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第19回 2014年8月26日号 海外との取引における与信管理及び債権回収〈3〉

弁護士 土森 俊秀

■プロフィール
土森 俊秀
日弁連中小企業法律支援センター 委員(東京弁護士会 所属)

4 債権回収

(1)督促及び交渉
 支払いに遅滞が生じた場合、通常はまず督促を行います。督促の方法としては、電子メール、督促状、電話等を組み合わせて行うのが一般的です。電子メールや督促状では、要求事項(全額又は一部の支払い、弁済計画の提出等)を明確に書き、必ず具体的な期限を設けるようにします。電話では、督促の意思を伝えるだけでなく、詳細に事情を聞いて遅滞の理由等を把握します。そして、その後の対応や証拠化のため、電話の日時、相手方対応者の名前、やりとりの内容につき必ず書面で残すようにします。具体的な約束を引き出した場合には、すぐに書面化しサインさせる、あるいは、少なくともメール等で確認し返信させるようにします。債務者は債権者全員に全額支払う資金はなくとも、一部に支払う資金は有しているものですので、粘り強く督促・交渉を行い、自社への支払いの優先順位をあげる努力が必要になります。

(2)担保権の実行・債権譲渡等
 担保権を設定している場合には、担保権を実行し回収を図ることが考えられます。
 また、債務者が第三者に対して有する債権の譲渡を受け、当該第三者から回収することも考えられます。ただし、二重譲渡に備え当該債権を第三者に対抗できるようにしておく必要があり、その要件は各国の法制度によりますので、現地の弁護士等の専門家の協力も必要になってきます。

(3)債権回収会社や専門家の利用
 現地の債権回収会社や弁護士等の専門家に回収業務を委託することも考えられます。自社での手間が省けるほか、自ら債権回収を行う場合より成功率を高めることが期待できますが、一定のコストがかかります。なお、特に新興国等では、債権回収会社が違法な手段を使って回収を行っている場合もあり、債権回収会社の利用の際には注意が必要です(違法な債権回収への関与の責任を問われないよう、違法手段を使わないことなどを契約上明記させることも考えられます)。

(4)訴訟・仲裁等
 最初に述べたとおり、訴訟・仲裁等は多額の費用がかかり費用対効果の問題があります。また、国によっては訴訟の長期化、裁判制度自体の信用性の問題があります。さらに、勝訴した場合であっても相手方の資産状況によっては回収が見込めない場合もあるため、特に中小企業の場合には、訴訟・仲裁等が有効な債権回収手段とならない場合が多々あることに留意が必要です。 (了)

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協力:日本弁護士連合会
ビジネス向け弁護士紹介サービス「ひまわりほっとダイヤル」
0570-001-240

参考ページ> 企業再生・清算