いつかの未来のために - 法教育コラム
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第61回 「私と法教育のかかわり」

日弁連「市民のための法教育委員会」委員
中国地方弁護士会連合会「市民のための法教育委員会」委員
島根県弁護士会「市民のための法教育委員会」委員長
            野島 和朋



実は、島根県弁護士会では、最初に入る委員会は自分で選ぶことができず、あらかじめ決められています。私も、いつの間にか、法教育委員会委員ということになっていたのでした。
 

そして、これもたまたまなのですが、中国地方の5県で持ち回りで行っている中国地方弁護士会連合会の大会が、私が弁護士になった次の年に島根県松江市で行われることになっており、そのテーマが「法教育にどう取り組むか」ということで、よくわからないまま、その準備に駆り出されておりました。大会では、当時の委員長に、「新人弁護士の登竜門だから」とかなんとか言われて発表も任されました。そんな私が、今では当会の法教育委員会の委員長です。なにかの運命のいたずらでしょうか。
 

さて、その大会があった2010年から、当会では、毎年、夏休みに、小学校5・6年生(午前)と中学生(午後)を対象としたジュニア・ロースクールin島根を開催しています。最初の年は、勝手がわからず、茨城県弁護士会の後藤直樹先生に来てもらって、指導していただきました。
 

このとき知った小学生用の法教育が私には衝撃でした。おそらく他会でも似たものは行われていると思いますが、こういうものです。わがままな王様が、小学生にゲームをさせて、景品をやると言いつつ、自分の好きなようにルールを決めて理不尽なことを言い、結局景品はあげません。ルール自体が読めない文字で書かれていたりもします。文句を言うと牢屋に入れられます。小学生はぶーぶー言い出します。そこで、王様のどこがいけなかったかを考えてもらい、自分たちで新しいルールを作って王様に突きつけます。そして、実はそれが「憲法」なんだよ、という話をします。
 

こんな憲法の授業ははじめて見ました。まさに憲法ができる過程を追体験させるものであり、憲法は国家を縛るものであるということが小学生にも理解できて、しかも楽しい。これが法教育か、といたく感動したのを覚えています。
 

小学校に言って話をすると、授業で習っているので、日本国憲法の三大原理なんかは小学生でも覚えていて、結構すらすら出てきます。しかし、そもそも憲法は国家権力を制限するという基本がよくわかっていなかったりします。
 

首相が憲法改正に意欲を示している今、法律の知識そのものではなく、法の根本にある自由、平等、正義、公平といった価値を教える法教育の重要性はますます高まっていると思います。
 

私と法教育のかかわり とはいえ、出前授業では、憲法をテーマにしたものや、いわゆる主権者教育もありますが、学校側からの希望で多いのは模擬裁判です。
 

模擬裁判も論理的な思考を学ぶという点では悪くないのですが、私としては、もうちょっと模擬裁判以外のものが増えるといいと思っています。学校側としては、主権者教育なんかもやってみたいけど中立性も気になり、授業で司法や裁判については取り上げるので、模擬裁判がやりやすい、という事情があるようです。
 

ところで、私はマジックを趣味としており、実は日弁連に営利業務の届け出も出しています(ギャラをいただくことがあるので)。なんとか法教育と結びつけることができないかと思っていますが、いまのところ、アイスブレイクに使うくらいしか思いついておりません。これも今後の課題のひとつです。