ビジネスと人権に関する取り組み

第1 ビジネスと人権とは?

ビジネスが及ぼす人権の問題は、企業活動のグローバル化に伴って次第に顕在化してきました。そうした中、2011年の国連人権理事会の決議において、「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合『保護、尊重及び救済』枠組実施のために」(以下「指導原則」といいます。)が全会一致で支持されました。


指導原則は、以下の三つの枠組みを提示しています。



(指導原則についてより詳しい説明はicon_page.pngこちら


また、ビジネスと人権に関連する国際的な取り組みとしてSDGsとESGが挙げられます。

  • SDGs:持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)
    国連総会は、2015年に17の目標と169のターゲットから成る「持続可能な開発目標(SDGs)」を含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択し、その中でも指導原則が言及されています。
  • ESG:環境・社会・ガバナンス(Environment・Social・Governance)  
    ESG課題として企業が取り組むべきテーマの一つとして、ビジネスが及ぼす人権の問題が挙げられます。

第2 日弁連の取り組み

日弁連は、日本国内及び国外の企業によるビジネスが及ぼす人権の問題に取り組むため、日本政府に対して、NAPを策定するよう求めてきました。


その後、日本政府が2016年11月にNAPを策定する旨公表し、策定に向けた準備を進めているところですが、日弁連もステークホルダーとして政府の会議に参加したり、意見書を提出したりするなど、そのプロセスに積極的に関与しています。
 

なお、日弁連では、この問題に関して国際人権問題委員会及び弁護士業務改革委員会が中心となって取り組んでいます。また、日弁連全体でも取り組みを強化しており、2019年の日弁連の定期総会宣言において、グローバル化・国際化の中で強化すべき取り組みの一つにビジネスと人権が挙げられました。


(これまでの日本政府による取り組みと今後の予定など)



1 意見書の公表


・2016年9月15日付け「arrow_blue_1.gif日本政府に対してビジネスと人権に関する国別行動計画の策定を求める意見書


・2017年7月20日付け「arrow_blue_1.gifビジネスと人権に関する国別行動計画に含めるべき優先事項に関する意見書」 


・2019年1月16日付け「arrow_blue_1.gifビジネスと人権に関する国別行動計画についての意見募集に対する意見書


2 シンポジウム・セミナー・基礎講座等の開催


・2017年9月22日 arrow_blue_1.gifシンポジウム「ビジネスと人権に関する国別行動計画の策定に向けて」  


国連ビジネスと人権ワーキンググループ委員長(当時)のSurya Deva氏等を招聘し、東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会との共催で、標記シンポジウムを開催しました。


Deva氏には、国別行動計画の意義や日本への期待に関して講演いただきました。また、日本のビジネスと人権に関する現状分析や国別行動計画における優先事項に関して、弁護士による調査報告を踏まえ、政府・公的機関・企業・機関投資家・市民団体などの様々な関係者において議論を行いました。



・2018年1月25日 arrow_blue_1.gif第94回国際人権に関する研究会「ビジネスと人権に関する最新の国際的な動向について」


日弁連国際人権問題委員会・弁護士業務改革委員会委員等を講師として、標記研究会を開催しました。研究会では、2017年11月にジュネーブで開催された国連ビジネスと人権に関するフォーラムの参加報告や、子どもの権利委員会及び社会権規約委員会で採択されたビジネスと人権に関連する一般的意見、救済メカニズムに関する報告書を取り上げながら、ビジネスと人権に関する最新の国際的動向について紹介がありました。



・2018年5月23日 2018年度ESG(環境・社会・ガバナンス)基礎講座第1回「企業の環境・社会対応と弁護士の役割 持続可能な社会に向けた取組をどう具体化するか」


佐藤泉会員(第一東京弁護士会)、笹谷秀光氏(株式会社伊藤園顧問(当時))を講師として、標記講座を開催しました。金融・証券業界がSDGsに基づく企業評価を始める中で弁護士がビジネスと人権の問題に関与することの意義や日本企業が従来の取り組みをSDGsに引き直して自ら発信することの重要性等について報告され、その後、パネルディスカッションが行われました。



・2018年9月5日 arrow_blue_1.gif2018年度ESG(環境・社会・ガバナンス)基礎講座第2回「国際法曹協会(IBA)国際弁護士らと法務担当役員経験者が語る 『ビジネスと人権』のグローバル動向と日本の弁護士・法務部の役割」  


IBAの「ビジネスと人権に関する弁護士研修プロジェクト」の責任者や諮問委員にIBAの実務ガイド・手引・研修プログラムの概要やその策定の背景を解説いただき、また、外部弁護士としての企業への法的助言の工夫なども報告いただきました。



・2018年9月18日 arrow_blue_1.gifビジネスと人権に関する国別行動計画の策定に向けて ベースラインスタディ報告会


一般社団法人日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォームとの共催で、標記報告会を開催しました。詳細は添付の報告書をご覧ください。


icon_pdf.gif 当日配付資料 (PDFファイル;1.71MB)

icon_pdf.gif 報告書 (PDFファイル;260KB)



・2019年3月12日 ビジネスと人権に関する国別行動計画の優先分野特定に向けた意見交換会


日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター山田美和氏、一般財団法人企業活力研究所CSR研究会委員・ロイドレジスタージャパン取締役事業開発部門長富田秀実氏から海外の先行事例の紹介や調査結果の報告があり、その後、外務省総合外交政策局人権人道課長杉浦正俊氏(当時)から国別行動計画策定の進捗状況の見通しの説明を受け、ステークホルダー各団体によるNAPの優先分野の特定プロセスに向けた見解・要望に関する意見交換を行いました。



icon_page.png【弁護士対象】eラーニング「これで分かる!ビジネスと人権の基本」  


2019年2月、弁護士向けにeラーニングを公開しました。本講座では、指導原則導入の国際社会の背景、人権デュー・ディリジェンスの概要について具体的なケースに触れつつ、企業側・被害者側の代理人として考えるべきポイントについて解説しています。



3 各種ガイドライン


(1)日弁連発行のガイドライン

・2015年1月7日付け「arrow_blue_1.gif人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス(手引)

・2018年8月23日付け「arrow_blue_1.gifESG(環境・社会・ガバナンス)関連リスク対応におけるガイダンス(手引)~企業・投資家・金融機関の協働・対話に向けて~


(2)国際的なガイドライン

【OECD】

icon_page.png責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス


【ILO】

icon_page.pngILO多国籍企業宣言


icon_page.png【IBA】 (日本語版未公表)

・The IBA Practical Guide on Business and Human Rights for Business Lawyers

・The IBA Business and Human Rights Guidance for Bar Association

・The Reference Annex to the IBA Practical Guide on Business and Human Rights for Business Lawyers