いつかの未来のために - 法教育コラム
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第57回 「大人の法教育「法バル」」

札幌弁護士会「法教育委員会」委員
             増川 拓




「大人の」と付くと、なんとも微妙なタイトルですが、札幌弁護士会室蘭支部管内では、飲食店を会場にして、社会人がお酒や食事を楽しみながら、法律や紛争解決について議論を交わす、「法バル」が開催されています。弁護士が講師を務め、具体的な事例に基づいて裁判員裁判や民事調停などを体験してもらい、情報収集・分析力、議論による合意形成能力を養います。


現在、学習指導要領に法教育が盛り込まれ、各学校で様々な取組が始まっています。しかし、実際に子ども達が学ぶ大人、具体的には自宅の親・親戚、学校の先生、地域社会の人たちが、法教育について何も知らないのであれば、十分な効果は見込めないのではないか。「多数決こそ民主主義であり、正義。」と考える大人ばかり見ていては、「少数派の意見を尊重した合意形成」という立憲的民主主義の根幹を、子ども達も身につけようがないのではないか。そのような心配をしていたところに、地元の飲食店の店長さんからお話をいただきました。「謝礼が出せなくて悪いのだけれど・・・。」というセリフも気にならず、二つ返事で引き受けました。


大人の法教育「法バル」 この「法バル」も、すでに5回目を終えました。年齢、職業、経歴、思想信条が異なる男女が10名ほど集まり、毎回白熱した議論が交わされています。コーディネーターである弁護士は、議論の整理とまとめを行います(このため、さすがに弁護士は終了までお酒を飲めません(笑))。


紛争解決能力を養う法教育は、子ども達はもちろん、現代社会を生きる大人にも必要だと思います。「法バル」だけでなく、企業の社員研修や、町内会・PTAなどの地域団体での勉強会に、法教育を実施できる弁護士が積極的に参加していくことは、今後非常に意義のあることだと考えています。


市民の皆さん、ちょっと模擬裁判で裁判官や検察官、弁護人をやってみたくはないですか?弁護士の皆さん、ちょっと顧問先や地元の団体に声をかけてみませんか?勉強会の後は、市民の皆さんと弁護士との距離がグッと近づき、美味しいお酒が飲めますよ。