いつかの未来のために - 法教育コラム
  • バックナンバーはこちら

第65回 「高校生の暑い夏~長崎・佐賀合同高校生模擬裁判選手権~」


日弁連「市民のための法教育委員会」委員

長崎県弁護士会「法教育委員会」委員

             弁護士 鮎川 愛



img_column_65.png

長崎県弁護士会では、毎年、夏に高校生の模擬裁判を実施しています。さらに、数年前からは、お隣の佐賀県弁護士会とも協働し、長崎と佐賀、それぞれ予選会を行い、予選を勝ち抜いた各県の代表校が対戦する高校生模擬裁判選手権を実施しており、高校生たちの熱い戦いを盛り上げています。


特に近年では、自分たちも参加してみたいと興味を示す学校が増えており、当会の法教育委員会のメンバーは、教材作成担当、裁判所や検察庁や佐賀県弁護士会との調整担当、指導官担当、当日運営担当と、それぞれの役割に分かれ、数カ月間準備に追われることになります。


毎年の模擬裁判を通じて感じることは、子どもたちの力が本当に無限であるということです。始まった当初は、皆一様に声も小さく、自分の意見を言うにも恥ずかしそうに控えめに発言し、なかなか議論が進まないところから、次第に仲間の意見を聞き、自分の意見をまとめ、それを議論しながらチームとして意見をまとめていくようになり、その成長するスピードにはいつも驚かされます。そして、最後には、それぞれのチームが法廷で堂々と主張し、最初に会った頃の自信のない表情とは全く違う凛とした姿を見せてくれる子どもたちに、短期間に沢山のことを吸収してそれを自分の成長に活かしていく柔軟性と成長力を強く感じます。


模擬裁判は、決して弁護士を養成する場ではありません。高校生が、単に裁判や法律を学ぶというだけでなく、裁判という手続きを通して、自由や権利などの価値を理解し、仲間同士でディスカッションしながら様々な事実を多角的に分析し、それを論理的に組み合わせ、評価をしていく、という一連のものの考え方を学び、実践する場であると考えます。


今年は、まもなく新元号となり、もう数カ月もすれば季節も春から代わり、また高校生たちの暑い夏がやってきます。高校生たちの勢いに弁護士も負けぬよう、しっかり準備をしていきたいと思います。