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第16回 2014年5月27日号 再生局面における金融機関との交渉〈3〉

弁護士 堂野 達之

■プロフィール
堂野 達之
日弁連中小企業法律支援センター 委員(東京弁護士会 所属)

弁護士の活用

 金融機関との債務返済交渉には、弁護士を代理人として活用することをお奨めします。新規融資のための交渉には、経営者自身が金融機関に足を運んで折衝をすべきでしょうが、新規融資が受けられずリスケを受ける段階になった場合には、交渉の専門家である弁護士に任せた方が合理的です。
 前提として、弁護士法72条により、本人の同席なく金融機関との債務返済交渉の代理をできるのは弁護士だけだと言われています。
 中小企業の経営者は本業のプロですが、金融機関との交渉に慣れているわけではありません。新規融資と異なり、リスケの交渉は性質上、後ろ向きとなりがちです。そのような再生局面においては、経営者や社員は本業の立て直しに注力し、金融機関との交渉は交渉の専門家である弁護士に任せるのが、合理的な役割分担であると言えます。
 弁護士に依頼する際に注意すべき点は、ともかく自社の状態を包み隠さず洗いざらい説明することです。決算書や帳簿等の財務資料は弁護士から要望があれば最大限提出すべきです。弁護士は高度な守秘義務が課せられていますし(これに違反すると、弁護士は所属する単位弁護士会から懲戒処分を受けるリスクがあり、これは弁護士にとって重い制裁です)、重要な事項を後になって知らされると、金融機関との交渉に支障が生じるおそれがあり、また再生の初動段階で、弁護士は企業に再生の見込みがあるかどうかを見極める必要があるからです。
 弁護士はともすると敷居が高いと見られがちですが、最近は事業再生に精通した弁護士も増えてきています。事業再生に精通している弁護士かどうかを判断するためには、まず経営革新等支援機関の認定を受けているかどうかをチェックします。当該認定を受けていれば、事業再生に相当程度精通していることが推定できます。また、事業再生の案件(私的整理や民事再生)をどれだけ経験したかを聞くとよいでしょう。概ね10件以上経験していることが望ましいです(なお、破産などの会社の清算と事業再生は業務の性質が異なるので、清算業務の経験は余り当てにはできません)。それから、数値を分析せず経営者の言い分もよく聞かずに、安易に破産や清算を奨める弁護士は避けるべきでしょう。
 弁護士を探すには、弁護士との面談予約サービスであるひまわりホットダイヤルを利用するのが良いでしょう(全国共通電話:0570-001-240、
http://www.nichibenren.or.jp/ja/sme/index.html)。弁護士は費用がかかるのではないかと懸念されることもありますが、例えば顧問契約を締結して顧問料の範囲内で助言を受けることも方法ですし、経営革新等支援機関に認定された弁護士が経営改善計画を策定して金融機関の合意を得られれば、弁護士報酬の3分の2は補助金を受けることができます(ただし補助金の上限は200万円です)。

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出典:帝国データバンクの情報誌『日刊 帝国ニュース』

参考ページ> 借入金返済・資金繰り 企業再生・清算