弁護士の資格・登録

1 弁護士資格の付与に関する弁護士自治

弁護士となるには、弁護士となる資格を得た上で、日弁連に備えられている弁護士名簿に登録されることが必要です。


つまり、弁護士となる資格を得ることと、弁護士となることは別のことであり、弁護士となるには、弁護士となる資格を有する者が、各地の弁護士会および日弁連の登録に関する審査を経て、弁護士名簿に登録されることが必要なのです。このように、弁護士法は、弁護士資格の付与という入口の段階において、弁護士自治の実現を図っています。



2 弁護士となる資格

弁護士となる資格を得るには、原則として、司法試験に合格し、司法研修所において司法修習を受け、修習終了時に行われる試験に合格し、修習を終えなければなりません(弁護士法第4条)。


ただし、例外として、次の場合にも弁護士となる資格が認められます(弁護士法第5条および第6条)。①最高裁判所の裁判官の職にあった者、②司法試験合格後、5年以上裁判所調査官、裁判所事務官、国会議員等特定の法律に関係する職にあり、かつ、日弁連が実施する研修の課程を修了したと法務大臣が認定した者、③司法試験合格後、5年以上法律学の教授または准教授の職にあり、かつ、上記法務大臣の認定があった者、④司法試験合格後、7年以上民間においてまたは公務員として法律に関係する職務に従事し、かつ、上記法務大臣の認定があった者、⑤5年以上特任検事の職にあった者で、かつ、上記法務大臣の認定があった者


なお、以上の要件に該当する場合であっても、次のいずれかに該当する者は、弁護士となる資格が認められません(弁護士法第7条)。①禁固以上の刑に処せられた者、②弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者、③懲戒処分により、弁護士・外国法事務弁護士であって除名され、弁理士・税理士であって業務を禁止され、公認会計士であって登録を抹消され、または公務員であって免職され、その処分を受けた日から3年を経過しない者、④成年被後見人または被保佐人、⑤破産者であって復権を得ない者



3 弁護士名簿の登録

弁護士となる資格を有していても、弁護士名簿に登録しなければ、弁護士として活動することはできません(弁護士法第8条)。


弁護士名簿に登録するには、入会しようとする地域の弁護士会を経て、日弁連に登録請求することになります。


各地の弁護士会および日弁連は、登録請求者が、次のいずれかに該当する場合には、資格審査会の議決に基づき、登録を拒絶することができます(弁護士法第12条および15条)。①弁護士会の秩序または信用を害するおそれがある者、②心身に故障があって、弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者、③懲戒処分によって、弁護士・外国法事務弁護士であって除名され、弁理士・税理士であって業務を禁止され、公認会計士であって登録を抹消され、または公務員であって免職された者が、その処分を受けた日から3年を経過して請求した場合に、弁護士の職務を行わせることがなおその適正を欠くおそれがある者、④登録請求前1年以内に当該弁護士会の地域内において常時勤務を要する公務員であった者で、その地域内において弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠くおそれがある者


このように、司法修習を終了するなどして弁護士となる資格を取得しても、当然に弁護士となる訳ではなく、弁護士となるには、さらに、各地の弁護士会および日弁連による登録の審査を受けなければならないのです。



職務上氏名とは…

弁護士は、日弁連に、戸籍上の氏名とは異なる氏名を「職務上の氏名」として届け出て、使用することができます。

職務上の氏名の届出をした弁護士は、弁護士業務を行うに当たっては「職務上の氏名」を使用しなければなりません。

職務上の氏名の利用者にとっては、「職務上の氏名」こそが弁護士としての名前です!!


icon_pdf.gif職務上の氏名に関する規則 (PDFファイル;11KB)