ビジネスと人権に関する取組
最新情報
2024年03月15日 外務省ビジネスと人権に関する行動計画推進円卓会議(第6回会合)に「「ビジネスと人権」に関する行動計画(NAP)の3年目意見交換のためのレビューに関するステークホルダー報告書」(個別意見)を提出しました
2024年01月18日 国際法曹協会(IBA)作成【更新版ガイダンスノート】および【2016年版実践ガイド】の日本語訳を掲載しました
2023年08月31日 「ビジネスと人権」サマースクールを開催しました
2023年03月15日 SDGs・ESG・CSRに関する取組のページを開設しました
2022年11月29日 「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」発表を踏まえて~ビジネスと人権行動計画 ステークホルダー報告会の配付資料を掲載しました
2022年08月25日 「ビジネスと人権」サマースクールを開催しました
2022年04月30日 書籍『詳説 ビジネスと人権』を発行しました
2022年02月22日 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)ビジネスと人権ユニット作成「国連ビジネスと人権に関する指導原則10年~国連人権高等弁務官事務所ビジネスと人権ユニットからの提出」のリンクを掲載しました
2022年02月22日 国連ビジネスと人権に関するワーキンググループ作成 「UNGPs10+ ビジネスと人権に関する次の10年のためのロードマップ」の項目日本語訳を掲載しました
2021年07月02日 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)作成「COVOID-19の時代のビジネスと人権」の日本語訳を掲載しました
2021年06月07日 その他参考URL等をアップデートしました
第1 ビジネスと人権とは?
ビジネスがおよぼす人権の問題は、企業活動のグローバル化に伴って次第に顕在化してきました。そうした中、2011年の国連人権理事会の決議において、「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合『保護、尊重および救済』枠組実施のために」(以下「指導原則」といいます。)が全会一致で支持されました。
指導原則は、以下の三つの枠組みを提示しています。
(指導原則についてより詳しい説明はこちら )
また、ビジネスと人権に関連する国際的な取組としてSDGsとESGが挙げられます。
- SDGs:持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)
国連総会は、2015年に17の目標と169のターゲットから成る「持続可能な開発目標(SDGs)」を含む「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択し、その中でも指導原則が言及されています。 - ESG:環境・社会・ガバナンス(Environment・Social・Governance)
ESG課題として企業が取り組むべきテーマの一つとして、ビジネスが及ぼす人権の問題が挙げられます。
(SDGs・ESGについてより詳しい説明はこちら)
第2 日弁連の取組
2020年10月、「ビジネスと人権に関する行動計画に係る関係府省庁連絡会議」において、「ビジネスと人権」に関する行動計画(NAP)が策定されました。
「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)の概要
「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)英語版
日弁連は、日本国内および国外の企業によるビジネスが及ぼす人権の問題に取り組むため、日本政府が2016年11月にNAPを策定する旨の意思表明をする前から、日本政府に対して、NAPを策定するよう求めてきました。その後、NAPの策定にあたり、日弁連はステークホルダーの一員として作業部会・諮問委員会等の政府の会議に参加したり、NAPに関する意見書を提出したりするなどして、そのプロセスに積極的に関与してきました。また、日弁連では、ステークホルダー関係者がNAPに関する意見交換を行うための懇談会を定期的に開催したり、より多くの関係者の皆様にNAPを知ってもらうためのシンポジウムを開催したりするなど、ステークホルダー関係者間の意義ある対話や意見交換を促進してきました。その結果、作業部会のステークホルダー構成員一同からも、政府に対し、NAPに関する要請書が提出されました。
NAPには「関係府省庁とステークホルダーとの間の信頼関係に基づく継続的な対話を行うための仕組みを立ち上げる」とあります。日弁連は、早急にこの「仕組み」を立ち上げることを会長声明にて要請しましたが、引き続き、この「仕組み」の下で、関係府省庁とステークホルダーとの対話の継続を通じて、フォローアップ、情報提供、推進状況の確認を、積極的かつ効果的に進めていきます。
なお、日弁連では、この問題に関して国際人権問題委員会および弁護士業務改革委員会が中心となって取り組んでいます。また、日弁連全体でも取り組みを強化しており、2019年の日弁連の定期総会宣言において、グローバル化・国際化の中で強化すべき取り組みの一つにビジネスと人権が挙げられました。
(NAP策定の経緯)
(ステークホルダー構成員一同による要請書)
