新破産法の担保権消滅手続における支払保証委託契約書ひな型
2005年2月14日
新破産法は、破産管財人が破産財団に属する財産について、その上に存する担保権を消滅させて任意に売却し、それによって取得することができる金銭の一部を破産財団に組み入れることを可能とする制度を設けました。破産手続開始当時破産財団に属する財産の上に担保権が存する場合において、当該担保権を消滅させて当該財産を任意に売却することが破産債権者の一般の利益に適合するときは、破産管財人は、裁判所に対し、当該財産を任意に売却し、及び売得金の額から破産管財人が認める組入金の額を控除した額に相当する金銭を裁判所に納付して当該財産の上に存するすべての担保権を消滅させることについての許可の申立てをすることができます(破産法186条1項)。
担保権者は、担保権消滅許可の申立書等の送達を受けた日から1か月以内に、担保権の実行の申立てを行うことによって、管財人の予定する任意売却と担保権消滅許可を阻止できます(破産法187条)。
担保権者からやはり1か月以内に、他の者が売得金額に5%以上の額を上乗せした額での買い受けの申出があり、かつ、その際買受希望者から申出額の20%相当額の保証の提供があった場合には、管財人の予定する任意売却及び財団組入れはできなくなり、管財人は、買受希望者との間での売買契約となります。
保証の提供方法として、破産管財人の預貯金口座に一定の額の金銭を振り込み、送金したうえ、その旨の金融機関の証明書を買受の申出書に添付する方法(破産規則60条2項1号)と、銀行等との間で支払保証委託契約を締結し、これを証する文書を買受の申出に添付する2つの方法(破産規則60条2項2号)が定められており、買受希望者はいずれかを選択しなければならなりません。
全国銀行協会では、支払保証委託契約書のひな型や事務のフローの手順例を作成し、2004年12月9日付にて全銀協通達「新破産法における担保権消滅制度に係る買受申出保証用の支払保証委託契約書ひな型等について」(平16全業会第79号)を会員宛に出しました。
右通達で発表したものが、後記の支払保証委託契約書ひな型(別添1)、買受申出保証を支払保証委託契約による場合の手順例(買受申出までの手順例(別添2-A)、保証履行のフロー(別添2-B。)、保証履行の方法によらない場合の手順例(別添3)です。全銀協のご了解を得て、掲載したものです。
これらの手順例は、一例であって、破産管財人、担保権者、買受希望者の協議や、状況により異なるものです。
破産管財人による任意売却と担保権消滅許可の手続に関与される方々は参考になさって下さい。