個人申立に基づき行われた見解(Views)の要約 34会期ー42会期
Supplement A/49/40 (Volume I)
377/1989 73-78 Anthony Currie対ジャマイカ
6,14(1)・2(3)14(3)(c),(5)
14条の権利に違反する審理によって死刑が宣告され、その判決に対するそれ以上の上訴が不可能であるときは、第6条にも違反する。憲法違反に関する憲法裁判所に対する上訴について無償の法的援助を国家が提供しないことは、公正な審理を受ける権利と実効的な救済を得る権利とを侵害する。控訴裁判所が控訴棄却後13年間判決書を作成しなかったことは申立人が上訴することを禁ずるものであり14条3項(c)及び14条5項に違反する。
330/1988 20-30 Albert Berry対ジャマイカ
6,9(3)(4),10,14(3)(g),7
6条及び14条についてAnthony対ジャマイカと同様の結論。裁判官の面前に引致される前に2ヵ月半にわたり、弁護人に依頼することができないまま拘束されたことは9条3項及び9条4項に違反する。捜査官がBerry氏を銃で撃つと脅迫し、強制的に供述書に署名させたが、これは14条3項(g)及び7条により不利益供述又は有罪であることを自認することを強制されない権利を侵害する。
333/1988 37-41 Lenford Hamilton対ジャマイカ
6,14(3)(c),(5)
6条及び14条についてAnthony対ジャマイカと同様の結論。長期間、書面による判決がないことは14条3項(c)及び14条5項に違反する。
353/1988 50-58 Lloyd Grant対ジャマイカ
6,14(1)(3)(b)(d)(e)
6条及び14条についてAnthony対ジャマイカと同様の結論。弁護人が依頼者に上訴事由として何も主張する意図がないことを伝達しなかったことは依頼者が他の選択肢を検討する機会を奪ったといえる。当該状況下においては、これは14条3項(b)及び(d)に違反している。被告人側の証人は、裁判所に赴く旅費がなかったために審理に出頭できなかった。本件は死刑が法定刑であるため、14条(e)は、裁判官が審理を延期して証人に出頭命令を出し、警察が交通の手段を提供すべきことを要請している。
445/1991 136-141 Lynden Champagnie et al.対ジャマイカ
6,1483)(c)(59)
6条及び14条についてAnthony対ジャマイカと同様の結論。長期間、書面による判決がないことは14条3項(c)及び14条5項に違反する。
449/1991 142-145 Rafael Mojica対ドミニカ共和国
6,7,9(1)
労働組合の活動家が軍から死の脅迫を受け、その後失踪したが、政府は、治安当局が失踪に関与したことを否定していない。委員会は、国家は“失踪”を防がなければならないとし、“失踪”は生命についての権利に関連し、その権利が本件では侵害された、とした。また、国家が抑留されていない者の安全を保障していないことは、9条1項に違反する。
469/1991 189-208 Charles Chitat Ng対カナダ
*6(1),7
カナダからアメリカ合衆国へNg氏を引渡すことは、彼を死刑の可能性を含む種々の罪状にさらすことになる。引渡によってがNg氏をアメリカ合衆国における6条2項違反にさらされるのであれば、その引渡は6条1項に違反する。しかし、本件の状況においては、6条1項の違反はない(5名反対意見)。しかしながら、死刑執行の方法についてのテストは「最も身体的及び精神的苦痛の少ない」ものであり、ガス殺はこのテストに合致しない。したがって、死刑執行方法に関する事前の保障のない引渡は7条に違反する(4名反対意見)。
321/1988 1-4 Maurice Thomas対ジャマイカ
7,10
死刑因が兵士と看守に暴行され、負傷したが、これにつき何らの医療措置も施されなかった。これは品位を傷つける取扱いとされた。
440/1990 128-130 El-Megreisi対リビア・アラブ共和国
7,9,10
El-Megreisi氏が(3年以上にわたる)長期間、外部との連絡を絶たれ、所在地も隠されたまま抑留されたことは拷問であり、残虐なかつ非人道的な取扱いである。
458/1991 171-182 Albert Mukong対カメルーン
7,9(1),19
Mukong氏は、抑留の状況(過密、食料と衣服の欠乏、死の脅迫及び外部との連絡を絶たれた抑留であること)が7条に違反すると主張した。国(カメルーン)側は立証責任は申立人側にあり、かかる状況は発展途上にあるからであると論じたが、委員会はこれを認めなかった。申立人により一応の証明がなされた場合は、立証責任は国側に転換され、一定の最低限の条件(国連の被拘禁者処遇最低基準規則参照)は発展の段階にかかわらず、遵守されなければならないものである。本件の状況は残虐、非人道的かつ品位を傷つける取扱いであった。逮捕と抑留は、合法ではあったが、当該状況下において合理的でも必要でもなかったから、9条1項に違反する。Mukong氏の著作の出版を禁止したことは国の安全(国の統合が脆弱であると主張された)には必要ではなかったから、19条に違反する。
322/1988 5-11 Hugo Rodriguez対ウルグァイ
2(3),7
申立人はウルグアイ市民であるが、妻や友人と共に私服警官に逮捕され、秘密警察の本部に連行された。その後1週間にわたって、性器等に対する電気ショック、腕を縛って吊り下げる、裸にしてバケツの水を何杯もかける、などの拷問を繰り返し受けた。政府の答弁は、新しい恩赦法の下では、前政権による拷問について捜査する必要がないというものであった。委員会は、恩赦法は申立人が、2条3項に基づき、7条違反の拷問に対する効果的な救済措置を受ける事を妨げていると指摘し、政府の答弁に対し強い不同意を表明した。
328/1988 12-19 Roberto Zelaya Blanco対ニカラグア
7,9(1),10(1),14(3)(g)
被害者は、技師であり大学教授であるが、サンディニスタ政府が権力を掌握した翌日、政治的意見のために令状なしで逮捕された。彼は拷問及び虐待を受け、繰り返し自白調書に署名するよう迫られ、その後、彼がマルクス主義に反対している事を理由に特別裁判所で30年の拘禁刑を言渡された。委員会は、数多くの違反を認定した。
366/1989 65-67 Isidore Kanana対ザイール
7,9,10(1)
申立人はザイールにおける反政府政党の創設者であるが、令状なしに、かつ、虚偽の口実のもとに政治警察本部に連行された。彼はそこで裸にされ、殴打され、性器に電気ショックを加えらる拷問を受け、その後、道端に遺棄して死ぬに任せようとされた。委員会は、申立人の逮捕は、9条に反する恣意的なものであり、拷問、残虐なかつ非人道的な取扱いを受けさせたことは、7条及び10条1項に反すると認定した。
407/1990 79-84 Dwayne Hylton対ジャマイカ
7,10(1)
申立人は、殺人で有罪判決を受け、死刑執行を待っているものであるが、看守から殴打されたり、死の脅迫を受けたりなど、刑務所内で虐待を受けていると申立てた。委員会は、締結国から何らの反証がなされないので、申立人は7条及び10条1項に反して残虐かつ非人道的な取扱いを受けたものと認定した。
414/1990 96-100 Primo Jose Essono MikaMiha対赤道ギニア
7,9(1)(2)(4),10(1),*12,14(1)*,19(1)(2)
申立人は、前国連大使であり、反政府政党の支持者であるが、治安部隊により路上で誘拐され、拷問を受けた。明らかに略式の裁判にかけられた後、彼は釈放され、出国した。委員会は、不公正な裁判及び移動の自由に対する干渉については申立を裏付ける十分な証拠がないとしたが、申立人が政治的な意見を表明する権利を行使したことを唯一の、若しくは主たる根拠に、同人を逮捕及び抑留したことは恣意的であると認定した。また委員会は、抑留中の殴打は拷問に相当するものであったこと、並びに食事、水及び医療の不提供は残虐かつ非人道的な取扱いを構成する旨認定した。
428/1990 124-127 Francois Bozize対中央アフリカ共和国
7,9,10,14(3)(e)
政府と政治的に対立しているBozize氏は、抑留され4年を経過しても第1審における審理を受けていなかった。これは不当に遅延することなく裁判を受ける権利を侵害する。
468/1991 183-188 Angel N.Olo Bahamonde対赤道ギニア
9(1),12,14(1)26
申立人は、政府による嫌がらせ、威嚇及び脅迫を受けていた。身体の安全についての権利は、抑留されている者と同様、抑留されていない者にも及ぶことから、かかる行為は9条1項に違反する。申立人が出国しようとしたときに二度も彼のパスポートが没収されたことは、12条に違反する。申立人が裁判所にアクセスしようとしたことを組織的に妨害したこと及び行政が司法を支配していることは14条第1項に違反する。申立人の政治的意見及び政府に対する批判を理由とすることは26条に違反する。
456/1991 165-170 Ismet Celepli対スウェーデン
*12
申立人に対するスウェーデンからの退去命令が人道的理由により停止されるに際し、移動の自由を制約する条件が付された。委員会は何らの違反もないとした。
492/1992 238-245 Lauri Peltonen対フィンランド
*12(2)(3)
スウェーデンに住むフィンランド国民である申立人がフィンランドの強制的兵役の召喚を度々拒否していたところ、その後、パスポートの発給を拒絶された件。委員会は、12条3項の起草段階の資料によれば、国を離れる権利は国に対する義務を免れるためには援用できないことを示しているものとした。
441/1990 131-135 Robert Casanovas対フランス
*14(1)
Casanovas氏の自治体の消防団への復職を求める裁判手続は32カ月にわたったが、委員会は、本件は他の案件よりも優先されて裁判所により取扱われていたものであり、14条1項の違反はないとした。
451/1991 146-154 Barry S. Harward対ノルウェー
*14(1)(3)(b)*
ノルウェーで刑事事件により訴追されている英国人が、裁判の準備のために使用されるすべての書類について書面の翻訳を国が提供しなかったことは彼の防御を準備するにあたって十分な便益を得る権利を侵害すると主張した。委員会は、弁護人が書類を入手し、その書類を通訳を通じて依頼者に読み聞かせることが十分にできる限り違反はないとした。
355/1989 59-64 George Winston Reid対ジャマイカ
14(3)(c)(5)
長期間、判決書が作成されなかったことは14条3項(c)及び14条5項に違反する。
488/1992 226-237 Nicholas Toonen対オーストラリア
2(1),17
