死刑廃止を考える[Q12]

死刑事件にえん罪はないのでしょうか?-えん罪と死刑

「10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜を罰するなかれ」という法格言は、刑事手続において最も重視されなければならない言葉です。


現代の刑事裁判では、えん罪(罪がないのに罰せられること)が発生しないように、慎重に捜査・審理がなされることを目的として様々な制度(例えば、三審制、再審制度など)が用意されていますが、それでも次の事件のように、えん罪の発生を防ぐことはできませんでした。


死刑判決が確定したえん罪事件の例

最近では、足利事件(無期懲役の事件、詳細な説明は準備中)のえん罪が明らかとなり、世間の注目を浴びました。


これらの事件がえん罪事件として有名であるのは、えん罪であることが裁判所に認められ、世間に広く認知されたからですが、これ以外にも、死刑事件である名張毒ぶどう酒事件(名張毒ぶどう酒事件の詳細な説明へ)、袴田事件(袴田事件の詳細な説明へ)は、えん罪である疑いが強く、日弁連が再審を支援しています。


また、えん罪により死刑判決を受け、死刑執行までされてしまった例がこれまでに一度もなかったと断言できるでしょうか? 最近では、飯塚事件(飯塚事件の詳細な説明へ)が、えん罪であるにもかかわらず死刑執行された事件であるとして、遺族が再審請求を行っています。


ところで、諸外国に目を向けますと、多くの国でえん罪の存在が問題となり、死刑制度が廃止されるに至った例があります(例えば、イギリスなど)。


死刑存置国として有名なアメリカ合衆国においても、イリノイ州では、死刑判決が出された事件が、後にえん罪であることが判明したことをきっかけとして、全ての死刑囚を終身刑に減刑しました。