「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)に係る作業部会『ステークホルダー共通要請事項』及び要請書」
「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)に係る作業部会第2要請書及び『ステークホルダー共通要請事項(第2)』」
「ビジネスと人権に関する国別行動計画に係る作業部会 ステークホルダー合同コメント」(2020年11月)※ILOウェブサイトサイトにリンク
「ステークホルダー合同コメント(緊急要請) ~日本政府「サプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」について~」(ステークホルダー構成員 有志一同) (PDFファイル;521KB)
「ビジネスと人権」に関する行動計画の3年目意見交換のためのレビューに関するステークホルダー報告書(概要) ※外務省ウェブサイトにリンク
「ビジネスと人権」に関する行動計画の3年目意見交換のためのレビューに関するステークホルダー報告書(PDF)※外務省ウェブサイトにリンク
「ビジネスと人権」に関する行動計画の3年目レビューに関するステークホルダー報告書 (個別意見)※外務省ウェブサイトにリンク
※上記個別意見のうち、日本弁護士連合会の意見の抜粋は こちら (PDFファイル;253KB)
1 意見書の公表
・2020年12月2日付けビジネスと人権に関する行動計画公表を受けての会長声明
・2020年3月17日付け「ビジネスと人権」に関する行動計画の原案に対する意見書
・2019年11月21日付けビジネスと人権に関する行動計画に盛り込むべき具体的な事項・施策に関する意見書
・2019年1月16日付けビジネスと人権に関する国別行動計画についての意見募集に対する意見書
・2017年7月20日付けビジネスと人権に関する国別行動計画に含めるべき優先事項に関する意見書
・2016年9月15日付け日本政府に対してビジネスと人権に関する国別行動計画の策定を求める意見書
2 シンポジウム・セミナー等の開催
(1)ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)に関するシンポジウム
日弁連は、より多くの関係者の皆様に、NAP策定プロセスおよびその課題・機会を知っていただくことを目的として、様々な団体と協力の上で、NAPに関するシンポジウムを定期的に開催しています。
・2022年11月17日 「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」発表を踏まえて~ビジネスと人権行動計画 ステークホルダー報告会
2022年9月、日本政府から、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が発表されたことを踏まえて、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、国際労働機関(ILO)駐日事務所、ビジネスと人権市民社会プラットフォーム、中小企業家同友会全国協議会、特定非営利活動法人日本サステナブル投資フォーラムとの共同開催により、日本労働組合総連合会、一般社団法人日本経済団体連合会の後援を得て、本報告会を開催しました。
本報告会では、政府関係者から、公表したガイドラインの内容や今後の実施の予定を報告していただき、専門家から、国際動向を踏まえたガイドラインの意義と課題を解説していただきました。その上で、ステークホルダー団体や各界の関係者から、ガイドライン・NAPに関する評価や意見を共有し、今後の日本企業による実効的な人権デュー・ディリジェンスの実施や政府によるNAPの実施・改善に向けた議論を行いました。
当日配布資料 (PDFファイル;9.1MB)
・2020年12月9日 シンポジウム「ビジネスと人権:行動計画成立後の課題について」
消費者・市民社会の役割という視点から、国内外の有識者や企業関係者に登壇いただき、NAPの策定を契機に、どのように指導原則を活かしていくかについて議論しました。
・2020年11月9日 ビジネスと人権に関する国別行動計画発表を踏まえて〜ステークホルダー報告会
一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、日本労働組合総連合会、中小企業家同友会全国協議会、国際労働機関(ILO)駐日事務所、ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォームとの共催により、一般社団法人日本経済団体連合会の後援を得て、標記報告会を開催しました。 外務省から、公表したNAPの内容やその実施の予定を報告していただくとともに、作業部会に参加したステークホルダー関係者からも、作業部会での議論を踏まえたNAPの評価や意見を説明しました。また、国連広報センターから、持続可能な開発目標(SDGs)実施におけるビジネスと人権およびNAPの意義についても解説していただきました。
報告書 (PDFファイル;380KB)
・2020年1月23日 ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)発表に向けて ステークホルダー報告会