同性愛活動家であるToonen氏は、同意している成人間の同性愛的行為を刑事罰の対象とすることは2条1項、17条及び26条に違反すると主張した。委員会は、かかる行為は17条にいう「プライバシー」により守られるものとし、Toonen氏のプライバシーに対する干渉は、合法ではあるものの恣意的であり、したがって、2条1項、17条に違反する、とした。委員会は26条の主張については判断しなかった。
412/1990 85-95 Auli Kivenmaa対フィンランド
19,21
Kivenmaa氏らは、訪問中の某国国家元首の人権問題を批判する小冊子を配布し、横断幕を大統領官邸に向かって掲げた。彼女は事前の届出なく「公共の集会」を組織したとして逮捕された。委員会は19条違反を認めた。法律が公共の場所における示威行動について6時間前までに届出するよう要求していることは21条に矛盾しないが、示威行動が外国元首の訪問にあたって集まった多勢の群集の行動の一部を構成するにすぎない場合はかかる制限を課すことは21条に違反する(1名反対意見)。
418/1990 114-119 Cavalcanti Araujo-Jongen対オランダ
*26
申立人は既婚女性であるが、既婚女性の場合は一家の生計を支えていることを証明しなければ、限定的な失業給付しか受けられなかった(男性には、この証明は要求されていない)。法律が改正され、既婚女性も遡及的に給付を得られることとなったが、これは遡及的給付の申請日において失業している場合に限るものであった。申立人は、この失業の要件を差別的であるとして攻撃した。委員会は、この要件は、失業者を援助するとの法律の目的からみて合理的で客観的なものとし、違反は認められないとした。
455/1991 155-164 Allan Singer対カナダ
19
モントリオールで文具及び印刷業を営む申立人は、フランス語以外の他の言語による屋外広告を禁止するケベック州の言語に関する法律は彼の権利を侵害すると主張した。委員会は、州政府は1又は複数の公用語を選定することができるが、公的な場面以外では、人は自らが選択する言語により自らを表現する自由があることを否定してはならないとし、19条違反とした。
425/1990 120-123 A.M.M.Doesburg Lannooij Neefs対オランダ
*26
委員会は、オランダの社会保障法の適用につき違反を認めなかった。
484/1991 221-225 H.J.Pepels対オランダ
*26
委員会は、オランダの社会保障法の適用につき違反を認めなかった。
417/1990 101-113 Manuel Balaguer Santacana対スペイン
*23
婚外子に面接することを拒否された父が23条違反を主張した。委員会は「家族」とは広く解釈されるべきであることには同意したが、申立人本人が、面接する権利の「行使方法」を遵守していなかった本件では、違反を認めなかった。
SupplementA/48/40(PartII)
237/1987 5-11 Denroy Gordon対ジャマイカ
*14
謀殺罪(murder)で有罪判決を受けた元警官のDenroy氏が、防御の準備に不十分な時間と便益しか与えられなかったこと、控訴審の審理に出廷していないこと、事実審の裁判官は特定の証人が証言することを許さず、陪審員に対して故殺罪(manslaughter)を検討しないように説示したことが、14条違反であると主張した。委員会は本件の状況には何らの違反も認めなかった。
255/1987 12-16 Carlton Linton対ジャマイカ
7,10(1),*14(1)
他の2名と共に警備員を殺した罪で有罪とされた申立人は、裁判官が(共謀関係に入るにあたっての申立人の意図が単に被害者を攻撃するだけであったのか殺害する意図であったのかの)「共謀」について陪審員に対する適切な説示を怠ったとして不公正な裁判であると主張した。陪審員に対する説示は明らかに恣意的であったわけではなく公正さを欠いていたわけではないので、違反は認められない。しかしながら、有罪判決後の申立人に対する虐待(身体的虐待、看守による模擬死刑執行、医療措置を施さないこと等)は、残虐かつ非人道的な取扱いである。
263/1987 17-21 M.Gonzalezdel Rio対ペルー
*9,12(2),14(1)
元刑務所長であった申立人は、彼の訴追は政治的圧力によるものであると主張した。委員会は申立人が実際には抑留されておらず、したがって9条違反はないとした。しかしながら彼が7年間にわたって逮捕状が出ているために自国を離れることができず、1985年以来逮捕状がでたままでその後の進行が遅延させられたままであることは違反であるとした。
274/1988 22-27 Loxley Griffiths対ジャマイカ
*7,14*
不仲となった妻を殺害した件で有罪となった申立人は、陪審員に対する説示の誤り、検察による陪審への干渉及び長期にわたる抑留が違反であると主張した。委員会は何らの違反も認めなかった。
282/1988 28-36 Leaford Smith対ジャマイカ
6,14(3)(b)(c)(5)
裁判の初日において、弁護人が殺人罪に問われていた申立人と相談し準備する時間が4時間しかなかったことは14条3項(b)に違反する。控訴審が書面による意見を4年以上出さず、申立人の上訴を妨げたことは14条3項(c)及び14条5項に違反する。審理における違反と上訴の妨害により、6条にも違反する。
292/1988 37-40 Delroy Quelch対ジャマイカ
*14
Quelch氏は、控訴審における審理に出廷していないことが14条に違反すると申立てた。委員会は却下した。Quelch氏の代理人が審理に出廷し、彼を代理して主張をしていた。
307/1988 41-47 John Campbell対ジャマイカ
6,14(1)及び(3)(d)
妻を殺害したことで有罪判決を受けたCampbell氏は、彼の控訴が棄却されるまで、裁判所が選任した彼の弁護人の名前すら知らなかった。これは14条3項(d)に違反する。父親に不利益な証言を得るためにCampbell氏の10才の息子を抑留したことは14条に違反する。14条に違反する裁判において死刑を言い渡され、これに対する上訴が可能でないことは、6条の違反である(1名賛成意見)。
309/1988 48-51 Carlos Orihuela Valenzuela対ペルー
*17,26
法律家であり勤務歴26年の公務員である申立人は、政権の交替があったときに何の手続も経ずしてその職を失った。裁判所が行動をとらず、解雇手当支払命令の実施を遅らせたうえ、実施しなかったことは26条違反を構成する。彼の家族に対する虐待であるとの申立人の主張は17条違反としては十分ではない。
314/1988 52-56 Peter Chiiko Bwalya対ザンビア
9(1)(3),12,19(1),25(a),26
ザンビアの政党の党首である申立人はザンビアの一党支配の憲法の下で禁止されている政党に所属していることを理由として繰り返し嫌がらせをうけ、抑留されていた。委員会は、政治的な迫害による様々な違反を認定した。
317/1988 57-61 Howard Martin対ジャマイカ
*7,14*
殺人罪で有罪判決を受けた申立人が裁判の不当な遅延を主張し、長期間(6年間)死刑執行がなされないままに待機させられたこと及び死刑執行命令と執行停止との間に17日間あったことは7条に違反すると主張した。委員会は遅延は主として申立人により引き起こされたと認めた。死刑執行が延期されたこと自体は、申立人が上訴により救済を求めていたためである場合は、7条違反ではない。
320/1988 62-67 Victor Francis対ジャマイカ
6,7,10(1),14(3)(c)14(5)
子どもに対する無差別殺人の罪で有罪とされた申立人は、抑留中の虐待(兵士と看守等による暴行)があり、控訴裁判所が迅速に判決書を作成しなかったことにより彼の上訴が妨げられたと主張した。委員会は、抑留中の品位を傷つける取扱い、生命に対する権利(6条)の侵害を伴う不公正な裁判(14条)を認定した。
326/1988 68-71 Henry Kalenga対ザンビア
*7,9(2)(3)10(1),12(1),19
政治活動家である申立人が公安法により逮捕され、釈放後も監視下におかれた。委員会は、抑留の状況(娯楽禁止、時として食料と医療措置が欠乏していたこと)は残虐、非人道的又は品位を傷つける取扱いとするには十分でないが10条第1項には違反すると認めた。言論と移動の自由に対する制約、申立人に罪状を告知するにあたって1カ月遅延したこと及び裁判官又は司法官の面前に引致されるまで3年半も抑留されていたことが、違反である。
334/1988 72-77 Michael Bailey対ジャマイカ
7,10(1)
女友達を殺したことで有罪とされた申立人は、死刑執行を待っている間に看守に殴打され、その後医療措置を受けられなかったと主張した。委員会は、これらを残虐なかつ非人道的な取扱いであると認めた。
338/1988 78-84 Leroy Simmonds対ジャマイカ
6,14(3)(b)(d)
殺人罪で有罪とされたSimmonds氏は、裁判所が選任する弁護人なくして自分自身で控訴し、審理に出頭したいと望んだ。しかしながら、弁護人が選任され、審理当日にその弁護人の名がSimmonds氏に明らかにされ審理はSimmonds氏の出席なく行われた。14条3項(b)及び(d)に違反し、したがって6条に違反する。(1名別意見)
356/1989 85-90 Trevor Collins対ジャマイカ
6,*14(3)(b)(e)*,14(3)(c)(d)(5)
殺人罪で有罪とされた申立人は、彼の裁判所選任の弁護人が事前の相談なく控訴審における活動を放棄したことを知った。委員会は、事実審の段階における違反は認めなかったが控訴の段階で相談をしなかったことが14条3項(d)に違反するとした。控訴審が判決書を作成しなかったことは実効的な上訴を妨げたこととなり、14条3項(c)及び14条5項の違反となる。14条の違反及び上訴が不可能であったことは6条の違反となる。
359/1989及び385/1989 91-109 John Ballantyne, Elizabeth Davidson及びGordon Mclntyre対カナダ
19(2),*26,27*
申立人らは英国圏の顧客を相手として営業を行う英語を母国語とする者である。ケベック州の法律は英語による広告(屋外広告、会社名等)を禁止している。委員会は表現の自由を侵害すると認めたが26条及び27条違反は認めなかった(5名別意見)。
362/1989 110-115 Balkissoon Soogrim対トリニダード・トバコ
7,10(1)
委員会は、申立人が刑務所の看守に数回殴打された事実を7条及び10条1項違反と認めた。
387/1989 116-123 Arvo O.Karttunen対フィンランド
14(1)
