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24回 2015年7月14日号 経営者保証ガイドライン〈1〉

弁護士 石川 貴康

■プロフィール
石川 貴康
日弁連中小企業法律支援センター委員(千葉県弁護士会 所属)

 経営者保証ガイドライン(以下「ガイドライン」)とは、中小企業の経営者保証に関する契約時及び履行時等における中小企業、経営者、金融機関による対応を定めた自主的・自立的な準則です。
法的な拘束力はありませんが、主たる債務者、保証人及び対象債権者によって、自主的に尊重され遵守することが期待されています。

ガイドラインの対象者

 主たる債務者は、中小企業・小規模事業者ですが、中小企業基本法に定める中小企業者や小規模事業者に該当する法人に限定されません。個人事業主も対象となります。
保証人の典型例は中小企業の経営者ですが、実質的な経営者や第三者保証人も排除されていません。対象債権者は、中小企業に対する金融債権を有する金融機関等であって、経営者に対して保証債権を有するもの、あるいは、将来有する可能性のあるものです。債権回収会社や公的金融機関、代位弁済前の信用保証協会も含まれます。

経営者保証に依存しない融資の促進(保証契約締結の入口段階)

 ガイドラインでは、経営者保証に依存しない融資の促進のために、それぞれに次のような対応を求めています。
 主たる債務者及び保証人に対しては、経営者保証なしに資金調達を希望する場合は、法人と経営者との関係の明確な区分・分離、主たる債務者の財務基盤を強化すること、財務状況等に関して対象債権者に正確かつ丁寧に信頼性の高い情報を開示・説明することを求めています。
対象債権者に対しては、停止条件又は解除条件付保証契約、ABL(流動資産担保融資)、金利の一定の上乗せ等、経営者保証の機能を代替する融資手法の充実を求めています。

既存の保証契約の適切な見直し(保証契約締結後の途中段階)

 既に経営者保証が締結されており、その保証契約の解除や変更を求める場合には、債務者や保証人は解除や変更の申し入れに先立って、法人と経営者との関係の明確な区分・分離や債務者の財務基盤の強化、財務状況の正確な把握と適時適切な情報開示等による経営の透明性の確保を図り、将来にわたって維持することが求められています。
 他方で、保証契約の解除や変更を求められた対象債権者は、債務者の経営改善の状況等を踏まえて、改めて、経営者保証の必要性や適切な保証金額について真摯かつ柔軟に検討した上で、その結果を丁寧かつ具体的に説明することが求められています。
 また事業承継の場面においても、債務者が、後継者による個人保証を提供することなしに新たな資金調達を希望する場合は、債務者及び後継者は、法人と経営者との関係の明確な区分・分離を行うこと、債務者の財務基盤を強化すること、財務状況を正確に把握して、それを適時適切に対象債権者に開示することなどが求められます。そのような対応がなされた場合、債権者は後継者との保証契約の必要性について改めて検討することが求められています。

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協力:日本弁護士連合会
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参考ページ> 企業再生・清算