一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、日本労働組合総連合会、中小企業家同友会全国協議会、国際労働機関(ILO)駐日事務所、ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォームとの共催により、一般社団法人日本経済団体連合会の後援を得て、標記報告会を開催しました。この報告会では、パブリックコメントのための政府のNAP原案発表を控え、ステークホルダー関係者からNAP策定のための作業部会・諮問委員会での意見交換の内容を報告しました。
・2018年9月18日 ビジネスと人権に関する国別行動計画の策定に向けて ベースラインスタディ報告会
一般社団法人日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会、一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、ビジネスと人権NAP市民社会プラットフォームとの共催で、標記報告会を開催しました。詳細は添付の報告書をご覧ください。
当日配付資料 (PDFファイル;1.71MB)
報告書 (PDFファイル;260KB)
・2017年9月22日 シンポジウム「ビジネスと人権に関する国別行動計画の策定に向けて」
国連ビジネスと人権ワーキンググループ委員長(当時)のSurya Deva氏等を招聘し、東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会との共催で、標記シンポジウムを開催しました。
Deva氏には、NAPの意義や日本への期待に関して講演いただきました。また、日本のビジネスと人権に関する現状分析やNAPにおける優先事項に関して、弁護士による調査報告を踏まえ、政府・公的機関・企業・機関投資家・市民団体などの様々な関係者において議論を行いました。
(2)「ビジネスと人権」に関するセミナー等
日弁連は、弁護士・企業・市民社会その関係者の皆様に、「ビジネスと人権」を普及・啓発するために、セミナー等を開催しています。
・2023年8月31日 「ビジネスと人権」サマースクール
2022年に引き続き、サマースクールを開催し、学生、法学の研究者の皆様をはじめ多数の皆様にご参加いただきました。
第1部では「「ビジネスと人権」入門」をテーマに、実務家と研究者による全体講義が行われ、第2部では「 「ビジネスと人権」教育の普及に向けて」をテーマに、実務家と研究者によるパネルディスカッションが行われ、それぞれ参加者とのグループ・ディスカッションを実施しました。
・2022年8月25日 「ビジネスと人権」サマースクール
企業における人権尊重への関心はますます高まっており、「ビジネスと人権」につき本質を理解することおよびそのような理解を得るための教育の普及は、実務家に加えて、学生や研究者の皆様にとっても重要な課題となっています。そこで、当連合会は、研究者の方々のご協力も得て、「ビジネスと人権」の理解・議論を深めるためのサマースクールを今年度初めて開催し、学生、法学の研究者の皆様をはじめ多数の皆様にご参加いただきました。
第1部では「「ビジネスと人権」入門」をテーマに、実務家と研究者による全体講義が行われ、第2部では「 「ビジネスと人権」教育の普及に向けて」をテーマに、実務家と研究者によるパネルディスカッションが行われ、それぞれ参加者とのグループ・ディスカッションを実施しました。
・2022年1月26日 「ビジネスと人権に関する行動計画1周年記念シンポジウム〜救済へのアクセスの実現に向けて」
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」履行のために、日本政府が「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」を公表してから約1年が経ちました。指導原則履行のための取組が進んでいるものの、指導原則の中核的テーマの一つである「救済へのアクセス」については、具体的施策は未だ十分ではありません。そのため、企業活動に関連して発生する人権侵害の被害者の権利救済には、多くの課題が残されています。
このような実状を踏まえ、本シンポジウムでは、海外での国内人権機関やNCP(OECD多国籍企業行動指針連絡窓口)の活用などの具体的事例を取り上げつつ、日本における指導原則に基づく救済へのアクセス実現のための実効的な方策を議論しました。
※ 報告書 (PDFファイル;356KB)
※講演資料
Aishah Bidin氏 講演資料 (PDFファイル;536KB)
Shin Young Chung氏 講演資料 (PDFファイル;1445KB)
高橋大祐 弁護士 講演資料 (PDFファイル;483KB)
・2019年11月12日 2019年度ESG(環境・社会・ガバナンス)基礎講座第2回『2020年に向けて持続可能な社会の実現と法実務~東京五輪大会を通じたレガシーの創造に向けて~』
第1部「スポーツと持続可能性セッション」では、スポーツイベントやスポーツ環境を将来にわたって持続可能なものにするために何をすべきかについて、特に子どものスポーツ権の保護という観点から、ユニセフ「子どもの権利とスポーツの原則」を中心に、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした東京発の取り組みを紹介するとともに、将来の展望について議論を行いました。
第2部「責任あるサプライチェーンセッション」では、東京五輪「持続可能性に配慮した調達コード」とその苦情処理メカニズムの運用や課題をふまえ、外国人労働者の労働環境改善を含む責任ある企業行動・サプライチェーンの取り組みや、課題解決・権利救済のための企業と社会の間の対話をいかに推進できるかについて、議論を行いました。
