国際機関就職支援Q&A

よくある質問

img_pass190405.jpg

Q1 国際機関とは何ですか?

まず国際機関の代表が国連です。国連は、総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所および事務局の6つの主要機関からなっています。

また、国連の総会決議によって設立された国連の補助機関として、国連児童基金(UNICEF)、国連開発計画(UNDP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、UN-Women、国連環境計画(UNEP)、世界食糧計画(WFP)、国連人口基金(UNFPA)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国連大学(UNU)などがあります。

次に、国連との協定に基づいて設立され、国連と密接な関係を持ちながらも独立した自治組織として「専門機関」があります。例えば、国際労働機関(ILO)、世界保健機関(WHO)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行グループ(国際復興開発銀行《IBRD》、国際金融公社《IFC》、国際開発協会《IDA》など )、世界知的所有権機関(WIPO)、国連食糧農業機関(FAO)、世界気象機関(WMO)、国際電気通信連合(ITU)、国際海事機構(IMO)などがこれにあたります。

これらの国際機関を総称して「国連システム」あるいは「国連ファミリー」と言うことがあります。


Q2 どんな仕事がありますか?

国際機関での職種は以下の3つに分類することができますが、一般的に法律家はこのうち「専門職」として採用されます。

 

専門職

「専門職」と呼ばれる職員は、各国際機関事務局の中枢で管理監督を行ったり、あるいは世界中の開発途上国等で専門的事項を処理します。P級職員(プロフェッショナル・レベル)、D級職員(ディレクター・レベル)、国際機関の事務局長などが含まれます。P級職員はポストの高さによってP1~P5に、D級職員はD1~D2に分類されています。業務内容は、各機関で実施するプログラム(開発、経済、環境など)に直接携わる業務と、それをサポートする官房業務(財務、人事、総務、広報など)に分類されます。

国連事務局には12,837人の専門職員(2016年6月)が、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)には2,276人(2017年2月)、国連児童基金(UNICEF)には3,089人(2013年12月)の専門職員が働いています。
法律家は、ほぼ全ての国際機関で専門職として必要とされており、各機関の法務官や人権担当官はもちろん、内部監査、人事部門、調達部門に至るまで様々なポストで活躍しています。
 なお、専門職の正規ポストは、公募による採用ですが、国連事務局等によるヤング・プロフェッショナル・プログラム(YPP)というルートもあります。各分野の試験が毎年あるわけではなく年齢制限(32歳)にも注意が必要ですが、関心のある方は、外務省国際機関人事センターのウェブサイト等で情報を確認してみてください。

 

技術協力専門家

「技術協力専門家」と呼ばれる職員は、国際機関が加盟国政府に対して行う技術援助の一貫として、一定期間、主として開発途上国に派遣され、現地の政府又は公的機関に対し、技術的な助言や指導を行います。

 

一般職職員

「一般職職員」と呼ばれる職員は、各国際機関の本部やフィールド(現地)事務所において、専門職員のもとで補助的業務や一般事務を担当します。

 

Q3 求められる資格、要件は?

専門職に就く場合、「語学力」と「学位」そして「専門性」が求められます。

 

語学力

最低限、英語かフランス語のどちらかで(理想的には両方、もしくは英語+英仏以外の国連公用語1カ国=ロシア語、中国語、スペイン語、アラビア語)職務遂行が可能であることが求められます。

 

学位

基本的に修士号以上が必須です。例えばアメリカのロースクールのLLMやMCJ等の修士レベルのコースを修了すればこの要件をクリアします。

 

専門性

主として、学位取得分野での勤務経験です。目安となる職務経験年数は、ポストの高さ(専門職はP1~P5、管理職はD1~2)と、保有する学位が修士号か博士号かによって変わります。例えばP2の場合、修士号保有者は2年、博士号所有者や0年、P3の場合、修士号保有者は5~8年、博士号保有者は3年、P4の場合、修士号保有者は8~12年で博士号保有者は6年の職務経験年数が目安とされています。

 

Q4 国連機関での待遇は?

国際機関によって異なりますが、国連機関の勤務条件を統一化するため共通制度というものが作られ、多くの国際機関がこれを採用しています。一般に、国際機関ではポストの高さによって基本給が決められており、これに勤務地による調整給などがつきます。子どもの教育補助金、1年間の有給休暇日数や帰国費用の支給等も細かく決められています。詳しくは外部リンク こちら


Q5 弁護士ロスター制度とは何ですか?

正確には「国際機関勤務希望者向け弁護士ロスター登録制度」と言い、国際機関で働くことを希望する弁護士向けに、日弁連と外務省国際機関人事センターが協力して2008年3月に発足させた制度です。

弁護士があらかじめ同センターに自分の経歴などを登録しておくことで、その経歴に適合する国際機関の空席情報が直接提供される仕組みです。

弁護士ロスター制度について詳しく知りたい方は「【会員向】国際機関勤務希望者向け弁護士ロスター登録制度のご案内」をご覧ください。また、登録する方は、会員ページから登録して下さい。


Q6 弁護士としての資格や経験は生かせますか?

残念ながら日本の弁護士資格を持っているというだけでは国際舞台では通用しません。専門職ポストに応募するためには、基本的に修士号以上の学位が必要となります。また、弁護士としての職務経験は、広い意味では実務経験になりますが、国際公務員への応募に際しては、応募するポストに求められる資質と関連する具体的な実務経験をどの程度積んでいるかが重要になります。とりわけ、国際的な職務経験(外国での勤務経験、国内であっても国際的な職場環境での勤務経験等)の有無が重要視されますので、国際公務員を目指す場合、意識して国際的な職務経験を積んでいく必要があります。

どうやってその経験を積むのかについては、Q7も参考にしてください。


Q7 いずれは国際機関で働きたい。そのために今からできることは?

