女性差別撤廃委員会の最終見解

女性差別撤廃委員会 第248回会期 (仮訳)
国連総会に対する第14回女子差別撤廃委員会報告書(A/50/38)より
1994年1月27,28日(審査日)
原文:英語
訳:日本政府


626. 女子に対する差別の撤廃に関する委員会(CEDAW)は、1994年1月27日及び28日の第248回会期において、日本の第2回及び第3回一括定期報告(CEDAW/C/JPA/12 of 9 July)を検討した。


序論

627. 委員会は、日本政府が、報告のためのガイドラインに従い、また、第1回報告の審議の際に未回答であった問題につき情報を提供する詳細な一括報告を提出したことを評価した。委員会は、また、会合前のワーキング・グループにおける質問に対する詳細な応答を評価したが、その情報が同グループが十分に検討を行うために十分な時間内に提供されなかったことに対し懸念を表明した。委員会は、同報告の内容の豊富さを評価する一方、将来において、日本政府の代表と委員との間で一層十分な対話が可能となるように、日本政府に対し、委員会が報告を検討する際の時間的制約を念頭に置くことを要請した。


肯定的側面

628. 委員会は、女性に影響を及ぼす問題に関心のある非政府機関との協議が行われたことに留意しそれを評価した。委員会は、特に、日本の非政府機関が本件条約に積極的な関心を有していることに留意し、また、それらの機関によって提供された別個の報告に留意した。委員会は、このような関心は、日本女性の間の結集力及び懸念のレベルの指標であると共に男性と平等な地位を達成する上で女性が直面している主要な障害についての合意の程度の指標であると考えた。


629. 委員会は、また、日本政府が、女性の地位向上を短期間に促進したこと、特に公的及び政治的な分野における女性の参加の増大及びこの参加を一層改善するための日本政府の計画について評価した。委員会は、また、日本政府が女性の教育への一層広範な参加を奨励した方法及び家族的理由による休業に関する計画を実施するための同政府の行動を賞賛した。


主要関心事項

630. 委員会は、国連によると、日本が全般的な資源開発において世界各国の中で第2位に位置づけられるにもかかわらず、日本女性の社会経済的地位が考慮される場合には、その順位が14位に下がることを懸念を持って観察した。委員会は、これは、女性を国の経済的発展の過程に十分に統合することに関する日本の無関心を示すものと考えた。


631. 委員会は、また、本件報告が、豊富なデータを含んでいるにもかかわらず、事実の記述にとどまり、日本における本件条約の十分な実施に対する障害についての批判的分析に欠けていることに懸念を表明した。


632. 委員会は、更に、雇用機会均等法の導入にもかかわらず、個別の差別が継続していることに留意した。


633. 委員会は、日本の報告が他のアジア諸国からの女性に対する性的搾取及び第2次世界大戦中の女性に対する性的搾取に関する問題を真剣に反映していないことにつき失望の意を表明した。委員会は、日本の本件条約に関する約束が、同国に対し、外国人及び移民の女性を含むすべての女性の十分な人権の保護を確保することを要求するものであることに留意した。


提案及び勧告

634. 委員会は、日本女性の姿が一層明らかになるように、日本政府が、次回の定期報告の準備に当たり、日本の女性団体と効果的な対話を行うことを要請する。日本女性が私生活及び職場において直面する法律上及び職務上の差別が指摘されるべきであり、また、これらの障害を克服するための現存し又は予定されている措置も、特定されるべきである。


635. 委員会が日本における商業的性的搾取又は移民女性の売春につき一層理解することを可能とするために、日本の性産業に関する一層詳細な情報が提供されるべきである。委員会は、日本政府に対し、日本の性産業に関する研究を行い、その結果についての情報を次回の報告において提供することを要請する。委員会は、また、日本政府に対し、これらの最近の問題及び戦争に関連する犯罪を取り扱うため具体的かつ効果的な措置をとること及びその措置につき次回の報告で委員会に報告することを推奨する。


636. 日本政府は、民間部門が雇用機会均等法を遵守することを確保するべきであり、民間部門において女性が直面している昇進や賃金についての間接的な差別を取り扱うためにとった措置について報告すべきである。