法教育コラム

いつかの未来のために(法教育コラム)

南三陸町イチニチ法律塾

仙台弁護士会法教育検討特別委員会
委員 坂 本  仁


1 はじめに


仙台弁護士会法教育検討特別委員会では、2022年1月8日、南三陸町役場内会場にて、同町内の中高生を対象とした「南三陸町イチニチ法律塾」(以下「イチニチ法律塾」といいます。)を開催しました。この企画には法教育検討特別委員会だけではなく弁護士会の過疎偏在対策プロジェクトチーム、修習生にも参加いただきました。


イチニチ法律塾は、南三陸町教育委員会と連携のうえ、宮城県内全域に法教育を普及する活動の一環として、当委員会が毎年開催している「ジュニア・ロー・スクールin仙台」をアレンジして行われたものです。同趣旨の企画が行われるのは、2019年12月に気仙沼市で開催したことに続き2回目となりました。


2 弁護士クイズ   


当日は、南三陸町教育委員会教育長のご挨拶、当委員会委員長の挨拶にて開会し、その後、導入授業として、弁護士クイズ(○×クイズ)を行いました。


クイズの一例として「弁護士の大半は、仕事でほぼ毎日裁判所に行っている?」など、「大半」とは何か?「ほぼ毎日」とは何か?など、厳密に考えると○なのか×なのか分かりづらい問題も含めつつ、進行していきました。


3 法律クイズ   


生徒さん達の緊張もほぐれたところで、もう一歩法律に踏み込み、法律クイズ(○×クイズ)です。


委員の力作で、一例として「Aは、Bに貸した本をBが返さないため、Bが離れたすきにカバンから本を取り返した。Aの行為は犯罪にあたるか?」とのクイズなど、身近に起こりうることが法的にはどのように評価されるかということを生徒さん達に考えてもらいました。


4 模擬裁判講義  


(1) クイズを終え、次はメインイベントの模擬裁判講義です。   

 

事案の概要は、被告人がアルバイト先の喫茶店の事務室において、店長管理の売上金20万円を窃取したという事案でした。 


当委員会委員および偏在対策PTメンバーが裁判劇を熱演した後、生徒さん達に有罪方向の事実、無罪方向の事実について検討してもらいました。


有罪方向の事実として、お金が保管されていた引き出しから被告人の指紋が検出されたこと、被告人がお金に困っていたこと、犯行日の翌日に借金を返済していること、返済原資は友人に借りたと言っているが友人の名前は言えないと供述していることなどが挙げられました。


一方、無罪方向の事実としては、被告人は怪我をしており絆創膏を探すために事務室に入ったこと、他に犯行が可能であった者がいることなどが挙げられました。  


(2) 議論・発表を経た後、生徒さん達には、最終的に有罪と考えるか無罪と考えるかの投票をしてもらいました。   

 

判決後、裁判長役の委員から憲法31条を中心とした、手続保障の重要性についての講義がありました。


5 終わりに  

  

生徒さん達も、「契約の重さを痛感した。『18歳成人』は知っていたが、もっと法律を勉強して備えたい」との感想を述べてくれるなど、普段あまり経験のない法律や事実認定の授業を受け、刺激を受けてくれたことには間違いがありません。


我々当委員会委員および偏在対策PTメンバーも、1日がかりの仕事でしたが、生徒さん達の溌溂とした姿を見ることができ、日々の通常業務の疲れも癒されました。


今後も、宮城県内全域に法教育を普及することを目指して、当委員会の活動を継続していきたいと思っております。