いつかの未来のために - 法教育コラム
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第63回 「法教育授業のおわりに」

日弁連「市民のための法教育委員会」委員

仙台弁護士会「法教育検討特別委員会」委員

             神坪浩喜


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私は、学校に「ルール作り」等の法教育授業にいったとき、授業のおわりにこんなお話をしています。


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皆さん、法教育授業を体験してみていかがでしたか。

友達の話をきいてみると「へ~そんな考え方もあるんだなあ」と思いませんでしたか。「それは、ちょっと違うんじゃない」と、そう思った人もいると思います。


ここで、皆さんに体験して欲しかったこと。それは、自分とは違う色々なものの見方や考え方があるということです。自分とは違う考え方の人がいる。その人の意見の理由を聞いてみると、なるほどと感じる。でもやっぱりここが違うじゃないかなと考える。そんな人の話をきいて、迷ったり考えたりということを体験して欲しかったのです。


皆さん、法が大切にしている考え方って何だと思いますか?

それは、一人ひとり、みんな違っているから、お互いに尊重しながら、よく話し合いをしていきましょうという考え方です。


一人ひとりを大切にするという「個人の尊重」

そしてみんなでよく話し合いをしようという「民主主義」です。


一人ひとり、この世に、皆さんと同じ人はいません。皆さんの代わりはいません。かけがえのない存在ということです。そして、みんなそうなのです。

みんな違います。生まれてきた環境も考え方も好みも違います。カレーが大好きな子もいれば、嫌いな子もいる。サッカーが好きな子もいれば、野球が好きな子もいる。人それぞれなのです。


そして、人は、人と支え合って、助け合って生きていかなければ、生きてはいけません。一人では生きていけないのです。人は、人と人との間で「人間」となるのです。


今日、皆さんが、食べた朝ご飯、誰がつくってくれましたか。そのお米や野菜、お肉は誰が育てたのでしょう。誰が運んでくれたのでしょう。お父さんやお母さんといった目に見える人はもちろん、目に見えないたくさんの人に、皆さんは支えられ、助けられているのです。人は、人とつながりながら、社会とつながりながら生きています。人は、一人では生きていけないのです。

そして、人は考え方が違う。同じ人は一人としていません。だから、自分以外の人が、何を欲して、何を考えているのかは、話し合わなければ分からないのです。


分からなければ、衝突が生じます。自分が好きなことを、相手も喜ぶと思って行動したところ、相手の人はそれを嫌いで嫌がることもあるでしょう。自分の考え方や価値観を押しつけると、相手の人は反発してしまいます。きっと喧嘩になって、お互い傷つけあってしまうでしょう。


だから、よく話し合って、お互いの考え方を知るのです。

「私は、これこれの理由からこうした方がいいと思う。」と意見をお互いに言うのです。約束事を決めるのです。ルールを決めるのです。それは、混乱をさけること、お互いに傷つけあわずに、仲良く、支え合って生きていくことができるためにそうするのです。


皆さんは、「法」というものは、縛り付けるもの、不自由なものと思っているかも知れませんね。でも、法は、決して、皆さんを縛り付けて自由を奪うものではありません。


法の目的は、色々な考え方の人がいる社会において、人が共に支え合って、共に幸せに生きることができることを目指すものなのです。色々な価値観をもつ人がいて、それぞれが幸せに共に生きることができるように調整し、バランスを図ろうとするものなのですね。

人は皆違って、色々な人がいるからこそ、調整としての法やルールが必要になってくるわけです。


幸せのために法はあるのですよ。

一人ひとりかけがえのない存在として、その存在や意見は尊重すること。そして、みんなでよく話し合っていくこと、この大切さを、心に留めておいて下さいね。 皆さん、今日は、熱心に法教育授業を聞いてくれて、ありがとうございました。