詐害破産の罪で有罪となった申立人が、1名の職業裁判官と5名の一般人の裁判官から構成される合議体裁判所のうち1名の一般人の裁判官が不適格であり、この不適格裁判官により証言の攪乱があり、控訴審が証人尋問を公開で行わなかったことは14条に違反すると主張した。委員会は控訴審の行為が違反の認定につき決定的なものであると強調した(1名別意見)。
402/1990 124-130 Henricus Antonius Godefriedus MariaBrinkof対オランダ
*26
良心的兵役拒否者である申立人は、軍隊への出頭を拒否し、軍隊命令違反として逮捕された。エホバの証人は代替役務に就く必要がないのに、彼のような他の良心的兵役拒否者は代替役務に就かねばならず、従わない場合は軍隊により逮捕されることは差別であると主張した。委員会は、ある一つの集団のみを免除することは不合理であることには同意したが、申立人は、代替役務に就くことが自らの信条に反すること、またエホバの証人の特権的な取扱いが彼の権利を侵害していることを立証していないと判断した。
406/1990 131-137 Lahcen B.M.Oulajin及びMohamedKaiss対オランダ
*26
申立人らはオランダに住むモロッコ国民である。彼らの在モロッコの家族は親戚の子供の面倒をみることになったが、児童福祉法は養親と一緒に住んでいない養子のための補助は認めていない。委員会はこの要件は合理的かつ客観的であると認めた。(1名同意見)
470/1991 138-177 JosephKindler対カナダ
*6,7*
計画殺人の罪で有罪とされ死刑宣告を受けたKindler氏はカナダに逃亡し、そこで逮捕された。アメリカ合衆国は彼の引渡しを要求した。カナダはほとんど全ての犯罪について死刑を廃止していたが、Kindler氏が死刑を執行されないとする保証を求めることなく引渡しを許可した。何らの違反も認められないとされた(1名賛成意見、5名反対意見)。
SupplementA/47/40
205/1986 213-217 Mikmaqpeople対カナダ
*25(a)
申立人らは、憲法会議において、Mikmaqの人々が10名の先住民の指導者の合議体によって特に代表されるよう求めた。特別な代表がなかったことは、不合理であったわけではなく、したがって政治に参加する権利を侵害してはいない。
230/1987 218-226 Raphael Henry対ジャマイカ
6,14(5)
控訴裁判所が判決書を作成しなかったことはHenry氏が上訴することを妨げるものであり、14条5項に違反し、したがって6条に違反する。
240/1987 227-239 Willard Collins対ジャマイカ
7,10(1),*14(1)(2)(3)(e)*
裁判における違反はないが、死刑執行を待つ間に刑務所の看守に殴打されたことは、残虐な、非人道的な、かつ品位を傷つける取扱いである(1名別意見)。
248/1987 240-249 Glenford Campbell対ジャマイカ
6,9(2)(4),14(3)(d)
正式に被疑事実が示されるまでの3カ月の遅延、逮捕から裁判官の面前に引致されるまでの6週間の遅延、Campbell氏が特に指示したにもかかわらず弁護人が自白が殴打により得られたものであることを論じなかったことは9条及び14条に違反し、上訴不可能な死刑を科すことは6条に違反する。
269/1987 250-253 Delroy Prince対ジャマイカ
*7,14*
申立人による、裁判前に警察により殴打されたこと及び被告人側の証人が威嚇されたとの主張は、立証されていないとされた。
270/1988 254-260 Randolph Barrett及びClyde Sutcliffe対ジャマイカ
7,10(1)
刑務所で申立人を殴打したこと及びほとんど丸1日何らの医療措置も講じなかったことは、残虐かつ非人道的な取扱いである(1名別意見)。
272/1988 261-264 Alrick Thomas対ジャマイカ
14(1)
申立人は、死刑判決につき控訴したが、控訴審の審理が終ってから控訴審の期日の通知を受けたものであり、実効的な弁護を受けられなかったといえる。
276/1988 265-268 Trevor Ellis対ジャマイカ
*7,14*
委員会は、議論する余地なく7条及び14条違反はないとした。
277/1988 269-275 Juan Teran Jijon対エクアドル
7,9(1)(3),10(1)
申立人の息子が抑留中拷問をうけ、虐待を受けた。釈放命令の後も不法に1年間抑留され、裁判の前に弁護人との連絡を絶たれ接見禁止の拘束をうけていた。委員会は様々な違反を認定した(1名別意見)。
283/1988 276-284 Aston Little対ジャマイカ
6,14(3)(b)(c)(e),(5)
申立人が、殺人罪についての裁判の前に弁護人と打ち合わせる時間が0.5時間しかなく、裁判中にも同じ時間しかなく、また控訴審において弁護人との打ち合わせができなかったことは14条違反である。控訴審が控訴棄却後5年間判決書を作成しなかったこと及びこれによりその後の上訴を妨げたことは14条に違反し、従って6条に違反する。
289/1988 285-291 Dieter Wolf対パナマ
9(3),10(1)(2),14(1)(3)(b)(d)
ドイツ人である申立人は、引当てのない小切手を発行したとの被疑事実で逮捕されたが、裁判官の面前には引致されず、弁護士との接見は拒否され、起訴状も示されず、いずれの事件についても聴聞の機会を与えられなかったことは、9条及び14条の違反である。抑留中、5日間食事を与えられなかったこと等の身体的虐待を受けたことは、10条1項の違反であるが、7条の違反にまでは至らない。
293/1988 292-297 Horace Hibbert対ジャマイカ
*14
殺人罪で有罪判決を受けた元警官の申立人は、陪審員が裁判官により威嚇をうけ、裁判において申立人が警官として品行が良くなかったとする不適切な言及をされ、かつ、防御に十分な時間と便益を与えられなかったことは違反であると主張した。委員会は違反を認めなかった。
319/1988 298-301 Edgar A.CanonGarcia対エクアドル
7,9,13
コロンビア市民である申立人は、エクアドルのホテルでエクアドル警察と米国麻薬取締局により逮捕された。その晩、私邸で他との連絡を絶たれて拘束された後、米国の捜査官と共に飛行機で米国に強制的に連行され、その後麻薬不正取引の罪で収監された。委員会は幾つかの違反を認定した。
336/1988 302-307 Andre Fillastre対ボリビア
9(2)(3),14(3)(c)
申立人は、いずれも私立探偵である夫ともう1人の男性のために申立を行った。これらの男性は、父親により誘拐された子供を探しているときに逮捕され、司法官の面前に引致される前に被疑事実を示されることなく10日間拘束され、判決まで4年かかった。委員会は、これらは違反であるとした。
349-1989 308-318 CliftonWright対ジャマイカ
6,*10,14(1),*14(3)(b)(e)*
申立人は殺人の罪に問われたが、検死の結果、被害者が撃たれたとき申立人は既に警察が拘束していたことが判明した。裁判所がこの事実を伏せていたことは、14条違反であり、したがって6条違反である(1名別意見)。
395/1990 319-324 M.Th.Sprenger対オランダ
*26
他の社会保障関係法では事実婚と正式な結婚とを平等に扱っているにもかかわらず、健康保険法が、結婚しているカップルとしていないものを区別して、結婚していない配偶者に共同の保険を否定していることは、差別的取扱いであるとして申立人が不服を申立てた。委員会は、かかる違いがあることは合理的かつ客観的であるとした。(1名別意見)
410/1990 325-332 Csaba Parkanyi対ハンガリー
10(1),*14
詐欺と横領の幇助として有罪とされた申立人が、裁判と抑留中の様々な違反を主張した。委員会は、私的な衛生に関する時間として1日5分間しか許さず、戸外運動が5分間しかなかったことは10条1項に違反するとした外は、全て排斥した(1名別意見)。
415/1990 333-337 Dietmar Pauger対オーストリア
26
妻を亡くしたPauger氏が亡き妻の公務員としての執務を理由として年金を請求した。年金法は、当初、寡婦に対するとは異なり妻を亡くした夫で収入のある者には年金を否定していたが、その後、妻を亡くした夫に対しても3段階に分けて、段階的に年金制度を導入することとした。委員会は、この区別は合理的かつ客観的ではないと認めた。
Supplement A/46/40
221/1987及び323/1988 219-225 Yves Cadoret及びHervele Bihan対フランス
*14,26*
フランス語の道路標識を壊したとの被疑事実で罪に問われた申立人らは、彼らと彼らの証人がその母国語であるブレトン語で証言することが許されなかったとして不服を申立てた。委員会はこの人々がフランス語で自らを十分表現することができなかったということを示す証拠がないことから、何らの違反もないとした。
226/1987及び256/1987 226-234 Michael Sawyers及びMichael並びにDesmond McLean対ジャマイカ
*14(1)(3)(b)(e)*
殺人罪で有罪とされた申立人らは、陪審員に対する不適切な説示、防御に十分な時間がなかったこと及び陪審員と検察側の証人の不適切な接触との理由で、不公正な裁判であると主張した。委員会は、何らの違反も認定しなかった。
229/1987 235-240 Irvine Reynolds対ジャマイカ
*14(1)(3)(d)(e)*
殺人罪で有罪とされた申立人が、陪審員に対する説示における裁判官の偏見及び彼の弁護人が特定の証人を呼び出さなかったことを理由として不公正な裁判であると主張した。委員会は、当該説示が明確に恣意的で公正さを欠いたものであったわけではなく、証人を呼び出さなかったことは専門家としての判断事項であったとし、違反を認めなかった。
253/1987 241-252 Paul Kelly対ジャマイカ
6,9(2)(3)(4),10,14
殺人罪で抑留されたKelly氏は、裁判官の面前に引致される前、5週間にわたって拘束され弁護士にも家族にも連絡をとることが許されなかった。これは、9条3項及び4項違反である。彼は基本的な医療措置も受けられず、房から外に出る時間は1日30分しか許されなかった。これは10条1項違反である。申立人は、逮捕後、数週間、何らの逮捕理由(被害者の特定も含む)も告げられなかった。これは9条2項違反である。弁護人が申立人と打ち合わせることなく控訴を放棄したこと及び控訴棄却後5年以上も判決書が作成されなかったことは14条違反である。これは、さらなる上訴が認められなかったことと共に6条違反を構成する(2名別意見)。