・【弁護士対象】eラーニング「これで分かる!ビジネスと人権の基本」
2019年2月、弁護士向けにeラーニングを公開しました。本講座では、指導原則導入の国際社会の背景、人権デュー・ディリジェンスの概要について具体的なケースに触れつつ、企業側・被害者側の代理人として考えるべきポイントについて解説しています。
・2018年9月5日 2018年度ESG(環境・社会・ガバナンス)基礎講座第2回「国際法曹協会(IBA)国際弁護士らと法務担当役員経験者が語る 『ビジネスと人権』のグローバル動向と日本の弁護士・法務部の役割」
IBAの「ビジネスと人権に関する弁護士研修プロジェクト」の責任者や諮問委員にIBAの実務ガイド・手引・研修プログラムの概要やその策定の背景を解説いただき、また、外部弁護士としての企業への法的助言の工夫なども報告いただきました。
・2018年1月25日 第94回国際人権に関する研究会「ビジネスと人権に関する最新の国際的な動向について」
日弁連国際人権問題委員会・弁護士業務改革委員会委員等を講師として、標記研究会を開催しました。研究会では、2017年11月にジュネーブで開催された国連ビジネスと人権に関するフォーラムの参加報告や、子どもの権利委員会および社会権規約委員会で採択されたビジネスと人権に関連する一般的意見、救済メカニズムに関する報告書を取り上げながら、ビジネスと人権に関する最新の国際的動向について紹介がありました。
3 各種ガイドライン
(1)日弁連発行のガイドライン
・2018年8月23日付けESG(環境・社会・ガバナンス)関連リスク対応におけるガイダンス(手引)~企業・投資家・金融機関の協働・対話に向けて~
・2015年1月7日付け人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス(手引)
(2)日本政府のガイドライン
・2023年4月4日付け 責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料(経済産業省)
・2022年9月13日付け 責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン(経済産業省)
(3)国際的なガイドライン
【OECD】
責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス
【ILO】
【OHCHR】
国連ビジネスと人権の作業部会 訪日調査 (2023年7月24日~8月4日)「ミッション終了ステートメント」(日本語訳)
Business and Human Rights in the times of Covid-19(COVOID-19の時代のビジネスと人権)
(日本語訳)※日本弁護士連合会国際人権問題委員会翻訳 (PDFファイル;625KB)
(日本語訳)※日本弁護士連合会国際人権問題委員会翻訳 (PDFファイル;204KB)
・Updated IBA Guidance Note on Business and Human Rights The role of lawyers in the changing landscape
更新版IBAビジネスと人権ガイダンスノート:変化する環境下での弁護士の役割(仮訳) (PDFファイル;489KB)
・The IBA Practical Guide on Business and Human Rights for Business Lawyers
IBAビジネス弁護士向けビジネスと人権に関する実践ガイド(仮訳) (PDFファイル;637KB)
・The IBA Business and Human Rights Guidance for Bar Association
・The Reference Annex to the IBA Practical Guide on Business and Human Rights for Business Lawyers
第3 その他参考URL等
(1)参考URL
外務省「ビジネスと人権」
経済産業省「ビジネスと人権~責任あるバリューチェーンに向けて~」
法務省「ビジネスと人権」
国際連合広報センター「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合『保護、尊重及び救済』枠組実施のために(A/HRC/17/31)」
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)”Working Group on the issue of human rights and transnational corporations and other business enterprises”(日本語ページなし)
Business and Human Rights Resource Centre(日本語ページなし)
(2)人権条約機関の一般的意見
・社会権規約 一般的意見24
「企業活動における経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)締約国の義務」
子どもの権利条約 一般的意見16
「企業セクターが子どもの権利に及ぼす影響に関わる国の義務」 (PDFファイル;520KB)
(3)書籍
『詳説 ビジネスと人権』を発行しました。
詳説ビジネスと人権チラシ (PDFファイル;821KB)