「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等~こども大綱の策定に向けて~(中間整理)」に対する意見書


icon_pdf.gif意見書全文 (PDFファイル;289KB)

2023年10月20日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

こども家庭庁において、「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等~こども大綱の策定に向けて~(中間整理)」について、2023年9月29日付けで意見募集に付されました。


これに対して、日弁連は、2023年10月20日付けで、「「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等~こども大綱の策定に向けて~(中間整理)」に対する意見書」を取りまとめ、同日付けでこども家庭庁に提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 「こどもの権利条約」及び総括所見・一般的意見への言及について

  (1) これまで政府が「児童の権利に関する条約」と称していたものを、中間整理では当事者であるこどもへの分かりやすさの観点などから「こどもの権利条約」と表記しており、当連合会はこの姿勢を評価するとともに、さらに大綱では広く浸透している「子どもの権利条約」の表記とすることについても検討するよう要望する。

   (2) 中間整理が子どもの権利条約の遵守について総括所見や一般的意見に踏み込んだ言及をしたことを高く評価するとともに、次回の政府報告及び報告書審査に向けて施策の一層の推進を図り、締約国としての国際的な責任を果たしていくことを要望する。もっとも、一般的意見への対応について「必要に応じて」と限定した文言は、大綱では削除されるべきである。


2 「基本的な方針」及び「こども施策に関する重要事項」について

  (1)  中間整理が「こどもまんなか社会」を目指し、「こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る」と基本方針を示したことを高く評価する。

  (2)  「貧困、虐待、いじめ、暴力、経済的搾取、性犯罪や性暴力などの権利の侵害からこどもを守り、救済する」として子どもの権利の保護と救済を明記したことを高く評価し、具体的な方策として地方自治体が設置するオンブズパーソンなどの相談救済機関の実態把握や事例の周知を行い、取組を後押しする旨に言及していることはある程度評価できる。さらに、大綱においては、国が主体的に国内人権機関(子どもの権利擁護委員会、いわゆる「子どもコミッショナー」)の設置を国の責務であると明確にしてこれに取り組む旨を掲げること、あわせて個人通報制度の導入についても速やかに検討に及ぶことを要望する。

  (3)  当連合会がarrow_blue_1.gif7月13日付け意見書で指摘した子どもに関する問題のうち、国選付添人の範囲拡大の問題、無戸籍児問題、生殖補助医療と出自を知る権利の問題、学習指導要領などの教育に関する法令・ガイドライン整備の問題、スクールロイヤー制度整備の問題、学校における子どもに対する暴力の問題、不合理な校則と不適切な生徒指導防止の問題、教育の無償化、医療におけるインフォームドコンセントなど子どもの権利確保の問題、家事事件手続における子どもの手続代理人制度とその啓発不十分の問題、在留特別許可や難民の地位を求める子どもの問題、マイノリティの子どもへの差別防止の問題、さらに上記意見書で指摘していないが、児童福祉施設(保育所、児童養護施設、障害児施設など)やその他の子どもに関わる場(塾、習い事、スポーツチーム、学童保育、芸能事務所、宗教施設など)における暴力からの救済問題については、中間整理において言及がされていないことから、大綱においてこれらの問題にも言及・検討されることを強く要望する。

  (4)  中間整理では宗教等二世の問題について、項目として一言だけの言及があるものの、近時の重大な問題と考えられることから、大綱においては可能な限り具体的な方策を伴って言及されることを強く要望する。


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