会長からのご挨拶・日弁連Diary

会長からのご挨拶



2024年2月9日に実施された日弁連会長選挙において、会長に選出された渕上玲子(ふちがみ・れいこ)です。どうぞよろしくお願いいたします。 日弁連は1949年に設立されましたが、75年目にして初めての女性会長となりました。

これから2年の任期において全国の会員とともに取り組んでいく課題のごく一部となりますが、以下にご紹介をしたいと思います。


家庭裁判所の人的・物的な拡充

 多様化、複雑化する現代社会において、家族のあり方や家族観も多様なものになっており、家族法制の改正も予定されています。さまざまな要因が複雑に絡み合う家事事件も増えており、今後、家庭裁判所の役割はますます重要になると予想されます。日弁連として、紛争解決のスピードと実を上げるための家庭裁判所の人的・物的な拡充など、制度改善を求めていきます。


男女共同参画の推進

 多様性を認め合う社会の実現に向けて、他者尊重と気づきの機会を大切にしつつ、男女共同参画を推進してまいります。法制審議会で議論されてから四半世紀経ても実現していない選択的夫婦別姓制度の実現に向け、国会および政府に強く働きかけていきます。


災害復興・被災者支援

 2024年1月1日に発生した能登半島地震で亡くなられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆さまに心からのお見舞いを申し上げます。毎年のように各地で水害や地震が多発しており、南海トラフ地震、首都直下地震などの大規模災害も発生すると予測されています。弁護士が被災者への支援活動を行うための体制を整備するとともに、立法事実を収集した上で、災害対策法制の改正を国に提言していきます。


民事裁判手続のIT化

 2020年のコロナ禍以降、急速に進んだIT化・デジタル化により、司法をとりまく環境は大きく変容しました。2025年度中に民事裁判手続における訴訟書面等のオンライン提出などの実施が予定されています。司法のIT化・デジタル化が、すべての人にメリットが行きわたるものとなるよう、関係機関と協議を行っていきます。


刑事司法改革

 刑事司法改革は道半ばです。取調べの録音・録画の全事件・全過程への対象拡大、取調べへの弁護人立会権の確立、刑事手続のIT化においてはオンラインによる接見の実現、新たに提案された電磁的記録提供命令(デジタルデータの提出にかかる強制や罰則化)の問題など、重要な課題があります。


その他にも、日弁連は、子ども、高齢者、障がい者、外国人、犯罪被害者などの権利擁護、そして消費者、貧困、公害環境、情報問題などあらゆる場面で人権擁護活動を実践していますが、これからも調査・研究を重ね、各種の提言を行ってまいります。

このような日弁連の活動を市民の皆さまに知っていただくために、さまざまな広報媒体を通じた情報の発信に努めていきたいと思っています。引き続き、日弁連の活動に関心をお寄せいただければ幸いです。



2024年(令和6年)4月1日
  日本弁護士連合会会長     



2024年・2025年度会長 渕上 玲子(ふちがみ れいこ)

プロフィール

  • 1977年 一橋大学法学部卒業
  • 1983年 弁護士登録(司法修習第35期)
  • 2017年 東京弁護士会会長
  •      同年 日本弁護士連合会副会長
  • 2020年・2021年度 日本弁護士連合会事務総長
  • 2024年・2025年度 日本弁護士連合会会長


主な日弁連委員履歴

  • 2005年~2006年・2008年~2012年 日弁連公設事務所・法律相談センター副委員長
  • 2011年~2015年・2017年~2018年 東日本大震災・原子力発電所事故等対策本部委員
  • 2012年~2014年 日本司法支援センター推進本部事務局長
  • 2014年~2015年 総合法律支援本部事務局長
  • 2016年~2019年・2022年~2024年 同本部副本部長
  • 2017年~2019年 法曹養成制度改革実現本部副本部長
  • 2017年~2018年 司法修習費用給費制存続緊急対策本部副本部長
  • 2019年~2020年 総合法律支援本部本部長代行


   

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