海外贈賄防止ガイダンス(手引)

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2016年7月15日
改訂 2017年1月19日
 日本弁護士連合会

本ガイドラインについて

海外贈賄問題が日本企業にとって企業価値の毀損に直結する重大なリスクとなっていることを背景として、平成27年7月、経済産業省の外国公務員贈賄防止指針が改訂されました。また、海外贈賄防止は、企業がその社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)や人権尊重責任を果たすに当たっても不可欠な取組の一つとなっています。さらに、中小企業庁が平成28年3月に公表した「中小企業のための海外リスクマネジメントガイドブック」においても、贈収賄が重要なリスクとして挙げられた上、弁護士に相談することが推奨されています。

 

このような状況を受け、当連合会は、経済産業省の指針を補完する形で、日本企業及び日本企業に助言を行う弁護士を対象に、海外贈賄防止を推進する上での実務指針に関する現時点でのベスト・プラクティスとして、「海外贈賄防止ガイダンス(手引)」を取りまとめました。

 

本ガイダンス(手引)の目的

(1) 内部統制システム整備義務を果たす上で必要な贈賄防止体制の要素を明確にする

 

(2) 処罰の減免にも一助となり得る内部統制システムの要素を明確にする

 

(3) 企業及び弁護士における海外贈賄防止のための実務対応の在り方を明確にする

 

本ガイダンス(手引)の性格・活用方法

本ガイダンス(手引)は現時点の海外贈賄防止対策に関するベスト・プラクティスを取りまとめたものです。

 

日本企業の取締役が内部統制システム整備義務を果たし、また各国規制による摘発・処罰を回避しつつ、海外での事業を持続可能な形で展開していくためには、日本企業は、本ガイダンス(手引)に基づき海外贈賄防止を実践することが期待されます。また、贈賄に伴うリスクの顕在化による企業価値の毀損を防ぐと共に、現地拠点の担当者を賄賂の不当要求の脅威から守るためにも、本ガイダンス(手引)の実践が有用であると考えます。弁護士においても、本ガイダンス(手引)に基づき、海外贈賄防止に関する法的助言を積極的に行っていくことが推奨されます。

 

本ガイダンス(手引)の実践表明の推奨

贈賄リスクが企業価値に直結するものとして認識され、また、海外贈賄防止がCSRの中核的な取組として位置付けられている現在、企業は、海外贈賄防止の取組状況を、投資家などステークホルダーに対し積極的に開示することが強く求められています。そこで、本ガイダンス(手引)は、日本企業に対し、本ガイダンス(手引)に沿った海外贈賄防止対策を実践することを社内外において公表するよう推奨しています。このようなガイダンス(手引)実践の表明は、ステークホルダーに対する透明性を高め、企業に対する社会的な信頼を向上することにもつながります。日本企業においては、積極的にガイダンス(手引)実践の表明を検討ください。

 

(※本文はPDFファイルをご覧下さい)