SDGs(持続可能な開発目標)・ESG(環境・社会・ガバナンス)・CSR(企業の社会的責任)に関する取組

第1 SDGs・ESG・CSRとは?

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年の国連持続可能な開発サミットにおいて採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」において掲げられた、2030年までの環境・社会分野の目標です。17の目標と各目標を具体化する169のターゲットが設定されています。SDGsは企業活動とも密接に関連しており、企業にも、SDGsの達成に向けた貢献が求められています。


一方、ESG投資(サステナブル投資)とは、投資家が投資先企業に対する投資判断や株主としての意思決定のプロセスにおいてESG(環境・社会・ガバナンス)の要素を組み込む投資手法をいいます。ESG投資は、2006年に発足した国連責任投資原則(PRI: Principles for Responsible Investment)を中心に提唱されてきたものです。


企業におけるESG取組は、企業によるSDGsの達成に向けた取組を促進し、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を果たすことを可能とするとともに、中長期的に企業価値を向上することにもつながることが認識されています。その結果、ESG要素の考慮は、株式投資に加えて、債券(ボンド)投資、融資(ローン)などさまざまな金融商品において行われるようになり、全体として、ESG投融資またはサステナブルファイナンスと呼ばれるようになっています。


第2 日弁連の取組

SDGsの根拠文書である「2030年アジェンダ」の前文では、SDGsは経済、社会および環境という三側面を調和させ、「誰一人取り残さない」という誓約の下で、すべての人々の人権を実現することが究極的な目標であることを明記しています。


この点、日弁連は、弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義の実現を全うするべく、さまざまな活動(arrow_blue_1.gifリンク)を行っています。このような日弁連の活動は、SDGsの各目標の達成とも密接関係しているといえます。


特に企業によるSDGs・ESG・CSRに関する取組を促進・支援する観点から、日弁連は、以下のとおり、さまざまな関連ガイダンス文書を発表したり、弁護士・企業・市民の皆様を対象としたセミナーを実施したりしています。また、icon_page.png内閣府の地方創生SDGs官民連携プラットフォームにも参加しています。このような企業に対するSDGs・ESG取組の促進・支援に向けた日弁連の取組については、弁護士業務改革委員会(企業の社会的責任(CSR)と内部統制に関するPT)をはじめ、さまざまな委員会で進められています。


なお、日弁連の「ビジネスと人権」に関する取組については、arrow_blue_1.gifビジネスと人権に関する取組をご覧ください。


第3 日弁連が発表した関連ガイダンス文書

弁護士には、企業等の代理や法的助言を行う局面において、依頼者にSDGs・ESGに関する取組を通じて企業の社会的な責任(CSR)を果たすことを働きかけ、これを支援することが期待されています。このようなCSR・SDGs・ESGにおける弁護士の役割の重要性に鑑み、日弁連は、関連するさまざまなガイダンス文書を発表しています。


1 「arrow_blue_1.gifESG(環境・社会・ガバナンス)関連リスク対応におけるガイダンス(手引)~企業・投資家・金融機関の協働・対話に向けて~」(2018年発表)

ESG(環境・社会・ガバナンス)課題のリスク面である人権侵害や環境破壊などへの対応が、企業および企業に対し投融資を行う投資家・金融機関において求められていることを背景として、日本の企業・投資家・金融機関がESG関連リスクへの対応に向けて協働・対話を行うためのガイダンス(手引)を公表しました。



2 「arrow_blue_1.gif海外贈賄防止ガイダンス(手引)」(2016年発表)

海外贈賄問題が日本企業にとって企業価値の毀損に直結する重大なリスクとなっていることを背景として、経済産業省の外国公務員贈賄防止指針が改訂されました。また、海外贈賄防止は、企業がその社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)や人権尊重責任を果たすに当たっても不可欠な取組の一つとなっています。日弁連は、経済産業省の指針を補完する形で、日本企業および日本企業に助言を行う弁護士を対象に、海外贈賄防止を推進する上での実務指針に関する現時点でのベスト・プラクティスとして、「海外贈賄防止ガイダンス(手引)」を取りまとめました。



3 「arrow_blue_1.gif人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス(手引)」(2015年発表)

2011年6月の国際連合の人権理事会において「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合『保護、尊重及び救済』枠組実施のために」が採択されたことを受けて、指導原則に基づき、企業が人権を尊重する責任を果たすための人権デュー・ディリジェンスについての日本企業向けのガイダンス(手引)を公表しました。



4 「arrow_blue_1.gif企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(2010年発表)

企業や官公庁、地方自治体、独立行政法人あるいは大学、病院等の法人組織(以下「企業等」といいます。)において、犯罪行為、法令違反、社会的非難を招くような不正・不適切な行為等が発生した場合、最近では、外部者を交えた委員会を設けて調査を依頼するケースが増えています。日弁連では、そのような委員会のうち、企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会を対象として、本ガイドラインを策定しました。