298/1988及び299/1988 253-261 G.and L.Lindgren, L.Holm Ellen Kay及びRudolf Steiner and A.and B.Hjord, E.and I.Lundquist,L.Radkoand E.Stahl 対スウェーデン
*26
申立人らは、両私立校に通う子供を持つ親であるが、スウェーデンの法律により地方自治体に委ねられている教科書と給食についての補助金を市町村が拒絶したことは、差別であると主張した。委員会は、当該決定は合理的で客観的であるとした。
327/1988 262-266 Herve Barzhig対フランス
*26
フランス語の道路標識を傷つけたとの被疑事実で罪に問われた申立人は、彼が裁判所において彼の母国語であるブレトン語を話すことが許されておらず、通訳も付されなかったことは差別であると主張した。委員会は、申立人はフランス語で自らを十分に表現できたことから、何らの違反もないとした。
Supplement A/45/40(VolumeII)
167/1984 1-30 Bernard Ominayak, Chief of the Lubicon Band対カナダ
27
申立人は、自決の権利とルビコン湖部族の天然の富及び資源を自由に処分する権利が否定されたと主張した。カナダは当該部族とその伝統的な生活様式を継続する権利を認めているものの、その土地は商業的利益(石油とガスの掘削)のために収用されていた。27条違反である(2名別意見)。
181/1984 31-37 A.and H.Sanjuan Arevalo対コロンビア
6,9
申立人は、コロンビア警察により捕らえられ失踪した2人の息子のために申立てをなした。委員会は、生命に対する権利及び自由と身体の安全に対する権利が侵害されたと認めた。
193/1985 38-42 Pierre Giry対ドミニカ共和国
13
フランス市民である申立人は、ドミニカ共和国に着いて2日後にセント・バーソロミューに向けて出国するために航空券を購入した。空港で彼はドミニカ官憲に捕らえられ、プエルトリコ行きの便に強制的に乗せられ、米国に麻薬を密輸しようとしたとしてプエルトリコで逮捕され、その後、収監された。委員会は、申立人はその国を離れようとしていたのであるから、国の安全に基づく例外措置が認められる場合ではないとして、13条違反を認定した(1名別意見。)
195/1985 43-49 W.Delgado Paez対コロンビア
9(1),*18,19,*25(c),*26
高校の宗教及び倫理の教師である申立人は、彼が「解放の神学」を主唱していることで上司と争った。彼は工作を教えることを強制され、嫌がらせと死の脅迫を受けたが、当局は何もしなかった。彼は、フランスにおいて政治的亡命者として保護を受けた。委員会は、彼の宗教を表明する権利と自らの意見を表現する権利については、彼の職務を変更した教会当局の決定によって侵害されたとはいえないが、政府が、彼の安全を確保して彼が公務を継続できるよう行動をとらなかったことは違反であるとした。
208/1986 50-54 K.SinghBhinder対カナダ
*18,26*
鉄道保守管理員である申立人は、彼の信仰するシーク教では男性は布のターバンのみを着用するべきこととなっているため、就業に際して堅固な安全帽を被らなかった。彼は別の部署への配転命令を拒否し、解雇された。委員会は、保護のためのヘルメットの着用を要求することは合理的かつ客観的なものであるとした。
215/1986 55-60 G.A.van Meurs対オランダ
*14(1)
申立人の使用者は、勤務成績不良と組合活動を理由として、彼との労働契約を裁判で終了させようとした。申立人は、手続が公開されておらず、「フェア」でないと主張した。委員会は、申立人が審理の公開を要求しなかったことを認め、手続が明らかに恣意的であり又は公正を欠いたわけではないとし、違反を認めなかった。
219/1986 61-68 Dominique Guesdon対フランス
*14(1)(3)(e)(f),26*
フランス語の道路標識を傷つけたとの被疑事実で罪に問われた申立人は、彼がフランス語よりもよく話せるブレトン語で証言することを許されなかったことにより、裁判は不公正であり、彼は差別の被害者であると主張した。委員会は彼がフランス語で自らを十分に表現できたことから、何らの違反もないとした。
232/1987 69-76 Daniel Pinto対トリニダード・トバコ
6,14(3)(d)
殺人罪で死刑判決を受けた申立人は、裁判官の陪審員に対する説示及び彼が自ら依頼した弁護人が控訴審において受け入れられなかったことを理由として、彼の裁判が不公正であったと主張した。委員会は、陪審員に対する説示は恣意的ではなく公正を欠いたわけではないとしたが、裁判所が、Pinto氏の依頼した弁護士が裁判所の選任した弁護士(事実審の後、Pinto氏は彼を拒否した)に代われるように期日を延期することを拒否したことは14条に違反するとした(1名別意見)。
241/1987及び242/1987 77-84 F.Birindwaci Birhashwirwa及びE.Tshisekediwa Mulumba対ザイール
7,9(2)(3),10,12(1),17(1)
政治的反体制グループの創始者である申立人らは、4日間の食料・飲料の剥奪、非衛生な状態での抑留、裁判官の面前への引致の遅延、国内追放中の移動の自由の剥奪、医学的な診断に反してTshisekedi氏が心神喪失であるとの宣告を求めてその名声を攻撃したこと、など、政府による数限りない違反を被った。
250/1987 85-95 Carlton Reid対ジャマイカ
6,14(3)(b)(d)
殺人罪で死刑判決を受けた申立人らは、陪審員に対する不適切な説示、防御に十分な時間及び便益を与えられなかったこと、自らの選任によらない弁護士が控訴における弁護人になったことを理由として14条違反を主張した。委員会は陪審員に対する説示が14条に違反するとの結論を導くには十分な証拠がないとしたが、裁判の初日に初めて弁護士に会い、同じ弁護士(いかなる控訴理由も無駄であるとしていた)によって控訴審も代理されることを強制したことは14条に違反するとした。さらなる上訴が不可能であったことから、これらは6条にも違反する(1名別意見)。
291/1988 96-100 MarioI.Torres対フィンランド
*7,9(4)
スペイン市民であるTorres氏は、政治的亡命を求めてフィンランドに行ったが、抑留され、その後スペインにテロリストとして送還された。彼は、スペインにおいて拷問にかけられる虞があること及び彼が外国人法に基づき拘束されていた当初の1カ月間、裁判所の面前で抑留を争えなかったことから、この送還は7条に違反すると主張した。委員会は拷問の虞については証明するには事実が不十分であるとしたが、1カ月の遅延は9条4項に違反すると判断した。
295/1988 101-107 Aapo Jarvinen対フィンランド
*26
良心的兵役拒否者である申立人は、代替役務の期間が12カ月から16カ月に延長されたことは不均衡に長く、したがって、軍隊での服務が僅か8カ月であることと比べ差別的であると主張した。委員会は、期間の延長は行政実務上の事由に基づくものであり、したがって合理的かつ客観的なものであるとした(2名別意見)。
305/1988 108-117 Hugovan Alphen対オランダ
9(1),*17
偽造及び脱税の共犯として逮捕された弁護士であるVanAlphen氏は、依頼者が弁護士と依頼者間の守秘義務を免除したにもかかわらず、彼の依頼者と彼自身の行為について尋問されることを拒否した。彼の抑留は9週間にわたった。委員会は、彼の逮捕はオランダ法では合法であるが、恣意的なものであるとして9条1項に違反するとした。しかし、17条の違反を認定するについては事実は十分でないとした。
Supplement A/44/40
162/1983 183-188 Omar Berterretche Acosta対ウルグァイ
7,10
建築家であり気象学者であるAcosta氏は、内乱罪で逮捕され、接見を禁止され、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱いを受けた。
196/1985 189-195 Ibrahima Gueye et al.対フランス
26
Gueye氏と他742名のフランス軍を退役したセネガル人が、フランスが「アフリカ人の」退役軍人についてのみ年金を減額したことは26条に違反すると主張した。これらの人々は、軍務に就いていた間、フランスの市民権を有していたが、セネガルがフランスから独立したときにこれを喪失した。委員会は、行政管理上の便宜によるとするフランスの主張を認めず、フランス国民でないこと及びアフリカにおける生活費が低廉であることは合理的かつ客観的な基準とはいえず、異なった取扱いは差別であるとした。
202/1986 196-199 G.Atodel Avellanal対ペルー
3,14(1),26
2棟のアパートを所有している既婚女性である申立人が、賃料不払いを理由に裁判所に賃借人を訴えようとしたところ、夫婦財産については夫のみが訴訟追行できるとするペルー法に基づき訴えが却下された。委員会は、この要件は法の下の平等に反し、差別的であるとした。
203/1986 200-209 R.T.Munoz Hermoza対ペルー
14(1)
申立人は警察の職を停止され、復職と補償を要求した。行政手続は7年続き、Hermoza氏が司法手続を開始したことを理由に彼に不利益な決定が出されて終結した。司法手続は彼に有利に終結したが、その後、2年半経過しても判決はまだ実施されていなかった。不当な遅延は14条1項に違反する(2名別意見)。
207/1986 210-221 Yves Morael対フランス
*14(1)(2),17,26*
破産した合資会社の元業務執行取締役であった申立人は、適切な注意義務を怠ったことを理由として会社債務の一定の割合について彼に支払義務があるとする命令で終結した司法手続が不公正であると主張した。委員会は何らの違反も認めなかった。
210/1986 222-231 Earl Pratt及びIvan Morgan対ジャマイカ
7,14(3)(c)(5)
殺人罪で死刑判決を受けた申立人らは、控訴裁判所が彼らの控訴を棄却した後45カ月判決書を作成しなかったことが14条3項(c)及び14条5項に違反すると主張した。委員会は45カ月の遅延は残虐な又は非人道的な取扱いではないが、死刑執行の停止が決定されてから、執行時刻のわずか45分前に申立人らに執行停止を伝達するまで、20時間あったことが残虐かつ非人道的であるとした。
218/1986 232-240 Hendrika S.Vos対オランダ
*26
申立人は、彼女の夫の死亡によって寡婦手当の支給対象となったときに、彼女の障害手当が打ち切られたことは差別であると主張した。委員会は、これは両手当の重複支給を避けるための立法措置に基づくもので、合理的かつ客観的な別異の取扱いであり、本件でたまたま申立人の受給額が僅かばかり減少したとしても、差別とは認められないとした。
