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創業者が知っておきたい8つの法的ポイント

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第3回 2019年3月20日 商標、きちんと意識していますか?

弁護士 八掛 順子

■プロフィール
八掛 順子
日弁連中小企業法律支援センター 委員(東京弁護士会 所属)

ポイント
・他人の登録商標と全く同じでなくとも、「類似」する名称やロゴなどの商品やサービスを販売した場合、商標権の侵害となる。
・他人の商品名等が商標登録されていなくても、不正競争防止法に基づいて差止や損害賠償を求められることもある。
・新しい商品等を販売する場合、できるだけ早期に商標登録すべき。

商標権者には、同じ商標の他、類似商標の使用を禁止する権利がある

起業時の知財トラブルの中でよく見られるのが、事例のような商標権侵害を巡るトラブルです。商標とは、
自分の商品を識別するための標章(マーク)のことで、会社名や商品名のほか、ロゴやキャッチフレーズなども含まれます。
商標を特許庁に登録すると、その商標を独占的に使えるようになるだけでなく、他人に対して、その商標やよく似た商標を使うことを禁止できます。つまり、他人の登録商標と類似した商品名やロゴ等を使っていると、使用の差止を求められたり、場合によっては損害賠償請求されたりする可能性があります。

登録されていない商標でも差止を求められることがある

登録された商標でなくても、よく知られている(周知の)(*)商品名等と誤認されやすい商品名等の使
用に対しては、不正競争防止法により差止や損害賠償請求をすることができます。

したがって、商標として登録されていないものであっても、予定している商品名と似た名称のよく知られた
商品が販売されていないかも事前に確認しておくべきです。

(*)… 全国的に知られている必要はなく、一地方(都道府県レベル)で知られていれば足ります。

ライセンス契約等による商標の使用

商標調査の結果、自分が使いたい商品名と類似した商標が登録されている場合には、商標権者との間でその商標の使用許諾契約(ライセンス契約)を結び、その商標を使わせてもらうという方法があります。また、登録はされているが使用されていない商標であれば、商標を買い取るという方法も考えられます。
いずれの方法にしても、商標権者との交渉が必要ですので、弁護士に相談することをお勧めします。

早期の商標登録が重要!

逆に、自分が使いたい商品名等と類似のものが商標登録されていなければ、できるだけ早く商標登録すべきです。
商標登録すると、他人に先を越されて登録されないというだけでなく、商標権者としてニセモノや類似品の
流通をくい止めることができます。商標登録は自分の商品やサービスのブランド価値を守り、高めるという意味でも重要なのです。

弁護士と弁理士の違いは?

弁護士以外に知的財産権を扱う専門職として弁理士があります。
弁理士の主な仕事は、特許や商標等を登録するための特許庁への手続(出願といいます)を代理することです。
これに対して弁護士は、特許権や商標権等の侵害トラブルがあった場合にそれを解決するための交渉や裁判所での訴訟手続(*)を代理したり、また、紛争を未然に防止するためにライセンス契約の締結交渉等の代理をしたりするのが仕事です。
弁理士と弁護士はそれぞれ必要とされる場面が異なりますので、双方を上手に利用することが、知的財産権を用いたビジネス成功の秘訣と言えます。

(*)… 侵害訴訟等一部の民事訴訟については、弁理士も弁護士と共同して代理人となることができます。

 

参考ページ> 創業(企業) 知的財産制度の活用・模倣品対策