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第25回 2015年7月21日号 経営者保証ガイドライン〈2〉

弁護士 石川 貴康

■プロフィール
石川 貴康
日弁連中小企業法律支援センター委員(千葉県弁護士会 所属)

保証債務の整理時における課題への対応(保証契約締結後の出口段階)

 一定の要件を満たす保証人は、当該保証人が負担する保証債務についてガイドラインに基づく保証債務の整理を対象債権者に申し出ることができます。
 申し出を受けた対象債権者はガイドラインに即した誠実な対応が求められています。
 主たる債務者が法的な債務整理手続の開始申立て又は準則型私的整理手続の申立てを現に行い、またはこれらの手続が係属し、もしくは既に終結していることが要件となります。主たる債務を放置したまま保証債務の整理をガイドラインで行うことはできません。
 主たる債務者の債務及び保証人の保証債務を総合的に考慮して、破産手続による配当よりも多くの回収が得られる見込みがあるなど、対象債権者にとっても経済的な合理性が期待できることも要件の1つとされています。

保証債務の整理手順

 主たる債務の整理に準則型私的整理手続を利用する場合は、保証債務の整理も同じ準則型私的整理手続を利用することが原則です。保証債務のみの整理を行う場合は、適切な準則型私的整理手続を利用することになります。
 具体的には、裁判所の特定調停手続や中小企業再生支援協議会の手続が考えられるでしょう。特に特定調停手続はガイドラインによる保証債務の整理も念頭においた新しい運用がなされています(詳細は日本弁護士連合会が作成している手引(日弁連ホームページ)を参照ください )

保証債務の履行基準(残存資産の範囲)

 対象債権者は、保証債務の履行に際して、保証人の手元に残すことのできる残存資産の範囲について、支援専門家と連携しつつ決定します。
 経営者たる保証人が早期の事業再生の着手を決断したことで、主たる債務者の事業再生の実効性が向上した場合など、債権者にとっても一定の経済合理性が認められる場合は、破産手続における自由財産の考え方を踏まえつつ、経営者の安定した事業継続、事業清算後の新たな事業の開始等のために、一定期間(期間の判断は、雇用保険の給付期間の考え方を参考とする)の生計費に相当する額や華美でない自宅等を当該経営者たる保証人の残存資産に含めることを検討することとされています。
 破産手続で残せる以上の資産(いわゆる「インセンティブ資産」)を残せることがこのガイドラインの大きな特徴の1つですが、主たる債務の整理が終わった後に保証債務の整理を開始した場合は、インセンティブ資産を残すことができませんので、この点は注意して下さい。

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協力:日本弁護士連合会
ビジネス向け弁護士紹介サービス「ひまわりほっとダイヤル」
0570-001-240

参考ページ> 企業再生・清算