223/1987 241-245 Frank Robinson対ジャマイカ
14(1)(3)(d),2*14(3)(e)*
申立人は、弁護人なく裁判で殺人罪で有罪とされた。弁護人両名は、審理初日に出廷せず、日目に出廷した1名は、両名とも本件を辞任することの許可を求めたにすぎない。裁判官は、かかる辞任に同意し、これに先立ち検察側のためにはその主たる証人が所在不明であるとして6回も期日を延期したにもかかわらず、審理を続行した。委員会は、弁護人がなかったこと及び被告人のために延期を拒否したことは不公正であるとした。
238/1987 246-248 Floresmilo Bolanos対エクアドル
9(1)(3),14(1)(c)
軍事教育機関の動物園で死体が発見され、動物園の従業員であるBolanos氏が殺人罪で抑留された。Bolanos氏は、軍の高官がその妻の愛人を殺したのであり、それを隠すために氏は起訴前に5年間抑留され、抑留後6年経っても将来判決がなされる見込みがないと主張した。委員会は、不当な抑留と不当な遅延を認定した。
265/1987 249-258 Antti Voulanne対フィンランド
*7,9(4)
兵士である申立人は、精神的ストレスで、許可を得ずにその任務を離れた。彼は、聴聞手続を経ずに10日間の営倉(小さな独房での監禁)の罰を受けた。彼は、その罰が非人道的かつ品位を傷つける取扱いであり、裁判所へのアクセスなく自由を奪われたと論じた。委員会は、7条違反の認定基準を判示したが、本件では同条違反は認めなかった。9条の保護は兵士にも及ぶと判断した。
Supplement A/43/40
159/1983 184-190 Cariboni対ウルグァイ
7,10(1),14(1)(3)(c)(g)
歴史の教師であるCariboni氏が逮捕され、拷問により2度の心臓発作を起こした。その拷問により得られた自白が、その後刑事裁判において彼に対する有罪判決を得るために使われた。
161/1983 190-198 東(2)184 Herrera Rubio対コロンビア
6,7,10(1)
申立人は、彼の両親が行方不明となり、後に殺されたことにつき両親のために、また彼が拷問を受けたことにつき、申立てをなした。委員会は、挙証責任について議論し、数多くの違反が証明されたと認定した。
176/1984 199-207 Lafuente Penarrieta et al.対ボリビア
7,9(3),10(1)14(3)(b)
ゲリラであるとして逮捕され、44日間他との接触を絶たれて拘束され、非人道的な状況下で弁護人に連絡をとれずに拘束され、拷問を受けた7人の親族の男性のために、女性の申立人が不服を申し立てた。委員会はこれに同意し、数多くの違反を認めた。
188/1984 207-211 東(2)217 Martinez Portorreal対ドミニカ共和国
7,9(1),9(2),10
法学部の教授で人権弁護士として活動していた申立人が逮捕され、過密で不潔な状況の下に何らの理由も告げられずに50時間抑留された。彼は、悪名の高い左翼主義者も同時に逮捕され、共に拘束されたことから、その目的が彼の人権活動のグループの評価を低下させることであると主張した。委員会は数多くの違反を認めた。
191/1985 211-217 Blom対スウェーデン
*26
スウェーデン政府は、政府がそのカリキュラムを認証し、政府の監督を受けている私立学校の東(2)372学生に対して財政的補助をしている。申立人は、政府が彼のRudolf Steiner School(ルドルフ・スタイナー校)に対して遡及的な認証を与えなかったことは差別であるとして不服を申し立てた。委員会は、監督は遡及的にはなされ得ないものであるから過去と将来の学年度の間に生じる差異は合理的であり客観的なものであるとした。
194/1985 218-221 東(2)150 Miango対ザイール
6,7(1)
Jean Miango氏が誘拐され軍の駐屯地に連行され、そこで拷問を受け、その後、駐屯地の病院で死亡した。委員会は、これらの事実を重大な違反であるとした。
197/1985 221-230 Kitok対スウェーデン
*27
伝統的にトナカイの放牧を業とする少数民族であるSamiサーミ(ラップ)は、スウェーデンの法律により一定の権利を保障されているが、その法律ではサーミを非常に狭く定義している。混血のサーミである申立人は、その法律は、彼が伝統的な文化を継承することを妨げているとして不服を申し立てた。委員会はスウェーデン法の適用については批判したが、Kitok氏は、権利としてではないにしても、実際に放牧、狩猟、漁をすることができたのであるから、何らの違反もないと判断した。
201/1985 230-241 Hendriks対オランダ
*23
ドイツ連邦共和国に住むオランダ市民である申立人は、オランダの裁判所が、彼の息子の利益のためとして、離婚した彼の、息子との面接交渉を排除する判断をしたことにより、彼の家族に対する権利が侵害されたと主張した。委員会はオランダの法令を批判し、監護者ではない親の訪問を拒否するには特段の事情が必要であるとしたが、本件については違反を認めなかった(2名別意見)。
Supplement A/42/40
155/1983 130-138 東(2)295 Eric Hammel対マダガスカル
9(4),13
マダガスカルで19年の経験を有する弁護士であり、アムネスティ・インターナショナル及び、た、委員会で活動していたHammel氏が、自分の事務所で逮捕され、治安警察により他との連絡を絶たれて拘束され、わずか2時間の荷作りのための時間を与えられただけで国外追放とされた。マダガスカル政府は、彼の人権擁護活動は国の威信を失墜するもので、彼の即時の国外追放は国の安全のために必要であったと主張した。委員会はこれらの主張を排斥し、9条及び13条の違反を認めた。
172/1984 139-150 東(2)351 S.W.M.Broeks対オランダ
26
Broeks夫人は、オランダの失業保険法によれば、既婚女性は一家の生計を維持していることを証明できない限り継続して給付を得られないことは、性による差別であるとして不服を申し立てた。男性と未婚女性はかかる証明をする必要がない。委員会は、かかる差違は合理的なものではなく、したがって差別的なものであるとした。
180/1984 151-159 L.G.Dannig対オランダ
*26
内縁関係を継続していた未婚の男性である申立人は、交通事故で障害者となり、法律上の婚姻をしていたら受けられたであろう給付よりも少ない給付しか得られないことを不服として申し立てた。委員会はオランダの社会保障法が、婚姻しているカップルとそうでないものとを区別していることは合理的かつ客観的であるとし、したがって差別的ではないとした。
182/1984 160-169 F.H.Zwaan-de Vries対オランダ
26
Zwaan-deVries夫人は、オランダの失業保険法によれば、既婚女性は、一家の生計を維持していることを証明できない限り継続して給付を得られないことは、性による差別であるとして不服を申し立てた。男性と未婚女性はかかる証明をする必要がない。委員会は、かかる差違は合理的なものではなく、したがって差別的なものであるとした。
198/1985 170-173 東(2)411 R.D.Stalla Costa対ウルグァイ
*25(c),26*
申立人は様々な政府機関に職を求めたが成功しなかった。彼は、自らが、前の軍事政権によって政治的理由で解雇された従前の職員を優先的に取扱う政府の積極的差別撤廃措置の被害者であるとして不服申立をした。委員会は、その措置は26条の平等の要請と両立するものであるとした。
Supplement A/41/40
138/1983 121-127 東(2)330 Ngalula Mpandanjila et al.対ザイール
9(1),10,12,14(1),19,25
元国会議員あるいは実業家であった犠牲者らは、その政治的意見を理由として迫害され、恣意的に逮捕され、自由を奪われ、行政処分による追放を受けている間、虐待を受け、公正かつ公開の審理を受けることができず、政治に参加する平等な権利を剥奪された。
147/1983 128-133 Lucia Arzuaga Gilboa対ウルグァイ
7,10(1)
学生活動家であるGilboa氏が逮捕され、15日間接見禁止の拘束を受け、その間、拷問(殴打、電気ショック、吊るし)を受けた。その後、彼女は「破壊活動結社」の被疑事実により、政治犯の刑務所で14カ月間非人間的な状況に置かれた。委員会は、かかる事実は拷問、残虐なかつ品位を傷つける取扱いであり(当初の抑留)、10条第1項の違反である(抑留の全期間)とした。
156/1983 134-141 Luis Alberto Solorzano対ベネズエラ
9(3),10(1),14(3)(c)
被害者は、武装反逆の被疑事実で逮捕され、軍事法廷に引致され、7年以上も大統領命令の下で抑留され、その間、虐待を受けた後、判決なく釈放された。委員会は、彼が裁判官の面前に出ることがなく、合理的期間内に裁判を受けられず、抑留の間虐待を受けたと認定した。
157/1983 142-144 東(2)341 Andre Alphonse Mpaka-Nsusu対ザイール
9(1),12(1),19,25
申立人は法律に従って大統領に立候補したが、これが拒絶され、逮捕されて、裁判なく19カ月拘束され、無期限に彼の村に追放された。委員会は、彼が恣意的に逮捕され抑留されたこと、政治的意見により迫害されたこと、移動の自由と政治に参加する権利を奪われたことを認めた。
Supplement A/40/40
89/1981 164-170 東(2)307 Paavo Muhonen対フィンランド
*14(6)
申立人は2度良心的兵役拒否者としての地位と代替的役務を求めたが、不成功に終り、兵役のために出頭を命じられ、これを拒絶したため収監された。刑務所で11カ月過ごした後、3度目の代替的役務につく申立が認められ彼は釈放されたが、刑務所にいる間の経済的補償はなされなかった。委員会は、彼には補償を求める権利がないとし、したがって14条6項の違反はないとした。
115/1982 171-178 John Wright対マダガスカル
7,10(1),14(3)(b)
南アフリカ国民で南アフリカ航空のパイロットである申立人は、マダガスカルに緊急着陸したところ、マダガスカルの領空侵犯として軍事法廷で5年の懲役刑を宣告された。彼は、接見を禁止され、弁護人に連絡できないまま、被疑事実について捜査されていた10カ月の間拘束され、その間、刑務所内で非人道的な状況に置かれた。
132/1982 179-186 Monja Jaona対マダガスカル
9(1)(2),19
