「弁護士ゼロ地域」の解消に関する会長談話

本日、滋賀県長浜市(大津地方裁判所長浜支部管内)に弁護士が1名登録し、地方裁判所支部単位の「弁護士ゼロ地域」が完全に解消された。


当連合会は、1996年(平成8年)の定期総会で採択された「名古屋宣言」において、弁護士過疎・偏在を解消するために全力をあげて取り組む決意であることを内外に明らかにした。そして、1999年(平成11年)には全会員から特別会費を徴収して「ひまわり基金」を設置し、2000年(平成12年)の島根県浜田市を皮切りに本日までに全国各地に延べ86か所の「ひまわり基金法律事務所」を設立して弁護士を常駐させ、また、弁護士過疎地域で独立開業する弁護士を支援して、司法サービスを提供してきた。


また、当連合会は、2006年(平成18年)に設置された日本司法支援センター(法テラス)の司法過疎対応地域事務所に配属される常勤スタッフ弁護士の確保、養成及び支援について重要な役割を担ってきた。


さらに、2007年(平成19年)の臨時総会においては「弁護士偏在解消のための経済的支援」を採択し、弁護士偏在地域において独立開業する弁護士を支援するとともに、そうした弁護士を養成する拠点事務所の設置に取り組んできた。


こうした弁護士過疎・偏在対策により、1996年(平成8年)当時47か所存在した「弁護士ゼロ地域」が、本日、完全に解消されたものである。このことは、全国各地の弁護士、弁護士会とともに当連合会が弁護士過疎・偏在地域の解消に取り組んできた成果であり、意義深いものがある。


司法過疎の解消のためには、裁判官・検察官の増員、裁判所・検察庁支部の機能強化、法律扶助予算の増額、スタッフ弁護士の処遇改善等、「国民の裁判を受ける権利の実質的な保障」という国の責務に基づく司法基盤の整備の推進が強く求められている。当連合会は、国との協力のもとに、全国津々浦々の市民による司法へのアクセスを容易にし、あまねく「法の支配」をゆきわたらせるため、引き続き、弁護士過疎・偏在地域の解消に全力をあげて取り組む決意であることを、ここにあらためて表明するものである。


2008年(平成20年)6月2日


日本弁護士連合会
会長 宮﨑 誠