憲法改正の何が問題なの?
パンフレットおよびクリアファイル「憲法に緊急事態条項?災害などの際に国会議員任期延長?No!それ、いりません!」のご紹介
日弁連は、2017年2月17日に「日本国憲法に緊急事態条項(国家緊急権)を創設することに反対する意見書 」を、2022年5月2日に「憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する会長声明 」を公表し、緊急事態条項は、極度の権力集中による政府の権力濫用の危険性が高く、民主主義の根幹をなす人権が大幅に制限される可能性があり、ひとたび行使されれば立憲主義が損なわれ回復が困難になるおそれがあることから、内閣に法律と同様の効力を持つ政令制定権を与えることに反対しました。
また、衆議院議員の任期延長を認めるべきであるとの議論については、上記意見表明に加えて、2017年12月22日に「大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書 」を、2023年5月11日に「国会議員の任期延長を可能とする憲法改正に反対し、大規模災害に備えるための公職選挙法の改正を求める意見書」を公表し、国会議員の任期延長は、国民の選挙権又はその行使を制限するものであること等を指摘するとともに、参議院の緊急集会を活用するとともに、大規模災害に備えて公職選挙法を改正し、災害に強い選挙制度に改めることを提案しました。
この度、これらの意見書などの内容を弁護士と高校生による会話形式でわかりやすくまとめたパンフレットおよびクリアファイル「憲法に緊急事態条項?災害などの際に国会議員任期延長?No!それ、いりません!」を発行しました。
憲法に緊急事態条項?災害などの際に国会議員任期延長?No!それ、いりません!(PDFファイル;5.7MB)
クリアファイル「憲法に緊急事態条項?災害などの際に国会議員任期延長?No!それ、いりません!」(PDFファイル;4.2MB)
リーフレット・パンフレット・広報動画「弁護士と一緒に考えてみませんか」シリーズのご紹介
リーフレット「弁護士と一緒に考えてみませんか 敵基地攻撃能力や反撃能力を日本は持ってよいのでしょうか?」
政府は、2022年12月16日、敵基地攻撃能力や反撃能力の保有を内容とする、新たな国家安全保障戦略、国家防衛戦略および防衛力整備計画(安保三文書)を閣議決定しました。
日弁連は同日付けで「敵基地攻撃能力」ないし「反撃能力」の保有に反対する意見書 を取りまとめました。
意見書では、憲法9条の下、日本が敵基地攻撃能力ないし反撃能力を持つことは許されない、それら能力を持つことは、むしろ日本の平和と安全を脅かしかねない、そして戦争を防ぐためには、平和的な外交を積極的に行っていく必要があることから、国が「敵基地攻撃能力」ないし「反撃能力」を保有することおよびそのための準備を進めることに反対しています。
この度、この意見書の内容を分かりやすくまとめたリーフレット「弁護士と一緒に考えてみませんか 敵基地攻撃能力や反撃能力を日本は持ってよいのでしょうか?」(B5サイズ)を発行しました。
パンフレット「弁護士と一緒に考えてみませんか 自衛隊や自衛の措置を憲法に書き加えても何も変わらないの?」
日弁連は、2018年5月25日の定期総会において、「憲法9条の改正議論に対し、立憲主義を堅持し、恒久平和主義の尊重を求める立場から課題ないしは問題を提起するとともに、憲法改正手続法の見直しを求める決議 」を採択しました。
この決議では、自民党憲法改正推進本部が2018年3月に公表した、憲法改正についての4項目の条文イメージ(たたき台素案)のうち、特に憲法9条を改正して自衛隊を明記する案の課題ないしは問題点を明らかにして、国民の間で憲法改正の意味が十分に理解され、議論が深められるよう責務を果たす決意を表明しています。
この度、この決議の内容を分かりやすくまとめたパンフレット「弁護士と一緒に考えてみませんか 自衛隊や自衛の措置を憲法に書き加えても何も変わらないの?」(B5サイズ)を発行しました。
広報動画「自衛隊や自衛の措置を憲法に書き加えても何も変わらないって本当?」
上記パンフレット「弁護士と一緒に考えてみませんか 自衛隊や自衛の措置を憲法に書き加えても何も変わらないの?」を題材とした広報動画を制作しました。
本編動画
ショート版動画
憲法96条改正をめぐる問題
日本国憲法は、憲法が簡単に変えられて人権保障が弱められてしまうことのないよう、憲法の改正には各議院の総議員の3分の2以上の賛成による国会の発議と国民投票が必要であるとしています(96条)。
この憲法改正手続を定めた96条について、国会による発議の要件を、各議員の総議員の過半数に緩和しようという動きがあります。
しかし、憲法は、国の基本的なあり方を定める最高法規ですから、憲法改正にあたっては、国会でも、十分慎重な議論が尽くされる必要があります。仮に発議要件が緩和されれば、反対意見について十分慎重な議論が尽くされないまま、発議に至る可能性が高くなります。
また、現在の選挙制度の下では、得票率が3割に満たない政党が議院の過半数の議席を占めることもあり得るため、発議要件が緩和されると、国民の多数の支持を受けていない憲法改正案が容易に発議されてしまう可能性もあります。
発議要件の緩和は、国家権力が憲法の縛りを解くために簡単に憲法改正を発議することを可能とするものであり、立憲主義と人権保障の観点から、許されないと考えます。
日弁連の意見
2006年8月22日 | 憲法改正手続に関する与党案・民主党案に関する意見書 |
2006年12月1日 | |
2007年5月14日 | 憲法改正手続法成立についての会長声明 |
2009年11月18日 | 憲法改正手続法の見直しを求める意見書 |
2010年4月14日 | 憲法改正手続法の施行延期を求める会長声明 |
2013年3月14日 | 憲法第96条の発議要件緩和に反対する意見書 |
2014年6月13日 | 改めて憲法改正手続法の見直しを求める会長声明 |
憲法改正の動きと資料(リンク集)
団体名 | リンク先 |
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衆議院憲法審査会 (特に「衆憲資バックナンバー」のページ) |
http://www.shugiin.go.jp/(※リンクはトップページ) |
参議院憲法審査会 (特に「審査会の経過」のページ) |
http://www.sangiin.go.jp/(※リンクはトップページ) |
国立国会図書館 | 「日本国憲法の誕生」http://www.ndl.go.jp/constitution/ |
「調査と情報」http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/ | |
自由民主党 (「『憲法改正草案』を発表」のページ) |
https://www.jimin.jp/(※リンクはトップページ) |
公明党 (「もっと公明党」内の「立憲主義の精神守る」等のページ) |
https://www.komei.or.jp/news/detail/20130603_11362 |
民主党 (「民主党政策集 憲法」のページ) |
http://www.dpj.or.jp/compilation/policies2013/50073 |
http://www.dpj.or.jp/article/102276 | |
日本維新の会 (国会議員団憲法調査会「中間報告」) |
https://o-ishin.jp/(※リンクはトップページ) |
みんなの党 (「日本国憲法の比較と改正ポイント」) |