大統領に立候補して選挙運動をしたものの当選しなかったJaona氏は、現政権の腐敗を告発し、現職の再選をもたらした選挙違反を攻撃した。Jaona氏は、直ちに逮捕され、8カ月以上も被疑事実を示されずに抑留された。委員会は、彼はその政治的意見のために迫害されたものであり、逮捕と抑留は9条に違反するとした。
146/1983及び154/1983 187-195 東(2)156 John Khemraadi Baboeram et al.対スリナム
6(1)
8名の申立人は、軍により捕らえられた後、虐待と即決の処刑を物語る、数限りない傷のついた遺体で発見された親族のために申し立てた。委員会は、生命に関する権利の侵害を認めた。
139/1983 196-203 東(2)399 Hiber Conteris対ウルグァイ
7,9(1)(2)(3)(4),10(1),14(3)(b)(c)(d)(g)
メソジストの牧師で新聞論説委員かつ大学教授である被害者は、逮捕状なく逮捕され、接見を禁止され、著しい虐待を受け、裁判官の面前に引致されることも被疑事実を知らされることもなく2年拘束され、その後、弁護人の出廷も代理もなく裁判に付された。
Supplement A/39/40
83/1981 148-153 東(2)250 Raul Noel Martinez Machado対ウルグァイ
10(1),14(3)(b)(c),
歴史の教師で軍の手に「消えた」被害者は、4カ月以上も他との接触を絶たれて拘束され、弁護士に連絡することを禁止され、判決まで8年抑留された。委員会は3つの違反を認めた。
103/1981 154-158 東(2)263 Batlle Oxandabarat対ウルグァイ
14(3)(b)(c)
労働組合活動家でツパマロス活動の指導者である被害者は、10年間抑留されていた。裁判所選任にかかる弁護人は面会に行かず、彼に事態の連絡をせず、逮捕と判決の間に8年が経過した。委員会は、不適切な弁護と裁判の不当な遅延を認めた。
85/1981 159-163 東(2)203 Hector Alfredo Romero対ウルグァイ
10(1)
労働組合活動家の被害者は、様々な被疑事実で収監されている。委員会は、彼が他との接触を絶たれて不明の場所に数カ月拘束されていたとの事実は10条1項の違反であると認めた。
109/1981 164-168 Teresa Gomezde Voituret対ウルグァイ
10(1)
医者である被害者は、逮捕状なくして逮捕され、裁判にかけられるまで軍事刑務所の独房に入れられていた。委員会は、数カ月にわたる彼女の監禁は10条1項の違反であるとした。
110/1981 169-174 東(2)212 Antonio Viana Acosta対ウルグァイ
7,10(1),14(3)(b)(c)
ウルグァイ国民の申立人は、アルゼンチンにおいてウルグァイとアルゼンチンの機関により誘拐され、ウルグァイに連行され、7年間監獄に入れられた。彼は、彼の弁護をする意欲のある特定の文民弁護士を望んでいたにもかかわらず、裁判では、軍の弁護士を受け入れるよう強制された。彼は非人道的な取扱いを受け、裁判は大幅に遅延した、委員会は、ウルグァイ政府は、ウルグァイ国外における自国機関による違反行為につき責を負うべきであると判断し、また抑留中の被害者の取扱いについて数多くの違反を認めた。
123/1982 175-181 Jorge Manera Lluberas対ウルグァイ
10(1),14(3)(b)(c)
土木技術者でツパマロス活動の創始者である被害者が逮捕され、何カ月も過酷な状況に置かれ、裁判の前、約2年間彼の弁護士に会うことを許されなかった。逮捕と判決の間に7年が経過した。委員会は、数多くの違反を認めた。
124/1982 182-189 東(2)319 Tshitenge Muteba対ザイール
7,9(3)(4),10(1),14(3)(b)(c)(d),19
被害者は軍治安警察に逮捕され、9日間拷問を受け、弁護士に連絡をとれずに、数カ月間、他との接触を絶たれて拘束された。様々な被疑事実に問われていたが、彼は一度も裁判官の面前に引致されず、また裁判を受けることがなかった。委員会は、数多くの重大な違反を認めた。(1名別意見)
Supplement A/38/40
55/1979 111-116 東(2)279 Alexander Maclsaac対カナダ
*15(1)
申立人は武装強盗罪で8年の刑を宣告され2年4カ月後に仮釈放されたが、仮釈放中に別の罪に問われ、仮釈放中に経過した期間を自動的に喪失し、その期間は再度服役しなければならなかった。彼が延長された服役期間を終え、再度仮釈放された後、法律が変更され、仮釈放中に経過した期間の自動的喪失は廃止された。申立人は、改正法が彼に対して遡及的に適用されたなら彼はより早期に釈放されたはずであったとして不服を申し立てた。委員会は、喪失を命ずるか否かは裁判官の裁量に委ねられたのであるから、必ずしも彼がより軽い刑の利益を拒絶されたことにはならないとした。
66/1980 117-123 東(2)235 David Alberto Campora Schweizer対ウルグァイ
9(3)(4),10(1),14(3)(c)
申立人は、逮捕され、非人道的な状況下に抑留され、裁判官の面前に引致されず、「緊急治安措置」の下に拘束されていた間、自らの逮捕につき異議を申し立てることを許されなかった。委員会は、数多くの違反を認めた。
84/1981 124-133 Guillermo Ignacio Dermit Barbato及びHugoHaroldo対ウルグァイ
6,9(3)(4),14(3)(c)
被害者らは兄弟である。医学生であったHugoは刑務所で死亡しその状況について何らの説明もなされておらず、医者のGuillermo氏は行方不明となって長期間他との接触を絶たれて拘束されDermit Barbatoていた。委員会は、生命に関する権利についての違反(Hugo)及び逮捕・抑留・裁判に関する権利についての違反(Guillermo)を認めた。
16/1977 134-140 東(2)137 Daniel Monguya Mbenge et al.対ザイール
6(2),9,14(3)(a)(b)(d)(e)
元Shaba州知事でベルギー在住のMbenge氏は、新聞で、彼が裁判について何らの通知も受けていないまま欠席審理のうえ、2度、死刑判決を受けていることを知った。Oyabi氏は、逮捕され、別人の所在を開示するよう強制され、1年以上拘束された後解放された。彼に対しては、何の被疑事実も示されなかった。委員会は、6条及び14条(Mbenge)並びに9条(Oyabi)の違反を認めた。
49/1979 141-149 東(2)227 DaveMarais対マダガスカル
7,10(1),14(3)(b)(d)
南アフリカ国民のMarais氏は、モーリシャスへ向うチャーター機の乗客であり、その機は、燃料不足のためマダガスカルに緊急着陸せざるをえなかった。Marais氏とパイロットのJohnWright氏はマダガスカルの領空侵犯で裁判を受け、懲役刑の宣告を受けた。当局は、裁判の2日前まで繰り返し弁護士への連絡を妨害し、その後、弁護人であるEricHamel氏を逮捕し、国外追放した。委員会は、非人道的な状況における監禁及び弁護人依頼権の拒否を認めた。
74/1980 150-159 東(2)195 Miguel Angel Estrella対ウルグァイ
7,10(1),14,14(1)(3)(b)(d)(g),17
申立人は、自ら演奏し、貧しい人々に音楽を教える音楽家であった。彼は、誘拐され、拷問を受け、破壊活動を自白しなければ両手を切断するとの脅迫を受けた。軍の兵舎に移された後、彼は著しい虐待を受け、軍が選任した弁護人を受け入れるよう強制され、通知を受けることなく裁判に付された。委員会は、数多くの違反を認めた。
75/1980 160-165 東(2)387 Duilio Fanali対イタリア
*14(5)
イタリアは批准にあたって14条5項につき大統領と閣僚に対する憲法裁判所における手続に対しては上訴が不可能である旨を許容する留保を付していた。申立人は引退した空軍の司令官で、閣僚の一人として憲法裁判所で汚職の罪で有罪判決を受けた者であるが、かかる留保とこれが彼について適用されることの有効性について争い、上訴の権利が否定されたことに不服を申し立てた。委員会は留保は本件の事実に適用されるとし、違反はないとした。
77/1980 166-172 東(2)287 Samuel Lichtensztein対ウルグァイ
12
メキシコに住むウルグァイ国民である申立人は、「大使館の明示の命令による」との理由のほかには何らの理由も告げられず、ウルグァイ当局に新しいパスポートの発給を拒否された。委員会は、ウルグァイはそのパスポートの発給拒否について12条の権利に関する明示の制約のいずれにも依拠していないことから、12条の違反があるとした。
80/1980 173-179 東(2)242 Elena Beatriz Vasilskis対ウルグァイ
7,19(1),14(1)(3)(b)(c)(d)
申立人は、規約が発効する前に、ツパマロス活動のメンバーとして逮捕され、他との接触を絶たれて拘束された。規約発効後、法律家でない軍人が彼女の弁護人として付され、不当に遅延した秘密裁判で判決を受けた。彼女は刑務所で虐待を受けた。委員会は、数多くの違反を認めた。
88/1981 180-185 Gustavo Raul Larrosa Bequio対ウルグァイ
7,10(1)
被害者は、ツパマロス活動のメンバーとして逮捕され、独房に監禁され、あるいは窓のない小部屋に入れられていた。彼は片耳の聴力を失い、体重も減少し、視力障害も生じた。委員会は、監獄における彼の取扱いは、7条及び10条に違反するとした。
106/1981 186-191 Mabel Pereira Montero対ウルグァイ
12(2)
西ベルリンに住むウルグァイ国民である申立人は、5年毎に更新される条件付きの10年間有効なウルグァイのパスポートを所持していた。この更新が、1978年から1981年にかけて、何らの説明なく何回も拒否された。委員会は、かかる拒否は12条2項の違反であると認めた。
43/1979 192-196 Adolfo Drescher Caldas対ウルグァイ
9(2)(4),10(1),14(3)(b)(c)
労働組合の役員である被害者は、「緊急治安措置」の下で氏名不詳の官憲により逮捕状なくして逮捕された。6週間、秘密裏に、他との接触を絶たれて拘束された後、彼は、幾つかの罪に問われ、軍事法廷が選任した軍人による弁護を受けた。審理は1978年に開始されたが、1983年までのところ終結していないようである。委員会は、数多くの違反を認めた。
90/1981 197-200 東(2)207 Luyeye Maganaex-Philibert対ザイール
2(3),9(1)(2)(3),10(1)
