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第11回 2013年12月17日号 国際展開における弁護士の使い方〈1〉

弁護士 池内 稚利

■プロフィール
池内 稚利
日弁連中小企業法律支援センター 委員(第一東京弁護士会 所属)

はじめに

 今、中小企業の国際展開が注目を浴びています。政府の「日本復興戦略」においても、「日本産業復興プラン」の中で「中小企業・小規模事業者の革新」が一つの柱となり、そのなかで国際展開の支援を謳っております。日弁連においても、「中小企業海外展開支援弁護士紹介制度」を設け、海外展開に関するノウハウを有する弁護士を知らない中小企業等に対して、比較的廉価な報酬でアドバイスする弁護士を紹介しております(詳しくは、日弁連のホームページhttp://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/support.html参照)。 しかし、訴訟や紛争に巻き込まれたならともかく、海外展開の事業プランを構築する段階で弁護士のアドバイスを利用しようとする中小企業はあまり多くありません。そこで、弁護士の支援を求めるとどういった点が違うのかを、弁護士の目から説明したいと思います。 

例題

 一般論や抽象論を述べてもなかなか理解するのは難しいと思いますので、一つの例題を通じて説明します。例題として、最も身近で取り組みやすい国際展開の方法である、輸出に関する事例を取り上げます。 輸出先は、中小企業を含めた企業の進出が近年著しい東南アジアの発展途上国A国と仮定します。 

 当社(X社・日本所在)は日本の製品メーカーですが、現在は国内の市場の成長性もあまり見込めないので、当社の製品を海外に輸出しようと考えていました。その折、ある商談会でA国のY社と知り合い、当社の輸出について相談しました。Y社はA国においても新興の企業であり、当社の製品の分野で様々な製品の販売を行っている商社です。A社の社長はバイタリティがある若者で、日本の製品を取り扱った経験がないため当社の製品を非常に気に入り、是非当社の製品を取り扱いたい、当社の代理店となりたいと申し入れてきました。

 当社としても、Y社の将来性には期待するところではあり、また信用調査の結果でも、堅実な財務状況のようですが、取引の実績もなく、規模が大きくないこともあり、代理店として認めるには躊躇があります。そこで、A国マーケットの状況やY社のパフォーマンスを観察するために、しばらく代理店契約は結ばず、単純な輸出入契約で取引を行い、その結果を見て考えようと思っております。何か問題はあるでしょうか。

弁護士の考え方

 この例題を読んで、どう考えたでしょうか。一見すると、堅実でなかなかいい考えであると思われる方も少なくないのではないでしょうか。しかし、経験を積んだ弁護士の目からすると若干違う見方をします。どういう見方かを、次回、結婚を例にとって考えてみましょう。(つづく)

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出典:帝国データバンクの情報誌『日刊 帝国ニュース』

参考ページ> 契約交渉  知的財産制度の活用・模倣品対策