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創業者が知っておきたい8つの法的ポイント

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第4回 2019年4月3日 良い取引だからこそ、しっかりとした契約を結ぼう。

弁護士 樽本 哲

■プロフィール
樽本 哲
日弁連中小企業法律支援センター 委員(第一東京弁護士会 所属)

ポイント
・契約書は取引のリスクを減らし、紛争を予防するために作るもの。
・納期、品質基準、支払条件、違約時のペナルティは明確に。
・相手が契約を守ってくれないときにできることは限られる。事前の
備えとして、契約書の内容が重要。
・印紙が必要な契約書には忘れずに貼ろう。

契約書を作る意味

契約書とは、契約の当事者らが合意した内容を明らかにするために作成する書面を言います。ビジネスにおいては取引の内容や条件を定める際に契約書を締結することが多いでしょう。一部の例外(保証契約など)を除いて、契約書の作成は契約成立の必須の要件ではないことから、口頭確認や受発注書の交換のみで契約を済ませてしまうこともあります。しかし、取引のリスクを低減させたい場合には、お互いの権利義務を明確にするため、契約書を締結するのが一般的です。

契約書に盛り込むべき内容

契約書には、契約の種類、目的、対価を伴う場合はその金額や算定方法、支払や納品の時期および方法、品質保証の有無、契約の解除事由、違約時のペナルティ、守秘義務、知的財産権の保護といった内容を盛り込みます。民法や商法に定めるルールは、自社にとって必ずしも有利な規定ばかりではありません。契約の種類や取引の実情、取引相手との力関係等に応じて、盛り込むべき内容は変わります。また、法改正や実務に影響を与える事件等があると契約内容を見直す必要が生じることもあります。そのため、ビジネスの契約書は商取引に詳しい専門家に事前にチェックしてもらうことが望ましいでしょう。

契約交渉のイメージ

契約交渉は真剣勝負です。お互いに譲れない部分を事前に把握し、話し合い、本質的でない部分は譲歩するなどして、少しでも自社に有利な条件での合意を目指しましょう。もっとも、契約相手との力関係や取引に対する意欲に差がある場合には相手方の言いなりで契約せざるを得ない場合もあります。
そのような場合でも、弱い立場の事業者を守る法律(下請代金支払遅延等防止法など)に違反するような内容であれば、その点を指摘して是正を求めるといった交渉が可能な場合がありますので、むやみに契約を締結することは避けましょう。良い商談でも、条件次第で有利な取引にも不利な取引にもなることを忘れてはなりません。

契約を守ってもらえないときは

相手が契約に違反して納品や代金の支払いを遅延し、または守秘義務に違反したような場合に、きちんとした契約書があれば、契約を守るように相手に請求し、契約を解除して損害賠償金や違約金を請求するといった対応が可能です。契約書に書かれていなくても、民法や商法にそのような定めがあれば同様の請求ができますが、契約書の特約で排除されている場合もありますのでご注意ください。相手に請求しても応えてもらえないと、最悪の場合、裁判をせざるを得なくなりますが、コストや時間がかかりますし、訴訟で勝っても相手に資力がなければ代金や賠償金を回収できないこともあります。
そのため、万一の事態の備えとしても、双方が守ることができ、守りたくなる(守らないと損をする)契約を
締結しておくことが重要
です。
契約書に関する助言は、弁護士が依頼者の企業に提供する最も基本的なサービスのひとつです。ぜひ活用をご検討ください。

印紙をお忘れなく

契約書が印紙税法に定める課税文書に該当する場合には、作成する契約書の正本毎に法に定められた額面額の収入印紙を貼る必要があります。印紙貼付の要否と金額は国税庁のウェブサイト等で検索することができます。印紙の貼付がなくとも契約書の効力が否定されることはありませんが、税務調査で指摘を受けて多額の追徴を命じられたというような事例を耳にしたことがあります。くれぐれもご注意ください。

 

参考ページ> 創業(企業) 交渉契約 下請法