[九州]九州弁護士会連合会

九州弁護士会連合会

〒810-0044 福岡市中央区六本松4-2-5 福岡県弁護士会内
TEL 092-741-6416
FAX 092-715-3207

 

1 九州弁護士会連合会のなりたち

九州弁護士会連合会(九弁連)は、九州・沖縄地区(福岡高裁の管轄区域)8県の弁護士会によって構成される弁護士会の団体です。いわゆる「ブロック弁連」の一つで、各県弁護士会(単位会)や日本弁護士連合会とは異なり、個々の弁護士ではなく単位弁護士会を直接の構成員として組織される「単位会の連合会」です。単位弁護士会の枠の制約を超えた広域的な活動を行うことをねらいとしています(九弁連規約第4条)。


九弁連を構成するのは、福岡県弁護士会、佐賀県弁護士会、長崎県弁護士会、大分県弁護士会、熊本県弁護士会、鹿児島県弁護士会、宮崎県弁護士会、沖縄弁護士会の8県弁護士会となります。これら8県会の力を糾合して、九弁連としての活動が支えられています。

 

2 執行部と運営体制

(1)九弁連の中心に位置する意思決定機関は理事会です。理事会は、各弁護士会の会長(常務理事)・副会長(理事)のほか、九弁連選出の日弁連副会長、次年度日弁連副会長予定者および同九弁連理事長予定者を常務理事に加えて構成されます。


(2)理事会決定事項の執行等は、九弁連の執行部により行なわれます。執行部は、理事長(大会担当会選出)が主宰し、常務を掌理する事務局長(福岡選出)、その補佐職の事務局次長2名(大会担当会・福岡より各1名選出)、および各弁護士会から委嘱された九弁連主任により構成されます。


(3)最も重要な年次行事は定期大会(九弁連大会)です。管内各弁護士会の持ち回りにより開催され、九州沖縄の各地を巡回しますが、大会担当会からは当年度の理事長や事務局次長が選出されるなど、その役割は極めて重要です。常設事務局所在地の福岡と密に連携して、九弁連の強い連帯関係が維持されています。

 

3 九州弁護士会連合会の活動

(1)日弁連と協力して取り組む活動

各ブロック弁連が共通して行う活動として、日弁連と連携しながら、管内各弁護士会の活動を支える事業があります。


多くには触れませんが、①裁判員制度、弁護士任官、地域司法計画等の課題に取り組む活動(司法改革問題に関する連絡協議会)、弁護士任官の推進・推薦(裁判官任官適格者推薦委員会)、下級裁判所裁判官指名諮問委員会および地域委員会への協力(裁判官選考検討委員会)、公設事務所・法律相談センターの開設援助、日弁連ひまわり基金法律事務所の三者協定等に関わる活動(法律相談事業に関する委員会)等、司法制度改革関連の活動として重要な取組を多く含みます。他にも、②日弁連夏期研修、新規登録弁護士研修(研修委員会)、法律相談事業に関するブロック別協議会、日弁連各種委員会の地区別協議会の開催等、研修・業務関連の活動や、③日弁連役員や委員等の推薦、日弁連から管内弁護士会への活動協力依頼や諮問・協議の仲介等、その役割の幅は非常に大きいのです。

 

(2)各種委員会活動

もちろん九弁連としての独自の取組の幅も非常に広く、各種委員会または連絡協議会がその最も重要な活動の担い手となっています。


九弁連には、現在、主任兼広報、研修、消費者問題、民事介入暴力対策、法律相談事業、民事裁判手続、刑事弁護、国際、人権擁護、司法改革、環境、高齢者・障害者支援、子どもの権利、犯罪被害者支援、弁護士任官適格者推薦、裁判官選考検討、心神喪失者等審判付添人、司法修習、憲法問題、法教育、あさかぜ基金管理、法科大学院、業務対策、業際非弁対策、両性の平等、精神保健、弁護士任官推進、災害対策、死刑制度廃止検討の合計29の委員会や連絡協議会、プロジェクトチームがあり、それぞれ非常に活発に活動しています。


また、2016年熊本地震の発生に伴い、熊本地震支援統括本部、2017年に九州北部豪雨災害に伴い、九州北部豪雨災害対策支援統括本部を設置しました。

 

(3)管内の法律相談センターおよびひまわり基金法律事務所の開設状況

九弁連では、早くから弁護士会に法律相談センターを作る運動に取り組み、各県弁護士会は各地に法律相談センターを作って広く市民からの相談を受けています。法律相談センターは有料の法律相談を実施するほか、各地の地方自治体や各種団体と協力して無料法律相談を行っています。


