再審制度の正しい運用を要望する件(決意)
再審手続は、具体的真実発見と確定判決安定の二原則の均衡に立脚している制度であるが、無辜の民に対して、再審法規を形式的に解釈し、その救済の途を阻むことは、人道上許されないところである。
よって、当局は正義実現の理念に基き現行法を活用するとともに、人権擁護の見地より法改正を断行すべきである。
昭和38年11月22日
於鹿児島市、第6回人権擁護大会
理由
新刑事訴訟法は人権保障につき完膚な近代立法によって改正されたにもかかわらず、再審制度については旧刑事訴訟法当時と些した改正もしないままで今日に到っている。そこで日本弁護士連合会においては、昨年7月21日理事会において詳細な再審法規改正の決議をなし、関係方面に要望をなしたが、一方衆議院法務委員においても再審法規改正の小委員会を設置して検討をなしており、今や、再審制度改正の機運が高まりつつあることはむしろ当然のことといわねばならない。
顧みて現行再審制度下においても、基本的人権尊重の憲法の精神を汲むならば徒らに再審法規の形式解釈に拘ることなく無実に泣く者のために、救済の手を差延ばすべきである。