統計から見える日本の刑事司法【経年推移】
逮捕に関する統計
逮捕状請求数は2003年の150,844件をピークに減少傾向にあり、逮捕状発付率は2000年の99.6%から2023年の98.6%に微減している。
(司法統計年報刑事編 第15表「令状事件の結果区分及び令状の種類別既済人員-全裁判所及び全高等・地方・簡易裁判所」)
勾留に関する統計
勾留請求数は2006年の136,685件から減少傾向にあり、却下率は0.4%から2019年の5.2%まで上昇したが、近年は4.0%前後となっている。
(検察統計年報「39 最高検、高検及び地検管内別 既済となった事件の被疑者の逮捕及び逮捕後の措置別人員-自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件を除く-」)
勾留の延長に関する統計
勾留延長請求数は2006年の74,177件から減少傾向にあるが、勾留延長請求率は2006年の54.5%から上昇し、2023年は69.6%となっている。
(検察統計年報「40 最高検、高検及び地検管内別 既済となった事件の被疑者の逮捕及び逮捕後の措置別人員-自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件を除く-」)
勾留延長却下数は2006年の65件(0.1%)から、2019年の224件(0.4%)まで増えたが、2023年は155件(0.2%)にとどまっている。
(同上)
身体不拘束原則に関する統計
起訴後勾留数は2004年の78,367件をピークに減少し、2023年は33,538件が勾留されたが、72.3%と依然として高い割合である。
(司法統計刑事編第32表「通常第一審事件の終局総人員―罪名別処遇(勾留、保釈関係)別―地方裁判所管内全地方裁判所・全簡易裁判所別」)
終局前勾留取消数は2000年の33件(0.0%)から2023年の189件(0.5%)まで上昇傾向にあるが、依然として低い割合である。
(司法統計刑事編 第16表「勾留・保釈関係の手続及び終局前後別人員 全裁判所及び最高、全高等・地方・簡易裁判所」)

自白事件における第1回公判前の保釈許可数は、2002年の4,895件(8.9%)から2023年の7,268件(26.5%)まで増加した。
一方、否認事件においても2002年の185件(4.0%)から2023年の393件(11.7%)まで増加してはいるが、自白事件と比較すると保釈許可率が半分以下となっている。
(通常第一審における終局人員のうち保釈された人員の保釈の時期(地裁))
証拠開示制度を含む公判前整理手続に関する統計
公判前整理手続と期日間整理手続の実施率は2009年の2.9%、0.5%をピークに微減し、近年は2.2%、0.3%前後で推移している。
(司法統計年報刑事編 第39表「通常第一審事件の終局総人員 公判前整理手続及び期日間整理手続の実施状況別合議・単独、自白の程度別 全地方・簡易裁判所」)
無罪推定原則に関する統計
自動速度違反取締装置の誤操作に係る道路交通法違反事件の再審無罪事件が400件以上あった2013年を除いて、無罪率は0.1%~0.2%で推移している。
(司法統計年報刑事編 第21表「通常第一審事件の終局総人員 受理区分及び終局区分別 地方裁判所管内全地方裁判所別」、同 第22表「通常第一審事件の終局総人員 受理区分及び終局区分別 地方裁判所管内全簡易裁判所別」)
再審に関する統計
自動速度違反取締装置の誤操作に係る道路交通法違反事件の再審開始決定が400件以上あった2013年を除いて、再審開始決定数はごくわずかであり、特に2020年以降の再審開始決定率は1%以下となっている。
(最高裁判所事務総局刑事局「令和4年における刑事事件の概況(上)」法曹時報76巻2号275頁ほか)