また、弁護士過疎対策の重要な取組として「ひまわり基金法律事務所」の設置も重要です。これは、「日弁連ひまわり基金」の経済的支援を受けて作られた公設事務所で、日弁連、地元弁護士会および弁連から支援を受けて設置・運営されています。九弁連管内では2000年の対馬での開設を皮切りに多数設置され(詳しくはひまわり基金法律事務所のウェブサイトをご確認ください。)、いわゆる法テラス7号事務所と併せて、弁護士過疎地における司法ニーズの受け皿として、非常に重要な役割を担っています。


「ひまわり基金法律事務所」では、全国から公募に応じた弁護士が所長として赴任し、2~3年の任期で活動します。任期満了後は引き継ぎを行う例が多いのですが、さらに任期を延長したり、そのまま定着して地元に残る例も少なくありません。司法修習生の皆さんの積極的な参加が大いに期待されている領域でもあります。

 

(4)定期大会・シンポジウム

九弁連の年次行事として最も重要なものは、何といっても九弁連大会(定期大会)です。管内各弁護士会の持ち回りで、年1回開催されます。当日は、シンポジウムを開催し、大会ではこれに関連するテーマについて宣言を行います。その他にも社会的に意義あるテーマを定めて決議を行います。これら宣言・決議は、弁護士法が定める弁護士の使命(弁護士法1条)および弁護士会の建議の権能(同42条)に根拠を置くもので、国・自治体や関連諸団体に対して宣言文や決議文を送付するなどして社会的提言を行います。

 

(5)九州法曹協議会・夏季司法合宿

九州法曹協議会とは、①福岡高等裁判所およびその管轄地域に属する地方裁判所・家庭裁判所、②福岡高等検察庁およびその管轄地域に属する地方検察庁、③九弁連およびその管内に属する単位弁護士会等の庁会について、それぞれの代表者が一堂に会し、司法制度に関わる実務上の諸課題について協議を行なう会合であり、毎年1回、例年6月に福岡で開催されています。


また、九弁連理事を対象とした研修企画として、毎年8月に夏季研修会が行われます。司法制度とりわけ司法改革に関わる諸課題等についてテーマを選定し、講師を招聘して研修会を行なっています。

 

(6)あさかぜ基金の設立と弁護士法人あさかぜ基金法律事務所の開設

弁護士過疎の解消は日弁連挙げての取組であり、ひまわり基金法律事務所、法テラス7号事務所のほか、日弁連の「弁護士偏在解消のための経済的支援制度」による定着支援の制度などがあり、さまざまなプログラムが用意されています。しかし、最も重要なことは、そのプログラムに応えて弁護士過疎地における活動を志す弁護士をそれぞれの地元で養成することです。


九弁連では、弁護士過疎地域への赴任を志す新人弁護士の弁護技術の研鑽と向上の支援を目的として「九弁連あさかぜ基金」を創設して新たな「都市型公設事務所」の設立を企画し、福岡県弁護士会の強力な支援によって、2008年9月、福岡の都心に「弁護士法人あさかぜ基金法律事務所」を設立しました。


同事務所では、すでに十数名の「卒業生」を九州各地の弁護士過疎地域に送り出しています。司法修習生の皆さんにはぜひ関心を持っていただきたいと思います。

 

4 司法改革(被疑者国選弁護、裁判員裁判、法曹養成、弁護士偏在解消問題等)への取組、理事会、委員会活動等について

1990年、大分と福岡で始まった「当番弁護士制度」は、「絶望的」と言われた日本の刑事司法に風穴をあけるもので、燎原の火のように全国に広がって年々規模を拡大し、ついに2004年の刑事訴訟法改正によって「被疑者国選弁護制度」を実現させました。2009年5月、全国で約8万件にも及ぶ被疑者国選弁護人制度がスタートし、弁護士過疎地をはじめとして弁護士が新しい制度に対応できるかどうか心配されましたが、弁護士会の懸命の努力で対応可能であることが証明されました。「被疑者の取調べの全過程の可視化」をはじめ、なお残された諸課題もありますが、その解決に努めています。


また、2009年から始まった裁判員裁判は、従来の刑事裁判を変革し、国民の司法参加を実現するためのものですから、九弁連としても、裁判員裁判が国民生活に根付いていくことを期待し、検証と適切な提言を行っていきたいと思います。

 

5 修習生の皆さんへ

このように、九弁連およびその管内各弁護士会は、たいへんな進取の精神と自主自律の気概を備えています。地域の規模としても、人口や経済の規模はわが国の約1割を占めます。その将来の発展のためには、司法修習生の皆さんのご活躍が欠かせません。


ぜひ、九弁連にご参加ください。