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第18回 2014年8月19日号 海外との取引における与信管理及び債権回収〈2〉

弁護士 土森 俊秀

■プロフィール
土森 俊秀
日弁連中小企業法律支援センター 委員(東京弁護士会 所属)

3 支払条件の決定・担保等の取得・契約書の締結

(1)支払条件
 海外取引における支払条件は、大別すると、①代金前払い、②信用状(L/C)付荷為替手形取引、③信用状なし荷為替手形取引:D/P(支払時書類渡し)・D/A(引受時書類渡し)、④代金後払いがあり、売主の立場からみた場合、①から④の順に債権回収リスクが高くなります。
売主の立場からすると、代金前払いが最も望ましいですが、その分相手方がリスクを負うことになります。信用状(L/C)付荷為替手形取引も比較的安全ですが、L/C開設に費用がかかるほか、取引先によってはそもそもL/C開設ができない場合もあります。相手方があることなので全てが思い通りにはいきませんが、できるだけ前払い、全額は無理でも一部前払いにするなど、交渉によりできるだけ債権回収リスクを低減させるよう努めることが重要です。

(2)担保等の取得・貿易保険等の利用
 債権回収リスクが残る場合には、代金完済まで販売製品の所有権を留保する旨を契約上規定するほか(所有権留保)、可能であれば取引先の財産に抵当権・質権・譲渡担保等の担保権を設定します。担保権を第三者に対抗できるようにするためには、一般的には登記等の手続きが必要とされ、現地の専門家等の協力が必要になってきます。
 また、日本では、代表者の個人保証を取ることがよくありますが、海外ではあまり一般的ではなく、法律上の要件も国によって異なるので留意が必要です。
 なお、貿易保険又は輸出取引信用保険を利用することや、国際ファクタリング会社を利用して、リスクヘッジすることなども考えられます。

(3)契約書の締結
 契約書を作らず、発注書および受書だけで取引している例も見られますが、契約書がないと、いざ品質クレーム等を理由に支払いを拒まれた場合等に対応に困ったり、法的手続をとる必要が生じた場合でも、どの国の法律が適用され、また、どこに裁判を起こす必要があるのかが不明確になるなどの問題が生じます。また、海外との取引の場合は、文化、商習慣、社会通念等の違いにより、そもそも取引の基本的認識や理解に想定外のずれが生じやすいので、誤解によるトラブルを未然に防ぐ意味でも、契約書は必ず締結しましょう。(つづく)

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協力:日本弁護士連合会
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参考ページ> 企業再生・清算