法教育コラム

いつかの未来のために(法教育コラム)

第110回 岩手県における法教育活動~教員と弁護士でつくる法教育授業~

日弁連「市民のための法教育委員会」委員
     岩手弁護士会「法教育委員会」委員
松岡 佑哉


今回のコラムでは、岩手県における法教育活動をご紹介します。


岩手県では、2005年(平成17年)に弁護士会の法教育委員会が設立され、それと同時期に、教員も参加する法教育研究会が設立されました。現在は、1か月に1回のペースで法教育研究会が開催され、教材の研究や授業の進め方等について、教員と弁護士が一緒に議論をしています。


法教育研究会の目的は、政治や社会に関する問題について、自分の頭で考え、考えたことを言葉にしてもらうこと、人の意見に耳を傾け、考え、考えたことを言葉にしてもらうこと、そして楽しんでもらうことです。


法教育研究会の基本方針は3つあり、岩手県の特徴的な取組ではないかと思われます。


1つ目は、授業は、教育のプロである教員が行うことです。「弁護士の法教育」と聞くと、弁護士が学校に行き、弁護士が子どもたちの前で講義をするようなイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、岩手県では、あくまでも教育のプロである教員が主体となって授業を実施することを基本としています。弁護士は、グループワークの際に各班に張り付き、多角的な視点から活発な議論が行われるように助言を行ったり、授業の最後に総括を行ったりするという形で関与することが多いです。また、教員からリクエストがあれば、弁護士が、授業に必要な役柄になりきることもあります。例えば、「模擬選挙をする」という授業の場合、弁護士数名が政党の党首の役になり、演説や討論をして、それを見た生徒に投票を行ってもらいます(この際も、授業を進行するのは、あくまでも教員です。)。


2つ目は、担当する教員の方には法教育研究会に参加していただき、テーマ、教材の作成等については法教育研究会で検討することです。教員と弁護士の双方の立場から意見が交わされるため、教材作成の過程でも勉強になることが多いです。


3つ目は、授業には、可能な限り多数の弁護士が参加することです。1回の授業に10名近くの弁護士が参加することも珍しくありません。グループワークの際、1班に1名ずつの弁護士が配置できるようにするなど、子どもたちと弁護士が直接話をする場面が多くなるように工夫しています。


上記のように、岩手県では教員主体の授業が基本となりますが、最近では学校現場のニーズに応える形で、いじめ予防授業や消費者教育など、弁護士が主体的に授業を行う取組もあります。また、2017年(平成29年)からは、毎年夏にジュニアロースクールを開催し、弁護士の寸劇をもとに、子どもたちに模擬裁判や模擬調停を経験してもらう取組も始めました。


岩手県は、北海道に次いで2番目に面積が広い都道府県で、弁護士の数も決して多くありませんが、岩手県のどこに住んでいても、子どもたちが法教育を体験できるような活動を目指しています。



以上