国際機関の採用システムは、日本の企業や官公庁の新人採用とは全く異なり、常に「即戦力」を求めていることを忘れてはいけません。したがって、採用されるためには、語学力を磨く、修士号以上の学位を取得することのほかに、働きたい分野での実務経験を積んでおくことが必要です。 
また、国際機関の専門職正規ポストの人事採用は、公募の形を取ってはいますが、実際にそのポストが求めている内容を把握するため、常日頃からアンテナを張り巡らして情報収集に努めることも必要です。採否の判断にあたっては人脈が重視されているとも言われていますから、積極的に人脈を作っていくことも大事です。加えて、積極的な情報収集や人的ネットワークによって、公募によらない短期ポストの情報を得られるケースもあります。そうした短期ポストが、正規ポストへのステップとなることもあります。

 

実務経験を積む

Q6で説明したとおり、日本の弁護士としての経験がそのまま国際機関採用の際の実務経験として評価されるわけではなく、より国際的、かつ、専門的な実務経験が必要となります。

 

インターン

したがって、例えば、自分が目指す国際機関や、その分野で活動する国際NGOでインターンをすることも有効です。特に国際機関でのインターンは、将来の職場を内側から見ることができますから、自分の意欲と適性を自分なりに確認する良い機会にもなるでしょう。
また、第62期以降の司法修習では、独立行政法人国際協力機構(JICA)や外務省経済局のほか、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国際移住機関(IOM)といった国際機関の駐日事務所での選択型実務修習(全国プログラム)が用意されています。もしあなたが修習生や法科大学院生であれば、国内にいながらにして国際機関での経験を積めるまたとないチャンスですから、是非、応募されると良いでしょう。

 

国連ボランティア(UNV)

さらに、現場(フィールド)での活動が重視されるポストに応募する場合には、国連ボランティア計画(UNV)で現場を経験することも有益でしょう。国連の一機関である国連ボランティア計画(UNV)により、世界各国の国際機関やPKOミッション等に派遣され、平和構築や開発支援に従事します。ボランティアとはいえ渡航費や生活費は支給されます。
 もしあなたが平和構築・開発分野での経験を積みたいと思っているならば、外務省が広島平和構築人材育成センターに委託して行っている「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」への応募を検討してもよいかもしれません。例えば、同事業のプライマリー・コースでは日本国内での集合研修のほか、UNVの資格での海外実務研修(原則1年間)を通じて現場で働くことができるからです。コースによっては研修終了後に就職支援を受けることもできます。
2009及び2012年~2014年に、日弁連は上記事業に関するセミナーを開催しています。

 

JPO(Junior Professional Officer)

国連で勤務する専門職の日本人職員のうち約45%がJPO出身者であるとされており(機関によっては、JPOではなく、AE、APOといった名称の場合もあります)、もしあなたが30代前半以下の若手であれば、JPOは、正規ポストにつながる一つの有力な選択肢になります。これは、外務省が毎年行っている国際機関への派遣制度で、選考試験に合格すると、基本的にP2レベルの職員として、原則2年間、国際機関に派遣されます。
 なお2008年2月、日弁連はJPOに関するセミナーを開催しています。セミナーの内容は、こちら

 

その他

日本政府の国連代表部が募集している専門調査員や、外務省の任期付公務員として日本政府の立場で国際機関や国際法に関わる仕事を経験すること、JICAの長期専門家として開発途上国における国際司法支援活動の経験を積むといったことも、国際的な実務経験を積む有効な方法と考えられます。

 

人脈を作る

国際機関の人事採用は、公募の形を取りながらも、実際には人脈が重視されていると言われています。したがって、国際機関の内部に、あなたのやる気や能力を知っている人が一人でも多くいた方が良いでしょう。
したがって上記のインターンや、UNV、JPOとして国際機関で働く経験は、人脈作りという意味でも有効です。組織内部にいる間に、しっかりと自分のやる気と能力を周囲にアピールしておきましょう。
インターンなどの経験がない場合でも、国際機関内部の人を紹介してくれる人が周りにいないか、アンテナを張り巡らしてみましょう。一人でも紹介してもらえれば、あなたの熱意次第で、その人がさらに別の人を紹介してくれるなどして、徐々にネットワークが広がっていくかも知れません。

 

情報を収集する

icon_page.png外務省国際人事センターのウェブサイトで、国際機関就職に関する必要最低限の知識を得ることができます。
また、Q5の弁護士ロスター制度に登録しておけば、あなたの経歴に合った空席情報が外務省から直接提供されますし、それ以外の空席情報一覧も、センターのウェブサイトに掲載されています。
また、国連採用ミッションの来日情報も同センターのウェブサイトに掲載されます。採用ミッションは、通常、事前の書類審査を通過した人との面接、ガイダンス等の活動を行い、応募者の適性を判断します。ミッションにより適格と評価された場合でも、そのまま採用に結びつくものではなく、別途、通常のプロセスにより個別のポストに応募する必要がありますが、適格と評価されたことは、将来、応募する際に考慮されます。

 

Q8 国際機関を辞めた場合、その後のキャリアはどうなりますか?

最近の国連の人事採用は、短いものでは6ヶ月から2年程度の期間付きで採用する契約ポストの形態が増えています。このような形での採用は、長く国際公務員として働きたいという人にとっては不安定ですが、法曹資格を持ち、いつでも弁護士としての実務に戻ることができるという人にとっては、かえって応募しやすいと考えることもできます。

弁護士であるあなたが一定期間国際機関で働いた場合、その後、弁護士に復帰するという選択肢の他に、大学や法科大学院の教員として、国際機関での勤務に関連した科目を教えるという選択肢もあり得るかと思います。