申立人は逮捕を経ずに抑留され、地面に寝ることを強制され、家族との連絡を禁じられ、医療措置を全て拒絶された。10カ月後、恩赦を得て解放された。彼は一度も尋問を受けたこともなく、抑留に関する何らの書類も示されなかった。委員会は、9条及び10条違反に対する国内法による有効な救済手段がなかったこと、これによる2条3項の違反を認めた。
92/1981 201-208 東(2)256 Juan Almirati Nieto対ウルグァイ
10(1),14(3)(b)(c)(d)
規約発効前、土木技術者である被害者は、憲法体制の転覆を共謀したことその他の罪により逮捕され、逃亡したが、再逮捕され、10年の懲役刑を宣告された。条約の発効後、彼の刑期の終了に近くなって、同じ事実関係と思われるものにつき、新たな訴追がなされた。委員会は、発効前の出来事が発効日以降においても継続して10条及び14条違反を構成していると認定した。
105/1981 209-215 Luis Alberto Estradet Cabreira対ウルグァイ
10(1)
軍事刑務所に抑留されていた被害者は非常な虐待に耐えていた。委員会は、条約の発効後について、10条1項違反を認めた。
107/1981 216-224 東(2)173 Elena Quinteros及びM.C.Almeidade Quinteros対ウルグァイ
7,9,10(1)
申立人は彼女自身と彼女の娘のために申し立てた。彼女の娘は逮捕され、他との接触を絶たれて拘束され、その後、ベネズエラ大使館の近くに連れていかれた。そこは娘が当局が逮捕したいと考えている人物と会うことになっていた場所であった。その娘は、「亡命」と叫びながら、大使館に駆け込んだ。兵士が大使館の敷地内に立ち入り、大使館書記官長とその他の職員を倒して、娘を引きずり出した。その後、彼女に関する情報はない。委員会は母親の純粋に精神的な苦痛についての7条違反を含む、幾つかの違反を認めた。
108/1981 225-230 Carlos Varela Nunez対ウルグァイ
12
ウルグァイ国民の申立人は、イタリアの報道機関の通信員としてニューヨークに住んでいた。ウルグァイ政府は、まだ残存有効期間が1年以上ある彼のパスポートを失効させ、彼には通知せずに、諸外国の政府にはその旨通知した。彼はこの件について一切の理由を告げられず、彼がウルグァイ領事館に送った書留郵便には返事がなかった。委員会は、12条違反を認めた。
Supplement A/37/40
R.7/27 101-113 東(1)154 Larry James Pinkney対カナダ
14(3)(c)(5)
米国民で黒豹党の活動家である申立人は、カナダに訪問者として入国したところ、金品恐喝罪で有罪判決を受けた。彼は多くの違反を主張したが、委員会は、上訴をするに必要な裁判記録の作成が2年半遅延したことが、不当に遅延することなく裁判を受ける権利に反することのみを認めた。
R.14/63 114-121 東(1)171 Raul Sendic Antonaccio対ウルグァイ
7,9(3),10(1),14(3)(a)(b)(c)(d)(e)
ツマパロス活動の主要な創始者である被害者は、逮捕され、収監され、そこで拷問を受け、医療措置を拒絶された。彼の裁判は、本人には知らせず、また、彼に付された弁護士からの何の連絡もなく、非公開で行われた。彼は被告人側の証人を出すことを許されなかった。これらの出来事の幾つかは規約発効前に起きたことであるが、委員会は、発効後においてもこれらの違反が継続していることを認め、発効後に生じたその他の違反も認めた。
R.2/10 122-129 Alberto Altestor対ウルグァイ
9(3)(4),10(1),14(1)(3),25
元労働組合の指導者であり、下院議員であった被害者は、緊急治安措置の下に逮捕され、その際人身保護請求も認められず、軍事裁判所で審理され、破壊的結社の罪を宣告された。他の事実は委員会にとって把握困難であるが、委員会は、被害者が数カ月他との接触を絶たれて拘束されていたこと、裁判官の面前に迅速に引致されなかったこと、逮捕に際し人身保護を求めることが許されなかったこと、公正な公開審理がなかったことを認定した。また、15年間彼の選挙権・被選挙権を停止する命令が出されていたことが不合理な制約であるとして、25条に基づく権利も侵害されたとした。
R.7/30 130-136 東(1)181 Eduardo Bleier対ウルグァイ
6,7,9,10(1)
被害者は、裁判所の令状なく逮捕され、所在を明らかにされずに他との接触を絶たれて拘束された。政府は彼の所在については不知であるとしたが、軍により発表された被拘禁者の名簿に被害者の名前があったため、家族が清潔な衣服を届け汚れた被拘禁者の衣服を受け取ることができた。目撃者によると被害者は監獄で拷問を受けていたとのことである。委員会は、挙証責任は国に転換されると宣言し、数多くの違反を認めた。
R.11/45 137-149 Maria Fanny Suarezde Guerrero対コロンビア
6
コロンビア警察は、元大使の誘拐犯を捜索して、私邸に立ち入り、意図的にそこにいた7人を殺害した。被害者は、心臓発作で死亡し、その後何度も銃で撃たれた。委員会は、彼女の死亡は、法執行の必要性に比して不釣り合いに重いとし、彼女は恣意的に生命を奪われたと認定した。
R.12/50 150-156 東(1)190 Gordon C.Van Duzen対カナダ
*15(1)
刑務所から仮釈放された申立人は新たな罪を犯し、仮釈放中に経過した期間を自動的に喪失し、その期間、再度収監されなければならないこととなった。自動喪失に関するカナダ法が改正され、一定期日までは遡及効果を持つこととなったが、申立人の喪失はその期日以前であった。彼は、遡及的効果が一定の日で切れることが彼から15条1項による「より軽い処罰」の保障を奪うことになると主張した。委員会は、申立人は既に再度仮釈放されたことから、彼が求める利益を得ているとして、詳細な議論を避けた。
R.13/57 157-160 東(1)198 Sophie Vidal Martins対ウルグァイ
12(2)
メキシコに住むウルグァイ人である申立人は、5年後に有効性が確認されることが条件になっている10年間有効なパスポートを所持していた。政府によるこの確認が1975年から1977年まで数回にわたって理由なく拒絶された。委員会は、12条2項の違反を認めた。
R.14/61 161-167 東(1)204 LeoR.Hertzberg et al.対フィンランド
*19(2)
SETA(両性の平等を求める組織)を代表して、申立人らは、フィンランド放送局が同性愛を扱うテレビとラジオの番組を事前検閲していると申し立てた。番組は社会から疎外された少数者についての事実を伝えること及びこれに対する偏見を取り除くことを目的とするものであった。委員会は、表現の自由が制約されていたことには同意したが、検閲の根拠となる公衆の道徳についての国の解釈は、解釈の幅の範囲を逸脱するものではないとし、違反を認めなかった。
R.15/64 168-173 Consuelo Salgarde Montejo対コロンビア
14(5)
新聞社の役員である申立人は、軍事法廷で、銃を販売したとして有罪判決を受けた。彼女にとって、コロンビアの法律でただ一つ可能であった上訴は、同一の裁判官に対する異議申立であったが、彼は判決の1週間後自らの判決を肯認した。委員会は、4条による条約上の義務の停止を援用するに十分な緊急事態にあったとする政府の主張を否認し、条約上の義務の停止は有効になされていないとした。また、委員会は、申立人は、自らの有罪判決の再審査を求める権利を奪われたと認めた。
R.17/70 174-178 Mirta Cubas Simones対ウルグァイ
10(1),14(1)(3)(b)(d)
被害者は、令状なく逮捕され、所在不明のまま、3カ月間、他との接触を絶たれて拘束されていた。5カ月後、彼女は、自らの出廷なく、非公開裁判で審理され、秘密裏に有罪判決を受けた。彼女の弁護人は軍人で、彼女は彼と相談することができなかった。委員会は、過酷な監獄の状況にあったことなど、数多くの違反を認めた。
R.18/73 179-186 Mario Alberto TetiIzquierdo対ウルグァイ
7,9(3),10(1),14(3)(b)(c)(g)
被害者は2回逮捕され、他との接触を絶たれて拘束され、抑留中虐待を受け、自白調書に署名を強制された。彼には彼自身が選任した3名の弁護士がいたが、3名全員が当局による嫌がらせのために国外退去を強制された。国際赤十字が彼の独房を訪問したところ、被害者は殴打され死の脅迫を受けていた。委員会は、数多くの違反を認めた。
R.6/25 187-192 Carmen Amendola Massiotti及びGraciela Baritussio対ウルグァイ
7,9(1)(4),10(1)
Massiotti氏が逮捕され、他との接触を絶たれて拘束され、拷問を受け、彼女の刑期の終了後も抑留された。Baritsussio氏は、緊急治安措置の下に恣意的に抑留され、また、彼女の仮釈放命令が署名された後も3年間拘束されていた。
R.11/46 193-211 東(1)211 Orlando Fals Borda et al.対コロンビア
9(3)(4)
州の治安法令により逮捕されていた被害者らは、人身保護手続に訴えることもできず、Maria Christina Salazar de Falsa Borda氏の場合は軍事裁判所が彼女の抑留については何らの正当理由がないと判断するまで1年以上拘束されていた。委員会は、迅速な裁判と釈放に関する権利及び抑留の正当性についてすみやかに司法による決定を得ることのできる権利の侵害を認めた。
Supplement A/36/40
R.7/28 114-119 Ismael Weinberger対ウルグァイ
7,9(3)(4),10(1),14(1)(3),15(1),19(2),25
ジャーナリストである被害者は、令状なく逮捕され、100日以上も他との接触を絶たれて拘束され、逮捕後10カ月経過してやっと家族との面会を許された。この間、彼は目隠しをされ両手を縛られていたことにより、回復不能の障害を負った。逮捕の10カ月後、初めて裁判官の面前に引致され、被害者の裁判は彼も彼の弁護士も出廷せずに行われた。逮捕の3年半後に言い渡された判決は公にされなかった。委員会は、多くの違反を認めた。
R.7/32 120-124 Luis Touron対ウルグァイ
9(3)(4),14(1)(3)
元地方公務員であった被害者は、逮捕され、裁判官の面前に引致されるまで7カ月他との接触を絶たれて拘束され、破壊活動結社の罪に問われた。そのときに初めて弁護人と接見することが許された。彼は、彼自身の裁判に出廷することを許されず、自らを防御することができなかった。裁判は非公開で判決も公にされなかった。委員会は、数多くの違反を認めた。
R.8/33 125-129 Leopoldo Buffo Carballal対ウルグァイ
