弁護士の過疎・偏在問題

弁護士の過疎・偏在問題とは

kasohenzai.jpg現在、国内の弁護士の数は4万人を超えていますが、実にその約3分の2の弁護士が東京や大阪、名古屋の大都市に集中しています。これにより、法的なトラブルは全国どこでも起こりえるにもかかわらず、近くに弁護士がいないために、弁護士に相談したり解決を依頼したりすることができない、という問題が生じてしまうのです。これが弁護士の過疎・偏在問題です。


日本国憲法では「裁判を受ける権利」が保障されており、どのような人であっても司法サービスの恩恵を受けられなければなりません。しかし、その地域に弁護士がいない、もしくは少なければ、市民の司法サービスへのアクセスが十分に保障されているとはいえません。日本全国どこにお住いの方であっても、気軽に弁護士に相談でき、弁護士を利用できるという体制を作り上げていく必要があります。


そこで、日弁連は、1996年5月の定期総会で「弁護士過疎地域における法律相談体制の確立に関する宣言」を採択し、弁護士過疎・偏在問題の解決のために全力をあげて取り組むことを決意しました。1999年9月には弁護士から集めた会費を主な財源とする「日弁連ひまわり基金」を設置し、弁護士過疎・偏在対策のために支出しています。


icon_pdf.gif弁護士過疎・偏在解消に向けた日弁連の歩み  (PDFファイル;232KB)



弁護士過疎・偏在の解消の状況

日弁連では、地方裁判所の支部の管轄を1つの地域としてみて、弁護士の登録がない地域を「弁護士ゼロ地域」、弁護士登録が1人の地域を「弁護士ワン地域」、これらを併せて「弁護士ゼロワン地域」と呼んでいます。

 

日弁連の弁護士過疎・偏在対策や日本司法支援センター(法テラス)による司法過疎対策(2006年10月~)により、弁護士ゼロワン地域は急速に解消されていきました。

 

日弁連で「弁護士ゼロワンマップ」を初めて作成した1993年当時、弁護士ゼロワン地域は74か所ありましたが、2008年に弁護士ゼロ地域は全て解消されました。

 

また、2011年12月18日には、初めて弁護士ワン地域が解消されました。

 

その後、弁護士ゼロワン地域は再発生・解消が何度かあり、2017年11月1日には紀中ひまわり基金法律事務所の開所により改めて解消されていましたが、2024年4月1日現在は弁護士ワン地域が2か所発生しています。


icon_pdf.gif弁護士ゼロワン地裁支部数の変遷(弁護士白書2023年度版)(PDFファイル;1.2MB)



弁護士過疎・偏在の解消に向けて

弁護士が2人以上いて弁護士ゼロワン地域にあたらない場合でも、人口や事件数に比べて弁護士が不足している地域もあります。日弁連は、実質的な弁護士過疎地域の解消に向けて今後も活動を続けていきます。


また、弁護士過疎・偏在対策が必要な地域の中には、女性弁護士がいない地域もあります。しかし、市民の中には、男女問わず、女性弁護士に相談したいというニーズもあります。

 

日弁連では、女性弁護士が司法過疎地で働くための各種支援制度を設けています。また、執務環境整備のために様々な工夫をしています。

 

詳しくは、icon_pdf.gifパンフレット「女性の皆さん、地方で活躍してみませんか?(第2版)」(PDFファイル;3.3MB)をご覧ください。


なお、総合研修サイトでは、eラーニング「icon_page.png弁護士過疎地域で開業する魅力とそのノウハウ」を掲載しています。過疎地での独立開業を検討している方は、ぜひご覧ください。(※総合研修サイトへリンクします)