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第26回 2015年7月28日号 経営者保証ガイドライン〈3〉

弁護士 石川 貴康

■プロフィール
石川 貴康
日弁連中小企業法律支援センター委員(千葉県弁護士会 所属)

保証債務の弁済計画

 対象債権者に対して保証債務の減免を要請する場合の弁済計画には、基準時において保有する全ての資産(破産法における自由財産と経済合理性の範囲内で認められるインセンティブ資産を除く)を処分・換価して得られた金銭をもって担保権者や優先する債権者に対して弁済を行った後で、全ての債権者に対して債権額の割合に応じて弁済を行い、余りの保証債務について免除を受ける内容を記載することになります。
 対象債権者は、保証人から保証債務の一部履行を受けた後に残存する保証債務の免除要請について誠実に対応することとされています。
 保証人は資力に関する情報を誠実に開示して、その正確性について表明保証を行うことになります。表明保証に反する事実が発覚した場合は、免除を受けた保証債務が復活して弁済を行わなければなりません。

経済合理性の判断

 主たる債務と保証債務とを一体として判断します。例えば、主たる債務者が再生型の手続を選択した場合、①主たる債務及び保証債務の弁済計画(案)に基づく回収見込額の合計金額と、②現時点において主たる債務者及び保証人が破産手続を選択した場合の回収見込額の合計金額とを比較して、①が②を上回る額であれば経済合理性が認められることになるでしょう。
 一方、清算型の手続きを選択した場合、①現時点で清算した場合の主たる債務の回収見込額及び保証債務の弁済計画(案)に基づく回収見込額の合計金額と、②清算手続が遅延した場合の将来(最大で3年程度を想定)における主たる債務及び保証債務の回収見込額の合計金額を比較して、①が②を上回る額であれば、経済合理性が認められることになるでしょう。
 準則型私的整理手続等を利用してガイドラインに沿った弁済計画(案)を策定して、経済合理性が認められる範囲内で保証債務の減免や免除をした場合は、対象債権者にも保証人にも課税関係は生じません。
 保証債務の整理手順としては準則型私的整理手続をとることが原則であることや、経済合理性の判断には倒産法の理解が不可欠であることから、支援専門家としては弁護士が最も相応しいと思われます。なお、保証人の代理人弁護士がガイドラインにおける支援専門家になることもできるとされており、実際は支援専門家を兼ねることが通常であると思います。
 ガイドライン詳細やそのポイントをまとめたQ&Aが日本商工会議所等のホームページからダウンロードできます。

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協力:日本弁護士連合会
ビジネス向け弁護士紹介サービス「ひまわりほっとダイヤル」
0570-001-240

参考ページ> 企業再生・清算