・グループにおいて、以下のとおり、上記指針の基本的な考え方を整理しました。





③ 高齢者・障害者虐待防止についての取組


高齢者虐待防止法及び障害者虐待防止法に基づき、市町村等による実効的な虐待防止対応を進めるため、各地の弁護士会と社会福祉士会が連携して「虐待対応専門職チーム」を設置し、都道府県や市町村からの委託を受けてケース会議への派遣等を行う活動を推進すると同時に、法改正への提言等の活動に取り組んでいます。





④ 罪に問われた障害者に関する取組

日弁連刑事弁護センターと合同で「罪に問われた障害者刑事弁護PT」を設置し、弁護人となった弁護士が、被疑者・被告人に障害のあることを見逃すことなく、かつ、障害がある場合にはその特性に十分に配慮して弁護活動を行うことが必要であるとの認識に立ち、罪に問われた障害者の刑事弁護に関する取組を進めるほか、それらの人々が社会で生活できるための環境整備等に関する取組を進めています。




⑤ 意思能力の不十分な高齢者・障害者の医療同意についての取組

2011年12月15日に「医療同意能力がない者の医療同意代行に関する法律大綱」を取りまとめていますが、意思決定支援の考え方や成年後見制度利用促進法の成立を踏まえ、さらに医療行為における意思決定支援の在り方についての検討を進めています。





⑦ 高齢者の生活支援等に関する取組

介護保険法その他の高齢者の権利擁護・生活に関わる立法・国の施策についての検討を進めています。特に近時はサービス付き高齢者向け住宅等の新たな住まいの形態が広がりつつあることを踏まえ、安全、安定した住居を確保するために、高齢者の住まいに関する問題点を抽出して高齢者の住宅問題に関し継続的に検討を行うほか、厚生労働省が進める地域包括支援センターを中心とする地域包括ケアシステムに関し、地域で生活する高齢者が自分らしく生活するために、弁護士がどのように関わることができるかという点から介護保険制度の改正への対応を含めた検討を進めています。





⑧ 障害者の生活支援・差別解消・障害年金等に関する取組

障害者総合支援法その他の障害者の権利擁護・生活に関わる立法・国の施策についての検討を進めています。
また、障害者差別解消法の成立を受け、障害を理由とする差別に関する地方自治体向け相談対応マニュアルを作成し、自治体における対応体制の整備に関する取組を行っています。
さらに、障害年金に関する弁護士の対応能力の向上を図るとともに 障害年金に関する問題への取組を進めています。





⑨「ひまわりあんしん事業」の推進等についての取組

全国の弁護士会に設置されている高齢者・障害者支援を目的とする組織(支援センター)の各地での具体的な取組を一層充実・活性化させることを目的として、各弁護士会が対応すべき標準的な事業を「ひまわりあんしん事業」として策定し、実施の要請と支援を行い、各弁護士会の活動の充実に取り組んでいます。

「ひまわりあんしん事業」においては、以下の5つの柱を立て、具体的な取組目標を設定しています。


  1. 高齢者・障害者の権利擁護の実現
  2. 高齢者・障害者の司法アクセス障害の改善
  3. 高齢者・障害者専門法律相談(特に、電話相談・出張相談)の活性化
  4. ワンストップサービスの実現
  5. 福祉関係機関とのネットワーク構築



⑩ 弁護士の新たな関わり方についての取組

高齢者や障害者のアクセス障害を解消し、必要に応じて適切かつ速やかに法的サービスを提供するためには、弁護士、弁護士会の新たな関わり方を検討することが必要であるとの見地から、ホームロイヤーの普及、民事信託の活用可能性の検討、NPO法人「遺言・相続リーガルネットワーク」との連携等に取り組んでいます。



  • 超高齢社会におけるホームロイヤーマニュアル(日本加除出版 2012年初版、2015年改訂版)
  • 2019年 第21回弁護士業務改革シンポジウム第11分科会「『おひとりさま』支援における弁護士の役割」
  • 2017年 第20回弁護士業務改革シンポジウム第9分科会「遺言関連分野における弁護士業務の将来像」
  • 2013年 第18回弁護士業務改革シンポジウム第6分科会「高齢社会における民事信託の積極的活用」
  • 2011年 第17回弁護士業務改革シンポジウム第10分科会「高齢社会におけるホームロイヤーの役割~高齢者へのトータルな支援を目指して~」
  • 「ホームロイヤー」リーフレット (PDFファイル;3.0MB)



⑪ 地域包括支援センター等との連携に関する取り組み

高齢者や障害者の弁護士へのアクセス障害を解消するためには高齢者や障害者の身近で本人の支援に携わっている福祉関係職との連携を図ることが重要であるとの点から地域包括支援センターや障害者相談支援センター等の福祉関係機関との連携推進に取り組んでいます。



日弁連人権擁護大会・弁護士業務改革シンポジウム

人権擁護大会

2015年 第58回 第2分科会『「成年後見制度」から「意思決定支援制度」へ』

2005年 第48回 第2分科会「高齢者・障がいのある人が地域で自分らしく安心して暮らすために」

2001年 第44回 第2分科会「契約型福祉社会と権利擁護のあり方を考える」

1995年 第38回 第2分科会「高齢者の人権と福祉」(委員会設置前)


弁護士業務改革シンポジウム

2019年 第21回 第11分科会「『おひとりさま』支援における弁護士の役割」

2017年 第20回 第9分科会「遺言関連分野における弁護士業務の将来像」

2013年 第18回 第6分科会「高齢社会における民事信託の積極的活用」

2011年 第17回 第 10 分科会「高齢社会におけるホームロイヤーの役割」~高齢者へのトータルな支援を目指して~



意見書・会長声明

2005年以降の意見書・会長声明を掲載しており、当センターの所管でないものも含まれています。




高齢者・障がい者に関するQ&A集



高齢者に関する各種の法律相談窓口について

高齢者・障害者に関する法律相談の窓口をお探しの方は、弁護士会が設置する法律相談センターをご利用ください。