採用企業 | C社
企業法務で活躍できる層として、司法修習生に魅力的な人材がいることから、(企業内弁護士として)採用しています。資格ではない部分で活躍できる要素が大きいと思いますが、是非資格も活かして活躍していってもらいたいと思います。
どのようなきっかけで弁護士を採用されようとお考えになったのでしょうか。
企業内弁護士の採用を考え始めたのは4年くらい前からです。もともと、法学部卒の学部生を採用していましたが、企業法務で活躍できる層について、学部生を見るだけで良いのかという問題意識があったため、試しに東京三会の就職合同説明会に出展したところ、良い人がおり内定者を出すことができました。2回参加した後は、当社独自の説明会を行っています。
社内弁護士はどのような業務を担当されていますか。訴訟対応を社内弁護士が行うことはありますか。
(弁護士の所属部門は法務部門、知的財産部門。)基本的に一般の社員と同じ業務を行ってもらっています。ただし、せっかく資格があるので、本人がそれを活かして前向きに業務を行えるのであれば、ぜひ弁護士の資格を活かして活躍してもらいたいという気持ちがあります。
したがって、訴訟対応等は、試行錯誤的に社内弁護士に色々挑戦してもらっている状況です。
差し支えなければ、弁護士会費の負担や待遇について教えてください。
弁護士登録料は会社が負担しています。弁護士会費も、公益活動負担金のいずれも会社が負担しています。初めから、弁護士会費は会社で負担するつもりでいました。待遇面は他の社員と同じですので、会費まで本人が負担するということは大変でしょう。そもそも人材を採用するには、給与以外にも、福利厚生等様々なコストがかかりますので、会費の負担は強くは意識していません。
弁護士会で色々な研修を受けることができるメリットがあるため、会費を支払う意義はあると思っています。このような場で人脈を作ったり、色々な経験ができるとも聞いています。ただし、社内弁護士の場合、時間的制約で研修等に参加できない場合が多いかもしれず、たとえば少し会費を安くすることなど考えていただけるとありがたいです。
待遇は一般の修士卒と同じです。
公益活動(義務)についてはどのように対応されていますか。
弁護士登録後の研修として行うべき刑事弁護等は認めていますが、その後の公益活動については行っていません。その場合に生じる公益活動負担金は会社が負担しています。
弁護士会の研修についてはどのようにお考えでしょうか。現実的に社内弁護士が研修に出られる時間はあるのでしょうか。
社内弁護士が、債権法改正の研修を受けてきたことがあり、これを社内の勉強会で発表してもらい、大変参考になりました。
研修時間については、できれば18時過ぎなど、遅い時間帯だと助かると思います。日中、研修に参加することは仕事の状況によって厳しい場合もあります。
具体的な採用活動についてお伺いします。採用の際にどのようなツールを活用されていますか。
過去には、東京三会の就職合同説明会に参加しました。その後は、当社独自の説明会を開いています。
また、日弁連の「ひまわり求人求職ナビ」も何度か利用しており、説明会の案内を掲載しています。ひまわり求人求職ナビ経由での説明会参加や応募も多数あり、役に立っています。
ひまわり求人求職ナビについては、大きな改善要望はありませんが、記入欄に自由さがないという点はあったように思います。当社独自の説明会の案内を掲載していますので、フィットしない部分もありました。
採用スケジュールを教えてください。
当社独自の修習生向け説明会を1月頃に開催しており、面接は2月くらいから行っています。地方で修習され都合が合わない場合等、こちらから出向いて個別面談を行うこともあります。最終面接は、学部生と同じく4月で、同時期に内定を出しています。入社時期は翌年の4月です。
(司法修習生の場合)弁護士登録手続はいつ行うのでしょうか。
入社してから登録手続きを行うケースと、入社時の4月に登録できるように入社前から登録手続きを進めるケースと両方あります。まだ明確なルールを決めていませんが、弁護士会の研修をどのタイミングで受けるかということと関係するので、会社の制度・規則と矛盾しない範囲で、本人の選択に任せようと考えています。なお、所属弁護士会(東京三弁護士会のうちいずれか)は、本人の希望で選択させています。
社内弁護士は新入社員研修を受けるのでしょうか。
他の新卒採用社員と同じ扱いにしています。最初の数か月は別のセクションで研修を受け、お客様相手の窓口業務等も経験してもらっています。法務部への配属はその後になります。
英語能力の必要性について教えてください。
日本で仕事をしていても、契約の相手は外国企業であったりするので、英語ができないと面白い仕事はできません。
英語が不得意と思っている方も、入社してからこれまで法律の勉強に注いでいたエネルギーを英語に注いでくれれば足りると思っています。
弁護士が企業内弁護士として企業に入っていく時の売りは何でしょうか。
基本的には資格ではない部分(本人の能力)で活躍することが大きいとは思っています。もともと、企業内弁護士を採用するきっかけは、企業法務で活躍できる層がどこなのか、という視点から始まっていて、資格にこだわっているわけではなく、司法修習生に魅力的な人材が増えたことで採用しているわけですが、せっかく資格を持っているのであれば、これをどう活かせるかを、本人のためにも考えていきたいと思っています。
実際に弁護士を採用してみてどうでしょうか。
採用した人を見る限り、優秀であり、企業にもなじんでやっていけるという認識です。法務部だけでなく、別の部署も経験してキャリアを積んでいってほしいと思っています。
今後、社内弁護士に期待することをお聞かせください。
司法試験、ロースクールをめぐる状況が変化のただ中にありますが、今後も安定して一定レベル以上の人材が社内弁護士として活躍してほしいです。
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お問い合わせ先:日本弁護士連合会業務部業務第三課
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