いつかの未来のために - 法教育コラム
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第48回 「文部省著作教科書「民主主義」のご紹介」

日弁連「市民のための法教育委員会」委員

岩手弁護士会「法教育に関する委員会」委員

 畠山 将樹



このコラムでは、各地の法教育の実践内容やその質を高める努力がなされていること、その他いろいろな視点から法教育の充実に関して述べられていて、私はとても勉強になっています。私自身も法教育の充実について考える日々を送っていますが、その中で非常に強い刺激を受けた本がありますので、ここで紹介させてください。


それは岩手弁護士会で法教育委員長を務められる先生からお勧めしていただいた、文部省著作教科書「民主主義」という本です。1948~1953年まで中学・高校の社会科教科書に使われていたものです。株式会社径書房が1995年に復刻しており、更にそのエッセンスをまとめたのが、西田亮介編「民主主義 〈一九四八‐五三〉中学・高校社会科教科書エッセンス復刻版」(幻冬舎新書)です。


とてもとても興味深い内容ばかりなのですが、ほんの一部だけ、抜き出して内容を紹介させていただきます。文部省著作教科書「民主主義」のご紹介


「すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である。」


「たいせつなのは、民主主義の精神をつかむことである。なぜならば、民主主義の根本は、精神的な態度にほかならないからである。それでは、民主主義の根本精神はなんであろうか、それは、つまり、人間の尊重ということにほかならない。」


「人間が人間として自分自身を尊重し、互に他人を尊重しあうということは、政治上の問題や議員の候補者について賛成や反対の投票をするよりも、はるかにたいせつな民主主義の心構えである。」


「民主主義の反対は独裁主義である。」、「民主主義の仮装をつけてのさばって来る独裁主義と、ほんものの民主主義とをはっきり識別することは、きわめてたいせつである。」、「独裁主義は、・・・今度は誰も反対できない民主主義という一番美しい名まえを借りて、こうするのがみんなのためだと行って、人々をあやつろうとするだろう。」、「それを打ち破る方法は、ただ一つである。それは、国民のみんなが政治的に賢明になることである。人に言われて、その通りに動くのではなく、自分の判断で、正しいものと正しくないものとをかみ分けることができるようになることである。」


読み易いけれども格調高い文言で、今なお色あせない、むしろ現代のためにあるような内容が詰まっています。私は、このような本が、戦後まもなく日本の教科書として使用されていた事実に衝撃を受けました。私は、この本で述べられていることをしっかりと噛みしめ、肝に銘じながら、法教育の更なる充実について考えていきたいと思っています。皆様も是非読んでみてください。