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創業者が知っておきたい8つの法的ポイント

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第5回 2019年5月7日号 ホームページやソフトウェアの製作を依頼された。契約を結ぶ際の注意点は?

弁護士 今井 丈雄

■プロフィール
今井 丈雄
日弁連中小企業法律支援センター 委員(千葉県弁護士会 所属)

ポイント
・請負契約では、契約で定めておくべき基本的事項がある。下請法の規制にも留意。
・製作物供給契約は、請負契約以上に、契約であらかじめ内容を定めておかないと問題が起きやすい。

「物の製作」を注文する・受ける場合の契約類型

「物の製作」を注文する・受ける場合、請負契約による場合と製作物供給契約による場合があります。

請負契約(請負人側)について

請負契約とは、請負人が一定の仕事の完成を約束し、注文者がその仕事の完成に対して報酬を支払う契約です(民法632条以下参照)。建築関係の契約のイメージが強いかもしれませんが、例えば出版物の製作や物の保守・修理など、幅広い契約がこれに該当し得ます。
請負契約においては、まず、何をもって仕事の「完成」なのか、成果品がどのような性質・水準を備えていればいいのか、注文者との間でよく確認をし、できる限り契約書への明記をすべきです。ここが曖昧だと、仕事を完成させたつもりでも報酬がもらえなかったり、やり直しを余儀なくされるなど、トラブルのもととなります。特に、ホームページやソフトウェアなど、有体物でないものの場合は仕様などを注文者とよく話し合っておきましょう。
報酬についても、出来高や検品と連動していかなる場合にどの程度受け取れるのか、きちんと定めておきましょう。
また、完成させた目的物を注文者に引き渡す前に滅失・毀損などしてしまった場合、仕事をやり直す義務があるのか、あるとすればその費用は誰が負担するのか、やり直しが不可能な場合に報酬をもらえるのか、あるいは、完成させた目的物に契約で定めた内容と違い不完全な点がある場合に請負人がどのような責任を負うのか、といった点も事前に定めておくべきです。
なお、下請業者に仕事を手伝ってもらう場合、下請法という法律による規制があることにも留意しておく必
要があります。

製作物供給契約について

請負契約と似た形態の契約に、製作物供給契約があります。請負契約との区別はあくまでも当事者の意思が基準となりますが、オーダーメイド品の製造販売は製作物供給契約に該当することが多いでしょう。
この契約は、物の製作という請負契約と物の供給という売買契約との両者の性質を兼ねているがゆえに、どちらの契約に関する民法の規定を適用すべき場面なのか曖昧なことが多いため、トラブル予防のためには請負契約以上に契約書の重要性が高くなります。少なくとも上記の請負契約の項で挙げた事柄については、確実に契約書に明記しておきましょう。

 

参考ページ> 創業(企業) 交渉契約 下請法