産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会「限定提供データに関する指針(改訂案)」及び「秘密情報の保護ハンドブック(改訂案)」に対する意見書


icon_pdf.gif意見書全文 (PDFファイル;198KB)

2024年1月10日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

2023年12月14日、経済産業省は、「「限定提供データに関する指針(改訂案)」及び「秘密情報の保護ハンドブック(改訂案)」に対する意見募集について」に関する意見募集を行いました。


これに対して、日弁連は2024年1月10日付けで、「産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会「限定提供データに関する指針(改訂案)」及び「秘密情報の保護ハンドブック(改訂案)」に対する意見書」を取りまとめ、経済産業省に提出しました。


本意見書の趣旨

1 限定提供データ指針改訂案について

  (1) 当連合会の2022年4月22日付け「arrow_blue_1.gif産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会「デジタル社会における不正競争防止法の将来課題に関する中間整理報告(案)」、「限定提供データに関する指針(改訂案)」及び「秘密情報の保護ハンドブック(改訂案)」に対する意見書」(以下「2022年4月意見書」という。)1頁及び3頁において、限定提供データ保護制度と営業秘密保護制度と両方の制度で情報の保護が図られるよう立法的解決を図ることが望ましい旨を述べたことについて、令和5年不正競争防止法改正(以下「今次改正」という。)により対応がなされたことを評価する。

  (2) 今後、経済産業省において、「請求権者」という定義規定の解説(限定提供データ指針改訂案48~50頁)については、「限定提供データ保有者」という定義規定に関する解説の加筆を検討すべきである。

  (3) 「限定提供データ」の要件の今次改正を踏まえて、限定提供データ及び営業秘密の「両制度による保護の可能性を見据えた管理」(限定提供データ指針改訂案16頁)に関するガイドブック等の策定をすべきである。

  (4) さらに、近時のAIの利活用による生成物と「使用」行為(限定提供データ指針改訂案23~24頁)該当性に関する解説の加筆も議論することが望ましい。


2 秘密情報ハンドブック改訂案について

  (1) 主にスタートアップ及び中小企業において情報管理に関して経済産業省が発行するガイドライン等が複数あり各ガイドライン等の関係を理解することに困難が生じていることから、各ガイドライン等の関係に関する記載を充実化すべきである。

  (2) また、解釈を明確化するべきである。

  (3) 人材の流動化が進んでいるため、競業避止義務に関する裁判例のアップデート等転職に関する記載の充実化を検討するべきである。

  (4) 営業秘密及び秘密情報をとりまく環境の変化に伴う修正を各種契約書等の参考例にも反映することを検討するべきである。


3 弁護士が、スタートアップ及び中小企業等の各企業、大学等研究機関並びに個人に対して、今回改訂される「限定提供データに関する指針」及び「秘密情報の保護ハンドブック」も活用した専門的なアドバイスの提供及び一般市民に対する制度の普及啓発を続けていけるよう、当連合会としても取り組んでいく所存である。


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