秘密保護法とは?
秘密保護法(特定秘密の保護に関する法律)とは、漏えいすると国の安全保障に著しい支障を与えるとされる情報を「特定秘密」に指定し、それを取り扱う人を調査・管理し、それを外部に知らせたり、外部から知ろうとしたりする人などを処罰することによって、「特定秘密」を守ろうとするものです。
国会審議の過程で、国民による反対の声が次第に大きくなっていきました。しかし、国会では十分な審議時間が確保されず、法案の問題点に関する疑問が政府関係者の答弁でも解消されないまま、採決が強行されました。
2013年12月6日、第185回国会で成立し、同年12月13日に公布され、2014年12月10日に施行されました。
秘密保護法はどんな内容?
秘密保護法は、その正式な名称を「特定秘密の保護に関する法律」といい、全27条からなる法律です。
私たち日弁連の強い反対にもかかわらず、2013年12月6日に成立し、翌2014年12月10日から施行されています。
- この法律の目的
この法律の目的は、日本国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定及び取扱者の制限その他の必要な事項を定めことにより、その漏えいの防止を図り、もって日本国及び国民の安全の確保に資することとされています。 - この法律の主な内容は次の通りです。
特定秘密の指定(第2章)
行政機関の長が「その漏えいが我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの」を「特定秘密」に指定します。秘密とする期間は、5年を超えないとされますが、通じて30年まで更新することが可能です。さらに、特別の場合には60年を超えない範囲まで延長できます。またさらに、第4条4項ただし書きの事項については、60年を超えて秘密とされます。
適正評価制度(第5章)
国家公務員、地方公務員、警察官などの行政機関の職員、行政機関と契約して特定秘密を取り扱う民間企業の従業員など、特定秘密を扱う人について、行政機関の長が適正評価をします。適正評価の対象となった人は、その身上について調査をされます。
罰則(第7章)
特定秘密を漏らした人は、最高で懲役10年の刑に処せられます。未遂の場合も、過失による場合も処罰されます。共謀すること、教唆すること、扇動することもそれぞれ処罰されます。特定秘密を知ろうとした人も、最高で懲役10年の刑に処せられます。未遂の場合も処罰されます。共謀すること、教唆すること、扇動することもそれぞれ処罰されます。この罰則は、公務員、民間事業者、マスコミ関係者が対象となりますが、国会議員でも例外はありません。
※詳しい解説はこちらをご覧ください。
- 「秘密保護法とは何か?~その危険性と問題点~」(2014年3月25日)(PDFファイル;578KB)
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エッ!これもヒミツ?あれもヒミツ!あなたも「秘密保護法」にねらわれるQ&A
(2015年8月) (PDFファイル;4MB) - 私たちは「秘密保護法」の廃止を求めます!(2016年3月) (PDFファイル;1.5MB)
秘密保護法は必要?
政府は、「従来の法律では、国の安全に関わる秘密の漏えいを防ぐ管理体制が不十分だ」として、法制度の検討を行うようになりました。2013年12月「特定秘密の保護に関する法律(秘密保護法)」が成立し、公布されました。
政府が法律を作ろうとしたきっかけは、2010年に起きた尖閣諸島沖漁船衝突映像のインターネット流出事件といわれています。
しかし、この事件は「国家秘密の流出」と言えるものではありません(詳しくは、尖閣諸島ビデオ映像流出問題についての会長談話)。
秘密保護法の基となる報告書を検討した有識者会議では、法律を作る必要の根拠として、他にもいくつかの情報流出事件を挙げていますが、どれも流出が発覚した直後に原因究明を行い、再発防止策がとられています。
新たに「秘密保護法」を作る必要はないのです。
秘密保護法の経緯と今後の動きは?
法案概要公表から成立まで
- 2013年9月3日
- 「特定秘密の保護に関する法律案の概要」公表
- 2013年9月17日
- 「特定秘密の保護に関する法律案の概要」パブリックコメント締切
- 2013年9月27日
- 「特定秘密の保護に関する法律案」公表
- 2013年10月25日
- 法案閣議決定・国会へ提出
- 2013年11月7日
- 衆議院委員会審議開始
- 2013年11月26日
- 衆議院委員会・本会議にて採決・可決
- 2013年11月27日
- 参議院委員会審議開始
- 2013年12月5日
- 参議院委員会にて採決・可決
- 2013年12月6日
- 参議院本会議にて採決・可決
- 2013年12月13日
- 公布
成立までの過程と日弁連の取組についてはこちらをご覧ください。 (PDFファイル;85KB)
国会審議の過程で、国民による反対の声が次第に大きくなっていきました。しかし、国会では十分な審議時間が確保されず、法案の問題点に関する疑問が政府関係者の答弁でも解消されないまま、採決が強行されました。
公布日から1年以内に法律が施行されることになっており、政府は施行に向けて政令による制度の肉付け作業を行うことになります。当連合会はそれらの動きも監視し、知る権利等を確保すべく働きかけを行っていきます。
秘密保護法成立後の動き
2015年6月20日、両議院に情報監視審査会を設置するなどを内容とする国会法改正案が参議院で可決され成立しました。2014年10月14日、秘密保護法の具体的な運用の在り方を定める「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を定めるための基準」が策定されました。同基準においても秘密保護法の危険性は本質的には除去されていません。
2014年12月10日、秘密保護法が施行されました。同日、秘密指定の適正などをチェックする役割の独立公文書管理監が任命されました。その独立性には多大な疑問が残ります。
2015年2月26日、衆議院で衆議院情報監視審査会委員が選任されました。
2015年3月25日、参議院で参議院情報監視審査会委員が選任されました。