「写り込みに係る権利制限規定の拡充に関する中間まとめ」に対する意見書

2019年(令和元年)11月20日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会において、「写り込みに係る権利制限規定の拡充に関する中間まとめ」が取りまとめられ、意見公募に付されました。


日弁連はこれに対する意見書を取りまとめ、2019年11月20日付けで文化庁に提出いたしました。

本意見書の趣旨

1 著作権法30条の2の「写り込みに係る権利制限規定」(以下「本規定」という。)について、これが文化審議会著作権分科会報告書(平成29年4月)で整理された第1層(著作物の本来的利用には該当せず、権利者の利益を通常害さないと評価できる行為類型)ないし第2層(著作物の本来的利用には該当せず、権利者に及び得る不利益が軽微な行為類型)に該当する行為に係る権利制限規定であることを踏まえ、その本来の趣旨・正当化根拠が妥当する範囲で可能な限り柔軟な対応が認められるよう、要件の緩和等を行うことが適当であるとする本中間まとめの基本的な考え方に賛成する。


2 本規定の対象となる行為につき、その技術・手法に関わらない幅広い行為が含まれるよう包括的に規定することに賛成する。ただし、写り込みが生じ得るものとして想定している場合以外の利用態様まで広く対象に含まれてしまわないよう、適切な表現で対象行為を特定すべきである。


3 権利者に与える不利益が特段ない又は軽微であるという本規定の主たる正当化根拠に鑑みれば、「著作物創作要件」は必ずしも本質的な要素とはいえないので、これを削除することに賛成する。


4 「分離困難性」は、権利者に与える不利益が軽微であることを担保する「付随性」の要件を満たす場合の典型例として規定されたものと考えられることから、これを「正当(又は相当)な範囲内において」等の要件に置き換えることにより、本規定をより柔軟に適用できるようにすることに賛成する。なお、条文化に当たっては、被写体の中に当該著作物が含まれる場合にも本規定が適用され得ることを明確化すべきである。


5 「軽微な構成部分」といえるか否かに関する利用者の判断に資するよう、法47条の5第1項の規定を参考にして、考慮要素を明記することに賛成する。


6 本規定の対象となる行為を拡大することに伴い、対象支分権を限定せず、「いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」という形で包括的な規定とすることに賛成する。



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