企業内弁護士に関するQ&A

企業内弁護士として働くことを検討する際に、よくあるご質問

  • 01、現在日本にはどのくらいの数の企業内弁護士がいるのですか。

    外部サイト日本組織内弁護士協会の公表資料によれば、2014年6月時点で、619社の企業に1,179人の企業内弁護士が採用されています。パートタイムや出向などの形で実質的に企業内弁護士として働いている弁護士を含めれば、さらに多くの企業内弁護士が存在するといわれています。

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  • 02、企業内弁護士を多く採用している企業は、どんな企業ですか。

    外部サイト日本組織内弁護士協会の公表資料によれば、2014年6月時点で企業内弁護士を多く採用している企業20社には、情報通信、商社、金融、証券が多くなっていますが、電機、製薬などのメーカーや生保、マスコミも含まれています。

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  • 03、企業内弁護士のやりがいはなんですか。

    所属企業のビジネスに主体的に関与することができるという点は、大きなやりがいの一つといえます。案件の初期の段階から関わり、戦略を構築していく作業は、企業の外部にいては困難です。また、社内クライアントからの距離が近いため、関係部署からの感謝の声や、フィードバックを直接耳にすることができる点をやりがいとしてあげる企業内弁護士もいます。

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  • 04、企業内弁護士に必要な資質はありますか?

    弁護士としての基礎的な能力に加えて、企業という組織に適応する能力も求められます。具体的には、企業内の意思決定を尊重する柔軟性や、関係各部署と連携するための協調性などが必要になってくると思われます。また、所属企業のビジネスに関心を持っているというのも、大切な要素の一つです。

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  • 05、企業内弁護士になりたいのですが、どうやって就職先を探したら良いのでしょうか?

    日弁連サイト内の外部サイト「ひまわり求人求職ナビ」への登録をお勧めします。無料で利用できることもあり、多くの企業が求人情報を掲載しています。登録弁護士に対しては、企業の方からオファーが来ることもあります。また、実務経験のある弁護士であれば、就職エージェントを利用するのも有効な手段です。修習生であれば、東京・大阪等で弁護士会が開催している就職説明会に参加したり、法科大学院生であれば法科大学院を通じて企業へのエクスターンに申し込むのも有力な手段と言えるでしょう。

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  • 06、企業内弁護士の弁護士会費の負担の実情はどうなっていますか?

    弁護士として登録するには、弁護士会に登録する際の費用(入会金等)と、登録を維持している間の会費を、支払う義務があります。入会金等や会費の負担については、所属企業との契約・話合い等により決まりますが、その方法としては、企業が弁護士会に支払う、企業が会費分を給与に上乗せして支払い、企業内弁護士が弁護士会に支払う、企業内弁護士が自己負担するなどの方法が考えられます。会費については、pdf日本組織内弁護士協会が2014年に行ったアンケート結果によると、会社が負担していると答えた企業内弁護士が82パーセントにのぼり、企業が弁護士会費を負担する場合が多数になっています。

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  • 07、企業内弁護士の処遇はどのようなものなのでしょうか?

    ポジションにもよりますが、一般の従業員と同様な待遇の企業も多いようです。もっとも、弁護士に対して高い能力を期待している企業は、良い待遇を用意して弁護士を迎え入れている場合もあるようです。具体的には、司法修習を実務経験期間とみなしたり、資格手当を付与したりするなどです。特別の役職を用意して、役職手当を付与する企業もあります。長く安定的に勤めるためにも、自分の能力・環境に見合った待遇の企業を選択することが必要です。

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  • 08、企業内弁護士はどのような業務を行っているのでしょうか?

    業務内容は、所属する企業や部署によって異なります。取引先や行政当局との交渉、契約書審査、社内規程の策定はもちろん、M&A計画の立案・実行を専門とする者もいれば、知的財産戦略の立案を専門とする者、法務部門全般を担当する者、訴訟管理を行う者、コンプライアンス体制の策定・実施・監視を担当する者など様々です。

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  • 09、企業内弁護士も訴訟代理人として法廷に行くことがあるのですか?

