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第1回 2013年7月16日号 円滑化法終了後の事業再生〈前編〉

弁護士 高井 章光

■プロフィール
高井 章光
日弁連中小企業法律支援センター 事務局次長(第二東京弁護士会 所属)

3月31日に中小企業金融円滑化法(円滑化法)が終了しました。正確には、3月31日までに中小企業が金融機関に対して行った支払猶予(リスケジュール)などの要請については、4月1日以降も適用されますが、4月1日以降の要請に対しては適用がなくなりました。円滑化法は、金融機関に対して①中小企業から借入金の返済条件の緩和の要請があった場合には、できるだけ応じるよう努める、②当該中小企業が取引する金融機関同士で緊密な連携をとるよう努める、などの努力義務を規定していたため、中小企業が支払猶予を要請した場合には、これに金融機関が容易に応じる状況にありました。 

円滑化終了後の出口戦略

それでは、円滑化法の終了後、金融機関の対応はどう変わったのでしょうか。平成24年11月1日に金融担当大臣が発表した談話において、円滑化法終了後に貸し渋り・貸し剥がしの発生や倒産の増加という事態が発生しないように、金融庁の金融機関に対する日常の検査・監督を通じて、関係金融機関と連携を十分に図りながら貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるよう促していく旨が発表されました。 そして実際、金融機関による中小企業に対するコンサルティング機能を強化するために金融監督指針が改正されました。また経営破綻の危機に瀕した中小企業を迅速に支援するため中小企業再生支援協議会の機能が整備され、信用保証協会を中心とする各地域金融機関等のネットワーク(中小企業支援ネットワーク)の整備が進められています。さらに、地域経済活性化支援機構法の制定によって破綻危機企業の支援を強化し、経営力強化支援法によって中小企業の経営課題に対応するための専門的知識を有する認定経営革新支援機関(認定支援機関)による経営力強化を図る制度が作られています。 
このような諸施策によって、円滑化法終了後における大量の中小企業の破綻は今のところ回避されており、法的整理の件数は、4月以降も抑えられているようです。 

中小企業の経営課題 

ところで、中小企業の経営状況は好転し、破綻危機は回避されたのでしょうか。円滑化法の適用による一時的な支払猶予期間中に必要なリストラを行い、あるいは新たな事業を展開するなど経営基盤を強固にした中小企業もあるかと思います。しかし、多くの中小企業はリーマン・ショック以降の長引く不況下、リストラを実施してもあまり効果がなく、もしくはこれといった対策がとれないまま、以前にも増して経営状況が悪化していると思われます。円滑化法の恩恵によって法的破綻には至っていませんが、営業損失を積み重ねているような実質的に破綻している企業は増えているものと思われます。この傾向は、例えば中小企業再生支援協議会を利用する企業の相談件数が、平成24年度第2四半期から増加傾向にあること(第1四半期459件、第2四半期795件、第3四半期1300件)からも明らかです。 

〈この連載は事業再生や取引先倒産時の対応策について解説していきます。次回は7月23日に掲載します〉

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出典:帝国データバンクの情報誌『日刊 帝国ニュース』

参考ページ> 借入金返済・資金繰り 企業再生・清算