7,9(1)(2)(3)(4),10(1),14(3)
申立人は、逮捕され、5カ月以上、他との接触を絶たれて拘束され、その間ほとんどの時間、目隠しをされ、縛られていた。彼には、人身保護手続は不可能であった。軍事裁判官の面前に2回引致された後、彼の釈放命令が出されたが、その後もさらに6カ月抑留されたままであった。彼の抑留の状態は、過酷なものであった。委員会は、数多くの違反を認めた。
R.8/34 130-133 東(1)102 Jorge Landinelli Silva et al.対ウルグァイ
25
申立人らは、全員が特定の政治集団の推薦リストに挙がっている公職選挙の立候補者であったが、これら政治集団は後に政令により非合法化された。これにより、申立人らは、投票する権利を含む政治活動に従事する権利を15年間奪われた。委員会は、条約上の義務の停止のための要件である詳細な情報が提供されていないとして、政府による4条の援用を否認した。委員会は仮に国家の緊急事態があったとしても、ある立候補者からあらゆる政治的権利を剥奪する政府の行為は、達成しようとする目的に照らして正当化できないとし、したがって、25条に基づく権利の不合理な制約であると判断した。
R.9/35 134-142 東(1)106 Shirin Aumeeruddy-Cziffra etal.対モーリシャス
2(1),3,26,17(1),23(1)
モーリシャス国民である未婚と既婚の女性である申立人らは、2つの法律が、モーリシャス人男性の外国人の妻ではなくモーリシャス人女性の外国人の夫のみに居住許可の申請を義務付け、外国人の夫のみを国外退去の可能性にさらしていると不服を申し立てた。政府は、国の安全を正当化事由として援用したが、委員会は、モーリシャス人女性に対する性による差別は国の安全によって正当化されないとして、これを否認した。委員会は、外国人男性と結婚した申立人らに関して数多くの違反を認めたが、未婚の申立人らには何の違反も認めなかった。
R.9/37 143-146 Esther Sorianode Bouton対ウルグァイ
7,9(1)(3)(4),10(1)
申立人は、その申立によれば令状なく逮捕された。彼女は、8カ月他との接触を絶たれて拘束され、軍事裁判所に引致される前に虐待を受けた。1カ月以内に、裁判所は、彼女が無実であるとして釈放を命じたが、彼女はさらに1カ月抑留されていた。委員会は、彼女が非人道的かつ品位を傷つける取扱いを受けたとし、裁判官の面前に引致されるまでの8カ月の遅延、人身保護手続が可能でなかったこと及び釈放の1カ月の遅延により、9条に基づく彼女の権利が侵害されたとした。
R.9/40 147-152 東(1)117 Erkki Juhani Hartikainen et al.対フィンランド
*18(4)
フィンランドの法律は、義務教育の一環として、児童は宗教的な指導、あるいは両親がこのような指導に反対する場合は宗教史と倫理のコースの授業に出席しなければならないとしている。申立人らは、かかるコースが中立的な方法で教えられていないとし、したがって両親と法的監護者がその子供を自らの信条にもとづいて教育する自由を侵害すると反対した。委員会は、校外の同等の指導を手配することにより、両親又は保護者が免除を得ることを許す規定があるので、かかる法律には違反はないとした。
R.10/44 153-159 Rosario Pietraroia Zapala対ウルグァイ
9(2)(3)(4),10(1),14(1)(3),15(1),19(2),25
被害者は令状なく逮捕され、緊急治安措置の下に外部との接触を絶たれた状態で4カ月から6カ月拘束された。彼の被疑事実は様々な政治的犯罪であったが、委員会は、彼が実際には当時は合法であった政治及び労働組合活動のために裁判を受けたとする主張を覆すに足る証拠はないとした。被害者は自らの裁判に出廷できなかった。裁判は非公開で判決は公にされなかった。委員会は、数多くの違反を認めた。
R.13/58 160-165 東(1)124 Anna Maroufidou対スウェーデン
*13
ギリシャ人の申立人は、政治的亡命を求めてスウェーデンにきて居住許可を取得した。彼女は、元の政府の要員を誘拐するテロリスト集団の計画に関与したとして逮捕された。政府は彼女の国外追放を求め、弁護士により代理された法的手続の後、彼女は強制退去させられた。申立人は、国外追放は、13条の要求する「法律に基づく」ものでなく、国内法が誤って解釈され適用されたと不服を申し立てた。委員会は、(1)国内法は規約の規定と両立するものでなければならない、(2)委員会は、当局が国内法を誠実に解釈及び適用しなかった、又は、権力の乱用があったことが明白であったのでない限り、当局がかかる国内法を正確に解釈し適用したか否かを評価しない、とした。委員会は、本件ではかかる事実はないとし、したがって13条の違反はないとした。
R.6/24 166-175 東(1)131 Sandra Lovelace対カナダ
27
申立人は、Malisset Indianとして生れ登録されたが、カナダのインディアン法の規定に基づき、インディアンでない者と結婚したことによりその地位を失った。彼女は離婚し居留地に戻って、永住者として住宅を求めたが、部族の評議会により彼女の申請は却下された。彼女は、その法律によれば、インディアンの男性はインディアンでない女性と結婚したことによりその地位を失わないことから、性による差別を主張した。委員会は、その差違は合理的でなく、従って27条の違反を認めた(1名別意見)。
R.12/52 176-184 東(1)143 Sergio Ruben Lopez Burgos対ウルグァイ
7,9(1)(3),14(3)(d)(g),22(1)
ウルグァイの労働組合活動の指導者である被害者は、アルゼンチンに政治的亡命者として住んでいたが、失踪し、発見されたときはウルグァイで緊急治安措置の下に逮捕されていた。彼は拷問され、自白調書に署名を強制され、裁判では彼の弁護人として軍人を受け入れることを強制された。委員会は、誘拐が恣意的な逮捕であり、抑留と彼の労働組合活動を理由とする迫害が22条1項の違反であること等を含む多くの違反を認めた(1名別意見)。
R.13/56 185-189 Lilian Celiberti de Casariego対ウルグァイ
9(1),10(1),14(3)(b)(c)
ウルグァイ人でイタリアの市民権を持つ申立人は、ブラジルでウルグァイの機関に逮捕され、強制的にウルグァイに連行された。彼女はその後、4カ月以上他との接触を絶たれて拘束され、破壊活動結社その他の政治的犯罪により訴追された。彼女には軍人が弁護人として付された。委員会は、連行が恣意的な逮捕と抑留を構成することなどの、幾つかの違反を認めた(1名別意見)。
Supplement A/35/40
R.2/9 107-110 Edgardo Dante Santullo Valcada対ウルグァイ
9(4)
申立人は逮捕され、6週間以上経過してから軍判事の面前に引致され、さらに2週間後に最終的に釈放された。抑留の間、彼には人身保護手続の可能性はなく、弁護士に連絡がとれず、また、何らの決定もなされなかったので、彼は上訴をすることもできなかった。委員会は、逮捕と抑留を争う何らの有効な救済手段がないことから、9条4項の違反を認めた。若干奇異ではあるが、委員会は、7条の違反がなかったと判断することはできないと述べている(1名別意見)。
R.2/8 111-119 Beatriz Weismann Lanza及びAlcides Lanza Perdomo対ウルグァイ
7,9(1)(3)(4),14(1)(2)(3),*19(3)
被害者らは、緊急治安措置の下に逮捕され抑留され、被疑事実を示されることなく7、8カ月他との接触を絶たれて拘束され、その後1年以上経過してから訴追された。彼らは弁護士との効果的な連絡ができず、彼らに対する刑期が終了した後も5カ月から10カ月釈放されなかった。委員会は、数多くの違反を認めた。
R.7/31 120 Guillermo Waksman対ウルグァイ
12(2),19
ウルグァイのジャーナリストであり、国外に住んでいる申立人はパスポートの更新を拒絶された。彼は12条2項及び19条違反を主張した。政府と申立人から、パスポートが更新されたことが確認されたので、本件申立は中止となった。
R.1/4 121-126 東(1)95 William Torres Ramirez対ウルグァイ
7,9(1)(4),10(1),14(3)
申立人は、逮捕されて2カ月以上経過した後、軍判事の面前に引致された。6カ月の抑留の後、彼の釈放が命令されたが、彼はさらに6週間抑留された。抑留の間、彼は弁護士に連絡することができず、人身保護手続の可能性もなかった。委員会は、抑留期間中の虐待について7条及び10条1項違反を認めた外、数多くの違反を認めた。
R.1/6 127-131 Miguel Angel Millan Sequeira対ウルグァイ
9(3)(4),14(1)(3),
申立人は、「闘争的な共産主義者」として10代に2度逮捕された。彼は、軍判事の面前に3度引致されたが、彼を裁判に付すための手続も、釈放命令の手続もとられなかった。彼は弁護士に連絡をとることができず、逮捕と抑留について争う機会もなかった。委員会は、4つの違反を認めた。
R.2/11 132-137 Alberto Grille Motta et al.対ウルグァイ
7,9(3)(4),10(1),19
申立人は逮捕され、他との接触を絶たれて1カ月拘束され、その後、弁護人なく軍判事の面前に引致された。逮捕から3カ月以上経過してから、彼はついに破壊活動結社その他の罪で訴追された。彼には人身保護手続の可能性もなかった。彼の逮捕、抑留及び裁判は彼の政治的意見、結社及び活動を理由とするものである。抑留の間、彼は拷問と非人道的取扱いを受けた。委員会は、幾つかの違反を認めた。
Supplement A/34/40
R.1/5 124-129 東(1)87 Moriana Hernandez Valenti de Bazzano et al.対ウルグァイ
7,9(1)(2)(3)(4),10(1),14(1)(2)(3),25
申立人は、自らと他3名のために不服を申し立てた。Luis Maria Bazzano Ambrosini氏は、他との接触を絶たれて拘束され、合理的な期間内に裁判に付されず、健康に害のある状況に置かれ、逮捕と抑留を争う救済手段を否定され、不公正な裁判に付され、裁判所による釈放命令が出されているにもかかわらず拘束されていた。JoseLuisMassera氏は、拷問を受け、被疑事実を知らされず、家族の訪問を拒絶され、逮捕と抑留を争う効果的な救済手段を否定され、不当に遅延した不公正な裁判を受け、政治的権利に不合理な制限を受けた。MarthaValentinideMassera氏は、被疑事実を速やかに告げられず、他との接触を絶たれて拘束され、家族の訪問を拒絶され、不公正な裁判を受けた。委員会は、数多くの違反を認めた。