    所属する企業や部署にもよりますが、企業内弁護士が訴訟代理を担当しているケースもあります。また、訴訟代理人となる場合も、企業内弁護士のみが訴訟代理人となる場合と、企業外の弁護士と共同して訴訟代理人となる場合があり、案件の処理方法は各企業、各案件によって様々です。一般的には、①案件固有の法分野の専門家が外部に存在しない案件、②訴訟結果が十分予測できる事件、③膨大な背景事情がある案件、などは、企業内弁護士が単独または共同して担当するケースも多いようです。

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  • 10、企業内弁護士も国選弁護や当番弁護を引き受けることができるのですか?

    所属する企業の就業規則や就職時の契約等によることになります。原則として、副業を一切禁止している企業に採用された場合は、引き受けることができません。しかしながら、弁護士会によっては、国選弁護等が義務化されている場合があり、少なくともほとんどの企業は、こうした義務を果たす限度では受任を認めています。

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  • 11、企業内弁護士は、弁護士会の会務活動を行っているのですか?

    所属する企業の就業規則や就職時の契約等に影響されます。弁護士会の委員会は、会議が企業の就業時間中に開催されることが多く、企業内弁護士が就業時間中に会務活動のために外出することを認めていない企業の場合、事実上会務活動に参加することは難しくなります。もっとも、委員会の中には、18時以降に活動しているものもあり、そういった委員会を選択して、会務活動を行っている企業内弁護士も多数存在します。企業内弁護士が所属していることによって、企業にも情報が入るなどのメリットがある委員会も少なくなく、このような委員会に所属している企業内弁護士も多数います。

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  • 12、企業内弁護士として企業法務にかかわることと、顧問弁護士としてかかわることとの違いは何ですか?

    企業内弁護士は、事業との一体性の点およびスピードの点等に顧問弁護士との違いがあります。すなわち、事業の立ち上げの段階からプロジェクトにかかわることができます。これによって、法的な視点を持って、ビジネスを成功させるための戦略構築に参加することが可能となります。そのために、企業内弁護士は所属企業の事業に精通して、企業の利益を考慮した細やかな配慮や代替提案ができるようになっていく必要があるでしょう。また、法的な問題点を把握し、解決方針を示し、案件処理を行うスピードは、顧問弁護士を上回るものが求められます。

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  • 13、企業内弁護士は、所属企業の業務とは別に、弁護士として個人的に事件を受任することができるのですか?

    企業内弁護士の場合、所属する組織の就業規則や就職時の契約等によることになります。一般的な傾向としては、個人的な事件の受任が認められている企業内弁護士はあまり多くはありません。また、個人的な事件の受任が認められている場合であっても、所属企業との間でコンフリクトが生じる案件はもちろんのこと、社会的な関心を集めている事件のように、特定の企業の従業員がそうした案件の代理人を勤めていることが、当該企業に対して悪影響を与える可能性のある場合も有ります。そうした案件の受任の可否については、企業との信頼関係の観点からもなんらかの取り決めを事前にしておくべきです。

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  • 14、企業内弁護士は、どのようなキャリアパスが考えられるのでしょうか?

    企業内弁護士は、法的素養や法的専門知識を持っていることに着目して採用されているため、多くの場合、法務部門やコンプライアンス部門に配属されます。しかしながら、今後企業内弁護士が多種多様な業界に所属していけば、業務内容もそれ以外の分野に広がっていくことが十分考えられますし、現在も経営企画、経営管理、事業企画等の部署で活躍されている企業内弁護士は存在します。また、ここ5年ほどで、司法修習直後に企業内弁護士になった人の数が増えましたが、このような企業内弁護士は現在主任や管理職といった役職で活躍されている方が多いと考えられます。将来的には、この中から法務部長、法務担当役員へ昇格していく人が登場することも考えられるでしょう。

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