日本国憲法に緊急事態条項(国家緊急権)を創設することに反対する意見書
本意見書について
日本弁護士連合会は、2017年2月17日に本件について意見を取りまとめ、同年2月21日付けで各政党代表者へ提出しました。
本意見書の趣旨
緊急事態条項(国家緊急権)は、深刻な人権侵害を伴い、ひとたび行使されれば立憲主義が損なわれ回復が困難となるおそれがあるところ、その一例である自由民主党の日本国憲法改正草案第9章が定める緊急事態条項は、戦争、内乱等、大規模自然災害その他の法律で定める緊急事態に対処するため、内閣に法律と同一の効力を有する政令制定権、内閣総理大臣に財政上処分権及び地方自治体の長に対する指示権を与え、何人にも国その他公の機関の指示に従うべき義務を定め、衆議院の解散権を制限し、両議院の任期及び選挙期日に特例を設けること(以下「対処措置」という。)を認めている。
しかし、戦争・内乱等・大規模自然災害に対処するために対処措置を講じる必要性は認められず、また、同草案の緊急事態条項には事前・事後の国会承認、緊急事態宣言の継続期間や解除に関する定め、基本的人権を最大限尊重すべきことなどが規定されているが、これらによっては内閣及び内閣総理大臣の権限濫用を防ぐことはできない。
よって、当連合会は、同草案を含め、日本国憲法を改正し、戦争、内乱等、大規模自然災害に対処するため同草案が定めるような対処措置を内容とする緊急事態条項(国家緊急権)を創設することに反対する。
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