著作権法における一般的包括的権利制限規定の新設に関する意見

2008年11月18日
日本弁護士連合会


本意見書について

我が国の著作権法では、形式的に見れば著作者の権利を侵害する行為であっても著作権侵害とならない場合として、法30条から49条までの規定があります。例えば法30条は私的使用のための複製を、32条は引用を、42条は裁判手続等における複製を、一定の要件の下に適法としています。つまり現行著作権法では個別的権利制限規定をとっていることになります。


これに対して米国著作権法では、列挙された制限規定のほかに一般的包括的な権利制限規定が定められています(107条)。


この一般的包括的な権利制限規定(米国著作権法においてはフェアユース規定と呼ばれています。)については、2008年11月に、内閣官房知的財産戦略本部のデジタル・ネット時代における知財制度専門調査会でとりまとめられた報告書で取り上げられるなど、議論が活発化しているところです。


そこで、日弁連でも検討を行い、現行著作権法に、一般的包括的な権利制限規定を新たに設けるべきとの意見を提出しました。


現行著作権法において著作物の複製・利用は、前述のとおり個々の場面を想定した個別的な権利制限規定で制限されていますが、昨今の著しいコンピュータの普及、インターネット社会の発展による著作権環境の変化、現行著作権法立法時には予想されなかった著作物の出現と利用形態の多様化などの社会の変化に、対応することが難しくなってきました。


そのため、一般条項を設けてより柔軟に様々な場面に対応できるよう、一般的包括的な権利制限規定を新設すべきと考えます。ただし、新設に当たっては留意すべき点も多く、十分な検討が必要です。


ついては、日弁連は上記趣旨の意見書を、2008年11月18日の理事会で取りまとめ、同年11月26日に青木保文化庁長官及び中山信弘知的財産戦略本部デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会会長あてに提出しました。


(※本文はPDFファイルをご覧下さい)