5 「arrow_blue_1.gif企業の社会的責任(CSR)ガイドライン2009年度版」(2010年発表)

企業の社会的責任(CSR)という言葉自体は、最近の企業においては当然のこととなっています。しかし、その具体的かつ詳しい内容というのは必ずしも明らかではありませんでした。日弁連では、企業の取組への支援や、評価の業務等を新たな弁護士業務として開拓するため、企業の社会的責任(CSR)ガイドラインとしてまとめ、公表しています。


このガイドラインは、企業の社会的責任に関して、①全体、②コンプライアンス・内部統制、③環境、④雇用・労働、⑤人権、⑥公正な事業活動、⑦社会開発・地域貢献、⑧消費者の各分野を網羅しているもので、弁護士がまとめた包括的なものとしては初めてのものです。



第4 日弁連ESGセミナーシリーズ「ESG(環境・社会・ガバナンス)基礎講座」

日弁連では、企業におけるSDGs・ESGに関する取組を普及・促進し、またそのための弁護士の実務を向上する観点から、以下のとおり「ESG(環境・社会・ガバナンス)基礎講座」(通称:ESGセミナー)を定期的に開催しています。



2022年度

・第1回 arrow_blue_1.gifパイオニアたちから学ぶSDGs・ESG時代の弁護士の役割 ~ビジネスと人権・環境・ジェンダーの視点とその交錯~

  日時 2022年7月5日(火)18時00分~20時00分

・第2回 arrow_blue_1.gifサステナブルなインパクト/ESG投資、スタートアップ投資の動向 ~ESG時代における弁護士の役割も含めて~

  日時 2022年11月30日(水)18時00分~20時00分

・第3回 arrow_blue_1.gif金融機関、機関投資家と企業のESGをめぐる対話 ~PRB、PRI、非財務情報開示の観点から~

  日時 2023年2月20日(月)18時00分~20時00分


2021年度

・第1回 arrow_blue_1.gifOECD共催セミナー「人権・環境デュー・ディリジェンスの実務」 ~責任ある企業行動と弁護士の役割~

  日時 2021年5月31日(月)18時00分~20時00分

・第2回 arrow_blue_1.gifサステナブルファイナンス・ガバナンスの動向 ~ESGを促進する弁護士の役割も含めて~

  日時 2021年11月2日(火)18時00分~20時00分

・第3回 arrow_blue_1.gif持続可能な地域の活性化に貢献する企業のSDGs/ESG取組の在り方 ~地方自治体・金融機関・企業・弁護士の連携の可能性~

  日時 2022年2月2日(水)18時00分~20時00分
 

2020年度

・第1回 ESG要素を考慮した役員報酬の意義と在り方
  日時 2020年11月19日(木)18時00分~20時00分


・第2回 arrow_blue_1.gif持続可能な開発目標(SDGs)と弁護士~環境配慮ビジネスを弁護士がサポートする方法

  日時 2021年2月3日(水)18時00分~20時00分


2019年度

・第1回 「SDGs時代の働き方改革~外国人労働者問題への対応~」
  日時 2019年5月30日(木)18時00分~20時00分


・第2回 「2020年に向けて持続可能な社会の実現と法実務~東京五輪大会を通じたレガシーの創造に向けて~」
  日時 2019年11月12日(火)18時00分~20時00分


・第3回 「ビジネスと人権に関する苦情処理メカニズム」
  日時 2020年2月12日(水)18時00分~20時00分


2018年度

・第1回 「企業の環境・社会対応と弁護士の役割~持続可能な社会に向けた取組をどう具体化するか」
  日時 2018年5月23日(水)18時00分~20時00分


・第2回 「国際法曹協会(IBA)国際弁護士と法務担当役員経験者が語る 

     『ビジネスと人権』のグローバル動向と日本の弁護士・法務部の役割」
  日時 2018年9月5日(水)18時00分~20時00分


・第3回 「ESG関連リスクの管理・開示と弁護士の役割~日弁連ガイダンスを踏まえた非財務情報の開示と活用~」
  日時 2018年11月14日(水)18時00分~20時00分


・第4回 「金融業界のSDGs/ESG対応と弁護士の役割~国際的な動向や日弁連ESGガイダンスを踏まえて~」
  日時 2019年2月25日(月)18時00分~20時00分


2017年度

・第1回 「労働・人権をめぐる企業の情報開示戦略と弁護士の役割」
  日時 2017年11月22日(水)18時00分~20時00分


・第2回 「企業不祥事対応への弁護士の関わり方~ガバナンス・危機管理体制の強化に向けて~」
  日時 2018年2月13日(火)18時00分~20時00分